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April 2020

流れ落ちる滝のように咲く桜

福島県三春町にある、桜の古木は毎年春になると多くの人々を魅了する。

福島県のほぼ中央部に位置する三春町には、多くの人々を魅了する一本の桜の木がある。「三春滝桜」と呼ばれるベニシダレザクラは根尾の淡墨桜(岐阜県本巣市)、山高の神代桜(山梨県北杜市)と共に日本三木桜の一つに数えられる。樹高12メートル、幹周り9.5メートル、東西方向に直径22メートル、南北方向に18メートルもの枝を張り、開花期には、薄紅色の小さな花を無数に咲かせる。その様子が、流れ落ちる滝のように見えることから「滝桜」と呼ばれている。滝桜だけではない。かつて城下町として栄えた三春には、数多くの寺社に約2000本のシダレザクラがあり、花が咲く季節には、町じゅうが桜の名所となる。

株式会社三春まちづくり公社観光部の三浦怜奈さんは、毎年、開花時期に合わせて、訪れる人を迎える準備をするため、「桜の頃になると、桜とにらめっこの日々が続く」と言う。

「30年ほど前までは、4月20日前後に開花していたのですが、ここ数年は温暖化の影響もあってか4月初めには開花するケースが多いようです。2019年は4月8日に開花し、16日に満開を迎えました」と語る。

滝桜の正確な樹齢は不明だが、1000年以上と推定され、1922年には国の天然記念物に指定された。地元ではこの貴重な滝桜を保護するための活動が行われてきた。1990年には「滝桜保存会」が結成され、保存会は樹木医の指導を受けながら、毎年、根元周辺の草刈りや、堆肥による土壌改良、枯れ枝の処理・消毒などを行っている。2005年に、大雪で20本以上の枝が折れたことがあったが、国の補助を得て保存会が修復作業を行った。

三浦さんは、「大きな病を経験されて『生きているうちにこの滝桜に会えて良かった』と涙ぐむ来訪者の方もいらっしゃいました」と語る。「時代が移り変わり、昔ながらの街並みが失われていく中でも、滝桜はいつも変わることなくそこにある。私自身もそうですが、気持ちが沈んだ時に滝桜に会いに来る地元の人は多いと思います」

2011年に発生した東日本大震災の翌年には、自宅が被災して三春へ避難してきた沿岸部の人たちと地元の人たちが共に花見を楽しみ、傷ついた心を癒したという。

この滝桜を後世に残そうと、三春町役場は日本全国に苗木を贈呈し、子孫木を増やす活動を行っている。「毎年、滝桜のそばにある小学校の子供たちが種を拾い、育てています。こうして育った滝桜の子孫が、様々な場所で植樹されているのです」と三浦さんは話す。これまで、台湾、ハンガリー、ポーランド、オーストリア、ブータン、英国、米国など海外にも苗木や種子が寄贈されている。

三春の桜は滝桜だけでも、シダレザクラだけではない。

「三春町内には、約1万5000本の桜の木があります。開花の時期には、まさに夢のような景色が広がります。」と三浦さんは話す。美しい花が、これからも人々の心を癒していくことだろう。