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Highlighting JAPAN

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特集アフリカの成長を育む

パートナーとしてのアフリカと日本(仮訳)

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6月に横浜で第5回アフリカ開発会議(TICAD V)が開催されるのに先立ち、この3月、スチュアート・コンバーバッハ・ジンバブエ共和国特命全権大使が、ジャパンジャーナルのアレックス・ヘンディに、日本とアフリカの現在の関係について語った。

──大使は、在京アフリカ外交団(ADC)の団長でいらっしゃいますが、それに関して、詳しくお話し願えますでしょうか。

私は今年で日本に来て11年になります。ADCの各国メンバーの中で一番長く日本に務めるものとして、私は団長に就いています。ADCは日本にある38のアフリカの使節団から成る大きなグループです。外務省との交渉を38回別々に行うことより、出来る限り互いに協力して、共同体としての立場を取ったほうが良いと考えたのです。私たちは定期的に会っていますが、集団活動をより集中させるために、テーマ毎、セクター毎の委員会に分かれております。私たちの本来の役割は、アフリカの大使として、それぞれの国が日本との二国間関係を追求することです。私たちはTICAD Vの準備のために、ますます一致協力しており、各国メンバーの関心、支援も大きいです。私たちは今、共通の信念に基づいて仕事ができるよう、共同体としての取り組みを進めているところです。

──近年、日本とアフリカの関係はどのように発展してきたでしょうか?

日本とアフリカの関係は、1993年に始まった「TICADプロセス」に代表されます。アフリカの発展に関する課題への関心を呼び覚まし、支援を募る上で、日本を中心に、TICADは非常に大きな役割を果たしてきました。第1回、第2回、第3回のTICADでは、教育、健康を中心にした社会的発展に重点を置いていました。当時は、ODAを議論のベースにした会議が主体になっていました。そして第4回のTICAD IV(2008年)で、新たに重要な要素の一つとして、民間セクターが加わるようになりました。TICAD IVが終わった後3か月のうちに、3つの官民共同ミッションがアフリカの異なる地域に派遣されました。さらに、それから5年のあいだに、約20のそうした貿易投資ミッションが派遣されています。これによって日本の民間セクターは、アフリカに広がっているチャンスを認識するようになりました。

──日本の民間セクターはアフリカの何に興味を持っているでしょうか?

石油、ガス、レアアース、貴金属、戦略鉱物といった資源関係で非常に大きな興味があるのは言うまでもありませんが、そのほかにも、発電設備や水設備、再生可能エネルギーなどにも興味を持っています。アフリカでは、この種のインフラ開発に対するニーズが極めて高く、現在は、アフリカ全体で合意したアフリカ・インフラ開発プログラム(PIDA)と呼ばれる計画が進められています。この中のいくつかのインフラ整備事業への参加について、日本の民間セクターの関心は非常に高いです。広い意味で、アフリカは独自に発展の計画を立てて共同で動き始めたところと私は考えています。これらは私たちアフリカの計画であり、ODAベースではなく、投資および官民のパートナーシップをベースに、私たちの計画に参加して欲しいのです。

──農業の可能性についてはいかがでしょうか?

世界の人口は現在70億人で、2050年には90億人にまで増える見込みです。したがって、その増加した20億人を養う方法を見つけなければならないのです。世界の使用されていない耕作地の約52%は、アフリカにあります。この統計だけ見ても、アフリカには非常に大きな農業発展の機会があるのがわかるでしょう。アフリカの国々の全人口の50~70%は、何らかの形で農業に関わっています。したがって、土地をどうやって活用するかという知識もあり、その意欲もあります。土地があって、水資源も豊富にある――アフリカには大きな川が何本も流れています――ので、あと必要なのは、運河、灌漑設備、ダムといった適切なインフラを適切な場所に整備することだけなのです。そして、私たちアフリカの国と地域では、かなりの程度まで、全体の計画も出来上がっています。私たちが今必要なのは、一緒に参加するパートナーなのです。

──TICAD Vの議題は何と考えられていらっしゃいますか?

一番の問題は、増え続ける人口です。その大部分が、35歳以下の若い人たちで、仕事がないか、あっても十分ではありません。したがって、私たちの焦点は、産業の確立、つまり、雇用を生む開発を振興し、大陸の若者たちに将来を担わせることなのです。アフリカからは、一次産品、基礎素材が世界各国に向けて輸出されています。そこで大陸全体が緊急課題と考えているのは、工業化の必要性です。製造のキャパシティを引き上げて、原材料、鉱物、農産物に付加価値を持たせることです。しかしそのためには、最低限のインフラが必要であり、中でも電力は最も欠かせないものでしょう。そして大陸の国々を結ぶ道路や鉄道網もです。バナナを日本に売ったり、ぶどうをヨーロッパに、あるいはフルーツジュースを南米に売るのは困難です。アフリカ大陸内の二国間そして地域間の貿易を活発化させることが答えなのです。そこで、最低限のインフラが必要になるのです。

──ジンバブエと日本、南部アフリカと日本の今日の関係はいかがですか?

ジンバブエは日本と非常に良好な関係を結んでいます。他の国々はジンバブエに制裁措置を取ってきましたが、日本はそういうことをしませんでしたし、ジンバブエを孤立化させて、圧力をかけるという西洋諸国やG8の各国の動きをサポートすることもありませんでした。ジンバブエでは今月国民投票が行われます。そのあと7月頃には全国で選挙が行われ、日本がこれをずいぶん支援してくれています。また、ジンバブエはSADC(15の加盟国から成る南部アフリカ開発共同体)のメンバーで、そのうち12カ国が東京に大使館があります。私たちは、より広域のADCと協力し、共同体として、日本でこの地域を知ってもらうために活動をしています。昨年は、SADCと日本とでインフラ投資セミナーを開催し、日本から170 を超える民間セクターの代表者が参加しました。今年も5月に、日本の経済産業省および独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が主催するセミナーがあり、それに南部アフリカの国々も多数参加します。これもまた、日本において、原子力開発の未来、ならびに化石燃料の供給源の多様化の必要性について議論が進むとともに、天然資源開発への関心が高まっている現れといえます。

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