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Highlighting JAPAN

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海外で活躍する日本人

東南アジアの獅子

J Food &Culture TV森社長(仮訳)



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森幹雄氏は、東南アジアの厳しいビジネス界に自ら道を切り開いた、積極的で情熱的な企業家だ。日本の大企業でキャリアをスタートしたものの、森氏はリスク覚悟でシンガポールに渡り、米国企業に就職した。その後1970年代に自分の会社を立ち上げた。森氏は現在業績の優れた複数のベンチャー企業を経営している。この中にはアジア全体にオフィスを構えるCrown Line Groupも含まれている。

「ビジネスマンが成功するために鍵となる3つの要素がある」と森氏は語る。「第1に、情熱とより良くなりたいという熱望とを組み合わせること。第2に、必ず結果を出すようにすること。第3に、現地の情報について深い知識を得ることです」。

森氏は海外に住むことで、日本に留まっていたら得られなかったかもしれない多くのチャンスを手に入れることができた。特に、第2の故郷ともいえるシンガポールに関する深い知識はチャンスに結びついた。「シンガポールで暮らすことにより、私は自分の会社を設立する機会を得られました。それにより自分の行く道を決定し、成功や失敗の限界を測ることができました。最悪の環境においてでも、生き残ろうとする人間の精神の強さには驚くことが多いです。私が自分のベンチャービジネスで非常に大きな成功を収めているのは実に幸運でした」。

最近、森氏はまったく新しいベンチャービジネスを開始した。アジア市場に向けて、日本の食や旅、エンターテイメントを紹介するテレビ放送会社J Food & Culture TVを設立した。2015年までに、アジア10カ国以上でこのチャンネルが放映されることを森氏は望んでいる。「現在のところ、海外で視聴できる日本のチャンネルはNHKだけ。J Food & Culture TVの目的は、日本のエキサイティングな面を紹介することです。今海外の人々が持つ日本の主なイメージは、一つが東北地方の災害ですが、これはネガティブなものが多いですね。しかし、日本の文化的産物、例えば映画、音楽、テレビの娯楽番組などは、未だに最高と評価されています」。

森氏が語るには、アジアでは韓国と中国のテレビ番組が多いが、日本文化のコンテンツへの関心は未だに存在するという。「日本文化を専門とするテレビのチャンネルを作ることで、海外での日本のイメージを改善する一助となれると思います。現在のところ音楽やドラマに関して韓国と中国が非常に強力なため、私が作っているようなテレビのチャンネルは、この競争に一役買えるかもしれない。海外での日本のイメージを良くしたいというこの強い思いこそが、願わくは私の事業の中で最も長く残る遺産であってほしいと思っています」。

メディア・コンテンツとテクノロジーが森氏の新規事業の大きな推進力になっている一方で、個人的価値観は今でも判断指針の原動力となっている。森氏が最も好む原則の一つは、常にポジティブで自らを改善する努力をすることだ。「‘to speak’を漢字で考えてみると(haku, 吐く)、この漢字は『口』を表す部分とプラス(ポジティブ)とマイナス(ネガティブ)の記号のように見える部分から構成されています。もしポジティブなことだけを話し、ネガティブな要素を取り除けば、この漢字はkanau (叶う)になります。意味において、この字は『夢を追う』ことを表しているんです」。

ポジティブに話し、考えるこの能力――どんなに困難な状況においても――はビジネスで成功する重要な要素であり、森氏のような人たちに、最も過酷な状況においても力強く成長する力を与えてくれる。



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