Home > Highlighting JAPAN >Highlighting Japan January 2016>ビジネスしやすい国を目指して

Highlighting JAPAN

成功に導く都市

経済活動のグローバル化を目指す国家戦略特区の一つである東京都は、世界で一番ビジネスのしやすい環境を目指し、外国企業誘致に向けて様々な支援策を用意している。

日本政府は「経済社会の構造改革」を目指し、グローバルな経済活動の拠点づくりを促進するために9つの国家戦略特別区域を定めた。その一つである東京圏国家戦略特別区域を構成する東京都は、人口1,337万人を擁する世界有数の大都市であり、2020年にオリンピック・パラリンピック開催を控える首都として「世界で一番ビジネスのしやすい環境整備」に積極的に取り組んでいる。

「東京都長期ビジョン」として、東京国際金融センター構想や、ライフサイエンス分野での新事業創出などの重点目標を掲げた東京都。国家戦略特区推進担当課長 小林貴文氏は「世界をリードするグローバルビジネス都市の実現には、スピードが必要」と語る。特区内では都市計画法や道路法、外国医師の診療に関する特例を設け、海外の企業や人材を呼び込みやすくし、投資効果発現のスピードアップを図る。

具体策の主力となるのが、アジアヘッドクォーター特区への外国企業誘致だ。東京を、外国企業のアジア地域の業務統括拠点や研究開発拠点が集積した都市にするため、外国企業へ用意された支援施策や優遇制度は、法務・人事・会計などあらゆる面で配慮されている。

東京に業務統括拠点・研究開発拠点の設置を検討する外国企業には、一流コンサルティングファームによる無償経営コンサルティングが提供され、進出時の戦略策定を支援する。また、アジアヘッドクォーター特区拠点設立補助金は、登記や人材採用のプロフェッショナルに支払う費用など、拠点設立時の経費の半分を上限500万円まで助成する。

国家戦略特区推進調整担当課長 安達紀子氏は「ビジネスパートナーとのマッチング等のコンサルティング支援や補助金等のインセンティブは日本でのビジネスの迅速な立上げ・黒字化につながるため、これらを決定打に東京進出を決める外国企業も多い」と、これまでの誘致実績を振り返る。

赤坂に設置された「ビジネスコンシェルジュ東京」専門窓口では、日本の商習慣の相談や法人設立の専門家紹介などに英語で対応。同フロア内に設けられた東京開業ワンストップセンターや東京圏雇用労働相談センターとの連携で、初めて東京に進出する企業でも円滑な事業展開を可能にする。従業員やその家族への不動産、買い物、医療、教育など暮らし全般の情報提供も行っており、さらに賃料半額オフィスの紹介や税制優遇など、多岐にわたるきめ細やかなサポートが用意されている。

「東京はアジアへの足がかりとして最適。目の肥えた消費者がひしめく東京の巨大な市場で通用した商品やサービスは、アジアでも的確にヒットすることが期待できる」と、安達氏は投資先としての東京の優位性を語る。

日本での事業展開を後押しするパートナー企業や高度人材が豊富であること、治安をはじめとする都市環境の良さや確かな社会インフラ、知財保護の堅固さなど、東京の高い付加価値は、外国からも評価されている。これらが実を結び、ITや医療、環境分野など、すでに50社以上が東京進出を決定し、パートナー企業とのシナジー効果で想定以上の事業拡大を遂げるなど、東京のメリットを享受する企業がいくつもあるという。

「オリンピック・パラリンピック開催の2020年に向けて、国際ビジネス拠点整備実現のツールとなるプロジェクトを増やしていきたい」と意気込む小林氏。安達氏は外国企業誘致担当の立場から「オリンピックと同様に、世界の一流の人材・企業を東京へ呼び寄せ、国内外の企業が同じ条件下で切磋琢磨できる世界一のビジネス環境をつくりたい」と今後の展望を力強く語った。