リングフィットアドベンチャー専用の「リングコン」と「レッグバンド」 初期の任天堂ゲーム機 スーパーマリオブラザーズの画面
June 2020
ゲームでフィットネス

世界を悪から守るというストーリーの冒険ゲームを楽しみながら、全身運動ができ、冒険しながら、フィットネスができる家庭用ゲームソフトが国内外で大きな人気を集めている。おりしも、新型コロナ感染症の感染防止対策で人々が家庭にいる時間が増え、運動不足の解消のために遊ぶ人もいるようである。

日本のゲームメーカー、任天堂が2019年10月に発売したフィットネスソフトが、国内外で人気を呼んでいる。このソフト「リングフィットアドベンチャー」の最大の特徴は、ゲームを楽しむプレイヤーの動きが、エクササイズになることである。
「運動不足解消のために購入しました。以前から欲しかったのですが、なかなか手に入らず、5月に入ってやっと入手しました」と語るのは、新潟県新発田市在住の会社員、丹呉誠さん。以来、丹呉さんは小学2年生の娘と妻と一緒に楽しんでいる。「子どもが休校中の平日はもちろん、休日でも外へ出る機会が減ってしまっていたので、子どもと一緒に楽しみましたし、運動不足解消になりました。子どもは特にもも上げの運動が得意で、そのスピードはとても速く、私は勝てません」とほほ笑む。
このソフトは、リングコンと呼ばれる自動車のハンドルのような機器を両手で持ち、レッグバンドを太ももに巻きつけて操作する。画面上のキャラクターと一体になって仮想空間をジョギングする。プレイヤーの前に敵が現れると、画面に指示された動きをとり、敵にダメージを与えることができる。例えば、攻撃を受けた時には腹筋に力を入れ、水平にしたリングコンを自分の腹に押し当てるなど、ゲームを通じて、様々な動きをとりながら、全身を動かすのである。

日本では1970年代からジョギングやフィットネスブームが続いている。健康のために運動が大切なことは分かっていて、始めてみても、なかなか長続きしない―。このソフトは、そんな人々の心を見事に捉えたのである。
「自宅でできるフィットネスだったのでお手軽感がありましたし、冒険要素があるというのが魅力でした。実際、楽しめました」と丹呉さんは言う。丹呉さんの妻は「楽しみながら気軽に運動を続けられる部分が良いですね。子どもと一緒に楽しく続けていますが、家族が寝てから、私一人でも楽しんでいます」と語る。
1889年に日本の伝統的カードゲーム「花札」製造で創業した任天堂は、一貫して家族で楽しむ娯楽を提供してきた。1983年に発売された家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」と専用ゲームソフトは世界的な大ヒットを記録した。また、2006年には、直観的な操作で遊ぶことができる「Wii」を発売し、それ以降、マリオやゼルダなどのゲームに加えて、「Wii Fit」や「Wii Fit U」など、家族が毎日手軽に運動を楽しめるゲームシリーズを手掛けてきた。その積み上げに支えられた開発力が、性別・年齢を問わず、楽しみながら運動ができる最新のソフトに結実している。


また、丹呉さんには思いがけない効果があった。
「実は、このゲームをするようになってから、健康の指標として体重が気になるようになり、毎日測るようになったんです」と言う。
人生100年時代を迎え、健康は国民の関心事項の一つである。老若男女問わず、楽しみながらフイットネスすることで、家族の健康への関心もより高まるかもしれない。