Home > Highlighting JAPAN >Highlighting Japan January 2014>Leaning In - The Power of Womenomics -

Highlighting JAPAN

前へ次へ

リーニングイン ーザ・パワー・オブ・ウィメノミクスー

有馬真喜子氏インタビュー(仮訳)

ジェンダー平等と女性のエンパワーメントにおける日本の貢献

English


有馬真喜子氏は現在、国連ウィメン日本協会の理事長であり、女性の権利と国際開発の分野における日本の第一人者のひとりです。児童の安全、健康、教育においても同様の豊富な知識を持っています。10年以上に及び、有馬氏は国連婦人の地位委員会で日本政府の代表を務めました。ジェンダー平等の提唱と、その目標に向けての日本の貢献について、お話を伺いました。

ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは「ミレニアム開発目標(MDGs)」などで公約されているように、日本を含む国際社会が協力して取り組んでいる課題です。この分野における進捗についてどう評価されますか。

「ミレニアム開発目標」とは、貧困の撲滅からエイズ蔓延の防止に渡る、8つの国際目標です。ジェンダー平等の確立も、世界で最も重要な課題のひとつとして挙げられていますが、このテーマは決して他と切り離されたものではありません。すべての問題は相互に関係しており、どの課題も女性に関わる問題です。世界の貧困層の7割は女性なのです。ジェンダー平等の推進も、貧困の撲滅も、その他の開発目標はすべて同時に取り組まなければなりません。

中でもここ数年で最も進展したのは、8つのうち、2つ目の目標である初等教育分野におけるジェンダー平等の促進です。国連開発計画(UNDP)の報告によれば、小学校に入学する子どもの男女比は多くの国で著しく改善しています。テクノロジーや医療の革新もまた、より最新で地域に密着した医療を女性と子供にも同様に提供することを可能にした点で私たちの取り組みの助けとなっています。

2013年9月、安倍総理は国連総会にて、女性の社会進出に向けてより積極的に支援をしていく旨強く述べましたが、この表明についてどう思われましたか。また、女性のエンパワーメントに向けたこれまで、またこれからの日本の支援のあり方についてどうあるべきとお考えでしょうか。

まず安倍首相の表明は、経済分野での女性の参画を支援し、社会の力になるように働きかけること、また日本の支援を、紛争下での女性に対する暴力根絶や平和構築への女性の参画など新たな分野にも広げていくという意思表示でもある点で大きな意味をもつと思います。日本は国際開発支援における次の一歩を踏み出す準備ができているとした公約の正直さを信じています。

日本の政府機関、NGOは多岐にわたる開発プログラムに尽力し、それらの組織の多くは国力を最大限に引き出すことに熟達してきています。例えば、ある組織は、女性が男性の教師から学ぶことを許されていない地域で、将来女性のロールモデルやリーダーとなるであろう若い学生の育成を目的として、まず女性が教師になるための教育を行っています。このプロジェクトは結果として平等教育への実現にも一役買っています。このように、途上国の支援にあたっては、その国が得意とする分野の支援を行うのが効果的だと私は思います。日本でいうならば、妊産婦支援や母子保健分野も優れており、海外で積極的に取り入れられています。

また、国連ウィメン日本協会で支援しているプロジェクトの中で最も印象深いもののひとつに、サンジット・ “バンカー”・ロイによって創設されたベアフット・カレッジ(裸足の大学)というプロジェクトがあります。このプロジェクトは南インドで行われており、電気のない地域で生活している貧困層の女性に太陽光学技術を学ばせ、独自で小規模な太陽光発電システムを作らせています。彼女たちはその技術を故郷に持ち帰り、再生可能エネルギーの使用を草の根レベルで普及させました。このプロジェクトにより、女性たちには雇用機会が与えられ、貧困からの脱却や女性の地位向上にもつながりました。家に電気が引かれることで、家族は顔を見ながら食事ができ、暗くなった日没後でも女性や子どもたちは読み書きすることができます。

私が強く感じているのは、支援というのは一方的なものではないということです。たとえば、識字には自分の名前が書けるようになる以上の意味があるということを学びました。字の読み書きができるようになれば、バスの行き先がわかるようになり、支援物資の中身が農薬かミルクかがわかるようになります。識字は彼女たちの暮らしや生死に関わることなのだと気付かされたのです。支援しながら私たちも多くを学んでいます。国際協力はいつでも開かれた対話であり、世界中と絶え間なく知識を共有していくことなのです。



前へ次へ