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Highlighting JAPAN

日本茶の魅力を世界へ

京都おぶぶ茶苑には、日本茶を愛する人たちが世界中から集まる。

京都府の和束町は、日本を代表する高級茶の一つ「宇治茶」の中心的な生産地として知られる。宇治茶は和束町で13世紀初頭に栽培が始まり、現在、和束町は京都府の茶の生産量の約半分を生産している。約4200人の町民の多くが茶の農家である。

この和束町にある「京都おぶぶ茶苑」には、茶の栽培や文化を学ぶために、海外から多くの人が訪れる。「おぶぶ」は京都の方言で「お茶」を意味する。

2004年創業されたおぶぶ茶苑は、質の高い日本茶を世界へ届ける、茶を通して地域と世界に貢献する、教育を通じて茶と農業への関心を高めるという目標を掲げている。

高品質の茶の栽培、販売するビジネスの一環として、おぶぶ茶苑は日本茶好きの外国人向けの研修制度を設けている。外国人インターンは3か月間にわたって、日本茶の栽培、製茶、文化を学びながら、オンラインショップの運営、カスタマーサービスなどの仕事をサポートする。おぶぶ茶苑は2012年の研修制度の開始以来、現在までに17か国から60人のインターンを受け入れている。

また、外国人インターンが重要な役割を果たしているのが、おぶぶ茶苑が週2回催行している「Tea Tours」である。このツアーに参加する外国人は今年、約1000人にのぼる見込みである。

おぶぶ茶苑の副代表であり、日本茶インストラクターの松本靖治氏は「欧米やオーストラリアなどからの参加者が多いです」と言う。

朝、おぶぶ茶苑で暖かな歓迎を受けた後、ツアーの参加者は急斜面の続く山道を車に乗って20分ほど移動する。すると、茶畑に囲まれた素晴らしい眺めを目にすることになる。ここで参加者はスタッフやインターンから茶摘みの正しい方法を学ぶ。茶摘みは、茶木の枝先にある「芯」と呼ばれる、まだ葉が開いていない新芽と、その下の2枚の葉を摘むのが大切である。参加者は茶摘みを行ったり、茶木の花を摘んだり、種を拾ったりなど、茶畑で1時間ほど過ごす。

午後は日本茶のテイスティング・セッションが行われる。おぶぶ茶苑の茶はすべて、葉や茎を加工しないで使う「荒茶」である。おぶぶ茶苑では荒茶を、収穫した日のうちに蒸して、揉んで、乾燥させる。セッションでは、この荒茶を使ったほうじ茶、玄米茶、抹茶など様々な種類の日本茶を飲み比べる。多くの参加者は、日本茶の種類によって異なる香りや味に驚く。

2009年、おぶぶ茶苑は「茶畑オーナー制度」を導入した。これは、月額1500円を支払い、茶畑オーナーになると、おぶぶ茶苑の日本茶が年に4回届くという仕組みである。現在、日本を含め世界16か国に約900人の茶畑オーナーがいる。

また、おぶぶ茶苑は多様な日本茶のほとんどを、面白くて、ためになる英語のウェブサイトとオンラインストアを通じて、これまでに65か国以上に販売している。

「農業はリスクが高いビジネスで、伝統的に農家は財政的な負担を個人で負わなければなりませんでした。しかし、近年、地域のみならず消費者に支えられる農業でCommunity Supported Agriculture (CSA)という考え方が世界で注目されています」と松本氏は言う。「私たちの茶畑オーナー制度もCSAのひとつです。おぶぶ茶苑は、持続可能な農業、そして新しい茶業のモデルとなることを目指しています」