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Highlighting JAPAN

夢のアリーナ

2015年設立のプロバスケットボールリーグ「Bリーグ」は、地域に根ざし、エンターテイメント性に優れたバスケットボールリーグを目指している。

2015年、日本のバスケットボールの新たなトップリーグとして、「Bリーグ」が誕生した。日本のバスケットボールは、長らく2つのリーグが並存してきたが、Bリーグは、この2つを統合した新しいプロリーグとして構想された。Bリーグのチェアマンである大河正明さんは、「企業の宣伝のためだけのチームではなく、地域の代表としてのチームが全国各地から参加することで、バスケットボールを通して日本中を元気にしたいと考えました」と語る。

BリーグはB1(1部リーグ)とB2(2部リーグ)に分かれ、北は北海道から南は沖縄県まで、それぞれ18チーム、合わせて36チームが所属する。各リーグは、6チームずつ3つの地区に分かれて年間60試合のリーグ戦を戦い、成績上位のチームがそれぞれの優勝決定戦に臨む。年間の成績にチームの財政状況やホームアリーナの収容人数などの条件を考慮した上で、リーグ間のチームの入れ替えが行われる。その、B1に所属するための条件の一つが、5000人以上の観客を収容できるホームアリーナを持っていることである。日本では3000から4000人規模のアリーナが一般的だが、Bリーグではあえて高い目標を掲げた。

「観客が5000人以上いないと、テレビに映る絵が寂しく感じられるから、という理由もありました。リーグ参加の募集を始めると、多くのチームや自治体がこの条件を満たすように努力してくれ、Bリーグへの大きな期待が感じられました」と大河さんは言う。

プロスポーツには、人気が出て集客が増えること、選手の実力が向上することの、2つの成功が必要だと言われる。Bリーグは、応援するチームが勝っても負けても試合を見て楽しかったと思える「エンターテイメント性の追求」、競技力の向上や競技人口の拡大を通じた「世界に通用する選手やチームの輩出」、スポーツを通して人生を楽しむことができるような、地域に根ざした「夢のアリーナの実現」の3つの使命を掲げている。

「シーズン中は毎週末に2試合が行われ、平均約6000人が動員できます。他の地域から対戦相手のファンが来れば、泊まり込みの観戦ともなり、飲食や観光に足を伸ばすなど、『スポーツツーリズム』の経済的効果も期待できます」と大河さんは話す。

最近では、チケットが売れにくい席に、ゆったりとくつろいで観戦できる「ラグジュアリー席」を用意するなど工夫を凝らし、初年度に224万人だった年間入場者数も2018-19シーズンには259万人へと増加した。

更なる今後の目標は、世界最高峰のプロリーグ、NBAで活躍する八村塁選手や渡邊雄太選手に続く選手を育成することである。各チームが積極的に地域の若者たちを指導し、バスケットボールの人材育成にも力を入れる。並行して、試合のライブやビデオ、選手インタビューの配信など、若者がスマートフォンを通じて気軽にバスケットボールを楽しめる環境の整備も更に進める。

また始まったばかりのBリーグは、地域の拠点となるアリーナにおいて、質の高い試合と、バスケットボールをとことん楽しむための様々なエンターテイメントを提供することで、「夢のアリーナ」の実現を目指し日々進化している。