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Highlighting JAPAN

テクニックとチームワークで人を元気にするダンス

近年、団体競技としてのチアダンスが人気を集めている。日本チームは世界大会でも好成績を収めている。

2019年11月30日から2日間にわたり「第19回全日本チアダンス選手権大会」が開催され、各地の予選を勝ち抜いた256チーム、3,000名以上が、ダンスの種類、編成人数、年齢などに分かれた28の部門で、優勝を目指した。

会場となった東京近郊のアリーナは、華やかな熱気に包まれていた。選手たちが中央のステージに駆け出して所定の位置でポーズを取る。息をのんだように静まり返った会場に、リーダーの掛け声で音楽が鳴り響き、華麗なターンやジャンプ、ステップダンスが繰り広げられる。演技に合わせて客席から歓声と手拍子が湧き上がりアリーナ全体が活気づく。

チアダンスは、バスケットボール、野球などのスポーツチームを応援するチアリーディングから派生したため、エンターテイメント性が高い。海外では「パフォーマンスチア」や「ソングリーディング」などと呼ばれている。最大2分30秒の演技時間でダンスの難易度や完成度を競うものである。

チアダンス部門の要素には、円形の手具を持って直線的な動きで踊る「ポン」、ストリート系の動きとリズムを取り入れた「ヒップポップ」、バレエを基調にしなやかに踊る「ジャズ」、肩を組むなどして列を作って踊る「ラインダンス」の4種類があり、選手権ではこれらの要素を採点し、総合的に順位を決める。

全日本チアダンス選手権を主催する一般社団法人日本チアダンス協会(JCDA)の代表理事、前田千代さんは、競技としてのチアダンスには性別や年齢に関係なく誰でも参加することが可能だが、選手層の大半を占めているのは小学生から社会人の若い女性たちだと言う。中でも実際に、華麗なコスチュームに憧れる低学年の少女には非常に人気が高く、ダンスを通じて規律や協調性を学べることから保護者にも評判が良く、小学生女子の習い事では常に高い人気を誇っている。

国内にはJCDA以外にも幾つかの競技団体があり、団体によっては大会で好成績を収めたチームは全米大会に出場することができる。これまでアメリカの大会に出場した日本のチームが優勝を飾るなど、数々の好成績を残してきた。指導者として、世界一の座に輝いた経験のある前田さんは、日本チームの強さの秘密を次のように話す。

「個々の能力だけを見れば、本場アメリカにはずば抜けたテクニックの持ち主が数多くいます。ところが、それだけでは勝てないのがチアダンスなのです。全員が力を合わせてチームを作り上げていく必要があります。そこに、チアダンスの面白さがあるのです」

JCDAは、競技大会やイベント、講習会の開催の他、Team JCDAの活動も行なっている。これは、協会がオーディションで選抜したメンバーのチームで、「見せる」ことに重点を置いたパフォーマンスを追求しているのが特徴である。プロ野球やサッカーJリーグなどの応援、日本舞踊や和太鼓といった日本の伝統芸能とコラボレーション、さらには福祉施設などでのボランティア公演などにも取り組んでいる。

「人を元気にすることを通じて、チアダンスの可能性を更に広げていきたいのです」と前田さんは語る。

現在、JCDAを含む国内外のチアダンス競技団体は、ルールの国際統一を図り、最終的にはオリンピック競技種目として採用されることを目指し、競技としてのレベルアップも進めている。