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Highlighting JAPAN

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日本で働く外国人

ポップインでマークをつける

程涛氏の新たな発想(仮訳)



東京大学発のベンチャー企業であるpopIn株式会社は、程涛氏が発明し、「popIn」と命名した、サイト内の単語にマウスをあてるだけで検索結果を表示できる機能を有する技術に関する特許を基に創業された。

「当社は顧客に閲覧数の質を評価できる解析ツールを提供しています。利用者のウェブコンテンツ閲覧状況を解析することにより、その多くがオンラインメディア企業である当社の顧客は、利用者のニーズを反映させて最適化したコンテンツを提供することができるのです」と程氏は説明する。

中国河南省で生まれ育った程氏は、自身のポテンシャルが日本における高等教育環境においてこそ最大限に発揮できるものと信じて日本に留学した。「よく似た親しみやすい文化を持っていながら、多くのユニークな体験もできると思ったからです」と程氏は語る。

2008年、程氏は東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻修士課程に在学していた。当時26歳の学生起業家であった程氏が、このアイデアを実用化するべきときが来たと直感したのは、他の東大生とともにシリコンバレーにおいてスタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校他の専門家の前で、自分の技術をプレゼンテーションする機会を得たときである。

「多くのプレゼンテーションの中で、私のアイデアは当時存在しなかった技術であるとして高く評価されました」とスティーブ・ジョブズを尊敬する程氏は言う。彼はその後間もなく、東京大学のベンチャーキャピタルファンドであるエッジキャピタルEIRスキームの支援を得て、4,000万円の創業資金を調達した。

6年後、程氏は特許取得済みの技術をベースとして商業版製品を開発し、popInはおよそ60社の顧客を持つまでになった。今や彼は、クールでカジュアルな雰囲気のオフィスで様々な国籍からなる10人のメンバーを統括している。
「私はpopInを創業する前に10社に及ぶ日本のIT関連ベンチャー企業で働きました。そこではチームワークと忍耐力の大切さを学び、成功するベンチャーがある一方で失敗するベンチャーも多い理由が理解できました」と彼は振り返る。「当然ながら外国人の起業家には多くの障害がありますが、運よく巡り合った人たちの助けがあったからこそ、これほどの成果が得られたと考えています」と彼は認める。サマーインターンシップやパートタイムで働いた期間に彼が築いた人脈から、創業チームのキーメンバーを結集できたのだ。また、この人脈により何社かの重要顧客を紹介してもらった際、程氏は事業が成功する可能性を初めて感じ取ることができたという。

また彼は、ネイティブスピーカーでないからといって、日本企業のマーケティングからセールスまで幅広い能力が必要とされるCEOに就くことに躊躇はなかった。程氏は、「新規顧客とお会いしても、私が外国人であることや会社が創業間もないことを気にされることはありません。製品が素晴らしければ、日本の顧客もそれを認めてくれるのだと思います」と結論付ける。

東京大学のブランド力も新規顧客の信用を得るのに役立っていると彼は付け加える。popInのオフィスが大学キャンパス内に建設され、しかも最新設備を誇る東京大学アントレプレナープラザ7階にあることからも、程氏が東大から支援を受けて起業したことが分かる。

程氏は、日本におけるベンチャービジネス環境が近年画期的に改善されていると認める。
「多くの新しいものはこれまで米国シリコンバレーのような場所で生まれてきました。しかし今、新しい技術を米国に持ち込み、それを世界に広めることによって、初めてこの流れを逆転し得るアジアの会社の1つでありたいと考えています」と程氏は述べている。



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