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Highlighting JAPAN

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海外で活躍する日本人

舞踊の融合

日本伝統芸能のリミックスで

欧米を見据える花園直道(仮訳)


花園直道が舞台に登場すると、観衆は何が飛び出すか予想がつかない。日本の伝統的な衣装に影響を受けたカラフルな身なりは歌舞伎の一幕から出て来たようでもある。欧米のポップミュージックが流れると、花園は現代舞踊の振り付けで踊り出す。

花園は日本の古典音楽と舞踊を最初に習った。母親が元々日本舞踊の舞踊家で、彼女が踊りを再開した時、花園もまたそれに興味を持った。12歳でプロのスポーツ選手になる夢を諦めると、彼は坂東流の日本舞踊の稽古を受け始めた。

日本舞踊は踊りと身振りを合わせた日本の伝統芸能だ。男性の踊り手はたいてい着物と袴に身を包み、扇子を手にして登場する。しかし、花園の演目の一部では袖のないヒーロータイプの衣装や人目をひく衣装をまとい、刀や三味線などの小道具を使う。三味線は世界各国で人気の出た吉田兄弟と同じ音楽で、迫力ある即興スタイルの津軽三味線を習得した。

花園は弟子の時代から日本の伝統舞踊に関心のない人たちに対して興味を引きつける才能に自信があった。彼の最初の出演は、地元の小さな健康ランドで、中学生の時だった。「その時は5、6人の男の客が、無関心にくつろいでいるだけだった」と彼は回想する。「でも最後には、彼らは皆ぼくの方を向いてくれていた」。

花園が観衆にとって自分のパフォーマンススタイルが、日本舞踊に対してある程度の固定観念がある日本では距離を感じられる一方で、その他の国、特に韓国とアメリカでは彼の新しいスタイルを受け入れてくれることに気がついた。「たくさんの人々がぼくの公演を素晴らしいと言ってくれた」と彼はにこやかに話す。

花園の観衆を喜ばせるテクニッックのひとつは洋楽を彼の通常の演目に取り入れることだ。アメリカの観衆はマイケル・ジャクソンの『デンジャラス』やレディ・ガガの『ジューダス』に合わせて彼が踊り、動き、演じると一気に盛り上がる。マイケルが黒い中折れ帽を使うのと同様に彼は扇子を回したり、投げてそれをキャッチしたりして魅せるのだ。しかし花園は観客に彼が歩んだ日本の古典芸能のバックグラウンドを忘れさせることはない。最近のロサンゼルスでの公演の最後では、日本の正式なスタイルで正座し、頭を深く下げた。「お客様から大歓声を受け、総立ちで拍手してくれた」と彼は話す。

花園は、社交ダンスやジャズダンス、ヒップホップなどの確立したダンスに精通する欧米の観衆にとっては新しい何かをもたらすと信じている。大きな違いは日本の音楽が持つ「間」だ。「日本舞踊では1−2−3−4−5−6−7−8と数えることはしない」と彼は言う。「空気を読んで、音楽の切れ目の『間』を重視する。この『間』のタイミングは日本の音楽にしかないと思う」。

現在26歳の花園はまだまだ自分は学び、進化し続けていると言う。「自分の踊りを後からビデオで見返すと、もっとこうするべきだったと思うことがたくさんある」。花園はこれからもさらに自分の技術を磨いていくと同時に、日本の最新の舞台装置の技術やコンピューターグラフィクスなどを自分の舞台に取り入れることも考えている。

日本で、そして世界で、従来の舞踊の概念をくつがえし、観衆に日本文化の新たな側面を提供する花園直道の挑戦は続く。

 



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