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Highlighting JAPAN

 

日本への共感・理解・支持を広げる発信拠点『JAPAN HOUSE』

外務省は、日本への深い理解と共感の裾野を広げていくための海外拠点『JAPAN HOUSE』を、サンパウロ、ロサンゼルス、ロンドンの3都市に開設する。各施設では、日本の伝統文化・芸術・先端技術・大衆文化等をはじめとする日本の多様な魅力や政策、諸課題への取組等を紹介していく。

JAPAN HOUSEは、日本が培ってきた知恵を世界共通の未来資源として世界に提示することで『日本を知る衝撃』を与え、世界の文化・社会の発展に寄与することを目指している。現地と日本の間に具体的な関係や交流を築き、親日派・知日派の裾野の拡大を図ることも目的の一つである。

外務省戦略的対外発信拠点室は、「深い精神性や美意識を持つ日本の文化に接触する機会の提供と諸課題への日本の取組や政策を紹介することで、来館者がそれぞれの文脈で日本を捉え、それをきっかけに日本や日本人に対する関心、親しみ、共感を抱く層が広がっていくことを期待しています」と述べる。

施設は2017年4月にサンパウロで開館、今年6月にロンドン、2017年12月に一部先行開館したロサンゼルスは夏に全館開館予定である。いずれの施設も自由に入館することができ、展示ギャラリー、セミナールーム、ライブラリー、ホール、レストラン、ショップ等のスペースにおいて、日本の書籍、陶器や風呂敷などの販売、日本食の提供等を含め、複合的な発信が行われている。いずれも日本における各分野の専門家の知見を活用しつつ、現地のニーズにきめ細かく対応することで、現地の人々の共感を呼ぶような工夫が施されている。

館内で行われる展示は、日本国内の公募で選定される巡回展と、各館の事務局が企画する独自企画で構成されている。巡回展は、3都市での巡回を前提に公募で企画を募り、有識者による審査で選定されている。サンパウロでは、東京大学生産技術研究所教授でありデザインエンジニアでもある山中俊治さんの『Prototyping in Tokyo』展が5月まで行われていた。

この企画展の見どころは、日本のクラフトマンシップと最先端技術を用いたプロトタイプの融合である。「普段あまり表に出ないプロトタイピングのプロセスを、絵巻物を思わせる展示台で見せることで、誰もが製作過程を追体験できるようにしています。3Dプリンターで作った試作品を数多く展示しており、これらに触れることで日本の先端技術と繊細な美的感覚の調和を、より深く感じ取ってもらえるでしょう」と山中教授は説明する。

同企画展は、今後ロサンゼルスで8月、ロンドンは来年1月に開催予定となっている。サンパウロでの展示を終えた山中教授は、「来場者の真剣な眼差しから、日本の先端技術やデザインへの関心は非常に高いことを感じました。サンパウロにはファインアートに属する美術館が数多くありますが、テクノロジーとアートを結び付けた展示は多くないので、珍しかったこともあるのかもしれません」と話す。

さらに山中教授は、「インターネットを通じて海外の情報は入ってきますが、現地に行かないと分からないことも沢山あります。だからこそ、何かを伝えようとするとき、実際に見て触れられる場を作るのはとても意味のあることだと考えます。JAPAN HOUSEが現在の日本の魅力を伝え、新しい出会いを生む場になることを期待しています」と語る。

巡回展・独自企画ともに展示期間は2-3ヶ月のため、JAPAN HOUSEは繰り返し訪れる価値のある施設と言える。実際サンパウロは、開館後1年で累計来館者数が、当初想定の6倍近い約77万人に及んでいる。現地事務局によると、来館者からは「日本の新たな一面について知ることができた」「日本に対して新たな発見があった」等の反応が多数寄せられている。