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Highlighting JAPAN

 

 

世界を駆けるスニーカー「オニツカタイガー」

「オニツカタイガー」はスポーツ用品メーカー、アシックスのシューズブランドである。一時消滅したものの今や世界的人気を誇るスニーカーのファッションブランドとして復活した。

鬼塚株式会社の創業者、鬼塚喜八郎さんが立ち上げたブランドが「オニツカタイガー」である。1950年当時、技術的に難しかった競技者向けのバスケットボールシューズを開発したことで知名度を上げ、以降も様々な競技向けのスポーツシューズを世に送り出してきた。オリンピックなどの国際的な大会では選手たちを支え、世界進出も果たしたものの、1977年、スポーツウエアと用具の2社との合併による株式会社アシックスの設立を機に一時消滅した。総合スポーツ用品メーカーとしてグローバル展開の形で再びその姿を現したのは、2002年のことだった。

復活した背景の一つが、ヨーロッパのファッション業界に携わる人々の要望である。この頃のことをブランド構築を担当するオニツカタイガー カンパニー長の庄田良二さんは、「当時のトレンドだったシンプルな服に合わせるなら、薄底で洗練された、いわゆるロープロファイルな靴だとバランスが良い。『それならオニツカタイガーなのではないか』という声もあったと聞いています」と語る。時を同じくしてヨーロッパを中心にレトロスニーカーブームが巻き起こり、オニツカタイガーを履く主人公の映画が各国でヒットしたことも追い風となって、オニツカタイガーは多大な人気を博した。今では音楽フェスへの協賛や、ファッションショーの主催なども行い、国内外を問わず常にファッショニスタたちの注目を集めている。

海外での人気が今なお続く理由を、庄田さんは「ブームに迎合しないオリジナリティ性があり、日本と日本のものづくりを愛する人が多いため」と分析している。もちろん、履き心地の良さも忘れてはならない。「アシックスのテクノロジーに裏打ちされたコンフォートな履き心地で、歩きやすさも追求しています」と庄田さんが話すとおり、デザインだけに留まらない機能の高さも人々の心を捉えている。

ものづくりに対する姿勢は非常に真摯で、一つの製品に対して1日中、改良すべき箇所を検討することもあると言う。庄田さんは「そこまでこだわらずに、もっと安く売ればと思うかもしれませんが、初めて履いたとき、数ヶ月後、1年後と、履くたびにその良さを感じていただき、次の一足につながるのならこだわるべきだと思います」と語っている。こうした日本のものづくりの精神が息づくのが、オニツカタイガーの「NIPPON MADE」シリーズである。素材、染色、縫製、仕上げまでこだわったシューズはいずれも高い人気を博すが、手間がかかるために品薄状態が続いている。

現在、オニツカタイガーは日本と韓国の旗艦店を中心に販売しており、他国では量販店や直営店が多いが、今後は同じように旗艦店の出店を目指すと言う。日本では表参道に旗艦店とNIPPON MADEのストアがあり、そこでは全バリエーションが見られる。庄田さんは「旗艦店は顧客に対するショールームであり、ブランドを啓もうしていく大切な場所です。長くファンでいる人を大切にしながら、新しい顧客層にオニツカタイガーの良さをおすすめしていきたいと思います」と、今後もこだわりを捨てることなく新たな製品を誕生させ、世界中のユーザーにしっかりと届けたいと考えている。