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Highlighting JAPAN

「プラスチック・スマート」キャンペーン

近年、プラスチックごみによる海洋汚染が深刻な問題となっている。この問題に対応するために、日本は様々な取組を行っている。

世界では日々、様々なプラスチックごみが海へと大量に流れ込んでいる。このままのペースが続くと、海洋中のプラスチックごみの量は、2050年までに魚の重量を上回ると予測されている。こうしたごみは、海洋環境、船舶航行、観光、漁業、沿岸域の居住環境などに影響を与えているが、近年は特に、サイズが5mm以下の微小なプラスチックごみ(マイクロプラスチック) が、生態系に及ぼす影響が懸念されている。

こうしたことから、国際社会はプラスチックごみによる海洋汚染を防止するための取組を始めている。SDGs(持続可能な開発目標)には、2025年までに「あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」というターゲットが目標「14」に掲げられており、G7やG20においても、海洋ごみへ対応について議論が行われている。

日本政府もプラスチックごみを削減するために様々な施策を実行している。その一つが、「プラスチック資源循環戦略」の策定である。G20環境関係閣僚会合(長野県軽井沢)に向けて2019年5月に策定された戦略の基本原則は、プラスチックの3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進すると共に、再生材やバイオプラスチックの利用を促進することである。その上で、海洋プラスチックごみの対策として、不法投棄の撲滅、マイクロプラスチックの流出抑制、海洋ごみの回収処理などの対策を実施するとしている。

さらに、政府は個人、NGO、企業、研究機関などと連携して「プラスチック・スマートキャンペーンを進めている。キャペーンでは、海洋プラスチックごみ問題の実態の把握、ポイ捨て撲滅、不必要な使い捨てプラスチックの排出抑制などの取組を全国的に広げるために、ウェブサイトを通じた取組事例の紹介や、海洋プラスチックごみ問題に関心を持つ企業や団体が参加する「プラスチック・スマート」フォーラムにおける交流の促進を行っている。

ゴミ拾いをスポーツに

一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブは、ゴミ拾いにスポーツ的な要素を組み込むことで、競いながら楽しくゴミ拾いに参加できる「スポGOMI」を実施している。スポGOMIは、3〜5人でチームを組み、60分の制限時間内に、ゴミの分別を守りながらゴミを拾う。ゴミの種類によって重さ当たりのポイントが決まっており、その総ポイントで競い合う。重量ではなくポイントで競うので、子どもから高齢者まで誰にでも優勝できるチャンスがある。スポGOMIの大会は2008年から始まり、自治体、企業、学校などの様々な団体・組織が開催し、現在まで約9万人が参加している。大会数も800を越え、ロシア、ミャンマー、韓国、ハワイ、パナマなど海外でも開催されている。

「木製ストロー」の量産化

木造住宅の建築を行う東京の株式会社アキュラホームは、木製ストローの量産化に成功した。同社が木造建築で培ってきた技術を活かし、厚さ0.15mmに削った木材を、ストロー状に巻き上げて作る。こうした製造方法で、木製ストローを量産化するのは世界初である。材料には災害で倒れた樹木や、間伐材を含む国産材を利用する。製造に当たって、長さや太さ、樹種の変更にも対応が可能である。ストローには、木目が斜めに現れ、自然の温もりを感じさせる。この木製ストローは、2019年1月から都内のホテルのレストランでの試験導入が始まった。5月に新潟県で開催されたG20農業大臣会合のレセプションでも提供されている。

紙で作るマネキン

衣服を着せて展示するマネキンは、古くは蝋や紙で作られていたが、1960年代からはプラスチック製が主流となっている。現在、日本では年間10万体以上のマネキンが製造されているが、利用後は産業廃棄物として処理されている。こうした中、約60年にわたってマネキンを製造している埼玉県富士見市の株式会社モード工芸は、日本で古くから縁起物として親しまれている人形である「ダルマ」の伝統的な製法を取り入れ、紙製のマネキンを製造している。マネキンの型に再生紙を5層程重ね、米のりを使って貼り合わせ、それを乾燥させた後に型から外し、塗装や布貼りなどで表面を仕上げて完成させる。近年のプラスチック問題への関心の高まりと共に、極めて珍しい紙製マネキンに注目が集まり、同社への問い合わせが増えている