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Highlighting JAPAN

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日本の輝く技術力

~中小企業の革新~

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世界からも注目を集める日本の技術。製造業やそこで駆使される職人技、創造力を意味する「ものづくり」という精神は、日本が誇るこだわりの技術力を象徴する言葉だ。世界で知られる日本製品といえば、大企業の名ばかりが挙げられるが、それらは下請中小企業の部品で構成されており、まさに日本のものづくりの歴史は、中小企業のたゆまぬ努力によって刻まれてきたといえる。
日本経済を元気にする原動力として期待されている中小企業、そのパワフルな底力と高い技術力を特集する。

 

橋本教授インタビュー(仮訳)

 

日本の中小企業は明治の時代には伝統工芸を支えるようになり、その後も時代の変遷とともに工業の発展を支えてきた。今日では世界に誇れる日本の技術の屋台骨といえる。日本の経済成長における中小企業の歩みについて、中小企業庁でも活躍し、現在は中小企業の活性化をメインテーマに研究に取り組む政策研究大学院大学の橋本久義教授に聞いた。

――ものづくりや工業における日本の技術の発展の歴史をお聞かせください。

日本は江戸時代まで鎖国の状態にありました。それが外部の影響をあまり受けずに独特な文化を形成させたわけです。文化の成長は、侍文化が生まれた江戸時代に最も顕著に見ることができます。この時代に大きく開花した職人の技は、護身用の武器でありながら侍にとって神聖な存在でもあった刀の製造技術の進化にも伺えます。

明治時代には日本政府は義務教育制度の制定を重視しました。産業発展の基礎として教育は重要だと考えたからです。日本の教育システムを見てみると、第一に医学、それから工学、その後に法律という順番です。ほとんどの海外諸国では、教育はまず神学にはじまり、それから法律、文学、そして工学です。

――日本における工業の発展にはどのような特徴がありますか?
電力、鉄鋼、石炭が主な発展分野であった1945年から1955年くらいまで、基礎工業が育ちました。政府はこの3分野が発展すれば他の産業も後に続くと考えました。

1960年代には、日本の重化学工業が成長し、それによって機械、電機、自動車産業が花開きました。70年代に入ってから日本は自動車産業、コンピューター、エレクトロニクス、そして精密機械に特に力を入れるようになりました。日本は産業連関表を厳密に応用しながら、戦略的に進めてきたと言えます。

――日本の中小企業の成長は海外と比べ、どんな違いがあるのでしょう?
日本ははじめから中小企業の強化を重視してきました。例えば、自動車産業を強化するために、まず車のアクセサリーやパーツを作る企業を強化した。車会社自身がそういう計画で進めたので、やがて会社間には親子のような関係が生まれました。日本の自動車産業では、車を組み立てる企業よりもむしろ部品メーカーに重きが置かれたのです。他の国では逆です。

本当は競争相手でありながら、中小企業がお互いに助け合い、日本の近代化と良好な生産率を築いたのですから驚きに値します。

――これまでいろいろな工場を訪問してきたと伺いましたが、そのお話を少しお聞かせください。

今までに3518の工場を訪問してきました。そういった企業のオーナーや社長のほとんどは面白い人間であるばかりでなく、従業員の指導にとことん熱心です。大企業であれば、その企業名だけで人材が集まってきますが、中小企業の場合は社長さんが魅力的でなければ人材が根付きません。従業員も仕事熱心で、常に顧客のことを考えています。これが大企業の信用を得ることにも繋がるのです。

――海外市場にアピールするために日本は何をするべきでしょうか? 

海外に進出したいという意思を持つ企業には、まずはとにかく一歩を踏み出してほしい。相手国の事情をじっくり調べて慎重に…とも言われますが、泳ぎを身につけたければ、プールに飛び込むしかないですから。失敗を恐れず、どんどんチャレンジしてほしいと思います。



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