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Highlighting JAPAN

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明日をつくるベンチャー企業

新世代の女性起業家を育てる(仮訳)



事業を起こすにあたり、さまざまな問題が妨げとなることが多い。特に日本において女性が起業することは、家事、育児との両立を視野に入れる必要もある。福岡県に拠点活動する一般社団法人女性起業家スプラウトは、事業の種となる発想や想いが実を結ぶまでのあらゆる段階において女性起業家を支援することを明確な目的として設立された女性起業家による組織である。

理事長の牧野紹氏は、福岡を拠点に活躍する経営コンサルタント梅山香里氏の講義を修了した後、2011年にスプラウトを立ち上げた。当時牧野氏は自身のウェブコンサルティング会社をすでに経営していたが、現在スプラウトの理事を務める宮本好美氏を含む受講生4人と梅山氏を顧問にし、自身の経験を含め、事業を起こす創業期の女性を支援する事業を始めた。

女性は女性特有の発想でビジネスにアプローチできる可能性を持っている。スプラウトを利用する女性は趣味の延長線上、ワーク・ライフバランスの向上に取り組む傾向があると牧野氏は言う。女性は男性が気づかないニーズに柔軟に対応することが可能と指摘する。

スプラウトは受身体制ではなく、交流推進委員会、研修推進委員会、地域振興委員会と実用的な委員会に参加することで経営知識の向上と自身の事業に還元していくことを目的とする参加体制を構築している。研修推進委員会が実施する研修会では創業塾と経営塾があり、創業塾では主に事業計画から策定、資金繰りなど、0から1にあたる創業期に必要な経営の基礎知識を習得する。牧野氏は、「福岡で創業期の女性起業家を継続的に支援しているのはスプラウトだけ」と語る。

経営塾では、既にビジネスを始めて数年経つ女性起業家を対象とし事業計画や戦略の見直しを目的とする。女性の廃業率は男性の廃業率に比べて高いのは、家事や育児の両立、介護、転勤などの理由から事業継続の困難さに原因があると牧野氏は言う。事業を立ち上げた後の事業継続支援もスプラウトの課題の一つとして揚げている。

スプラウトの運営に携わるメンバーは全員起業家であり、起業予定の女性や起業間もない女性起業家と同じ目線や立場で共感・共有できるほか、経営支援事業として経営相談、開業・設立、クリエイティブ支援、税務、労務、経営法務の6つの分野において専門家による支援体制も充実している。補助金・助成金などの申請支援もすると同時に、その他のあらゆる相談に対応できる外部機関との連携も強化にしている。

福岡でダンスや歌、武術などを通して子供たちに英語を自然に学べる場を提供したいと起業を目指していた女性がいたが、牧野氏によれば「何から始めたらいいのかわからない」という状態であった。スプラウトは、事業を開始するために必要な価格設定や資金繰りの確立、事業計画の策定、広告のデザインやウェブサイトの構築を支援。現在では継続的な経営支援を受ける中、彼女の事業は順調であり、顧客満足度も高い評価を得ている。

スプラウトは組織としてはまだ若いが、より多くの女性起業家を少しでも支援することが今の目標だと牧野氏は言う。

 

 



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