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INDEX

  • 2019年、ロシアの小売店で開催された日本の米を使用した「いなり寿司」の試食会
  • 日本の米を使用したフィンランドのお寿司販売店
  • 粒が短く、丸みを帯びているジャポニカ種である日本の米
  • 日本の米を使用したフランスのおにぎり販売店

November 2020

海外で広がる日本のお米

粒が短く、丸みを帯びているジャポニカ種である日本の米

2013年にユネスコの無形文化遺産に、「和食;日本人の伝統的な食文化」が登録され、国内外で大きな注目を集めた。以降、海外での日本食の広まりと共に、日本食に合う品質の良い米への需要も高まり、日本産の米の輸出が増加している。

2019年、ロシアの小売店で開催された日本の米を使用した「いなり寿司」の試食会

近年、寿司やおにぎりといった日本食は世界に広がり、多くの大都市であれば、日本食レストランを見つけられるようになった。農林水産省の推計によれば、海外の日本食レストラン数は、2006年の約2.4万店から2019年には約15.6万店への増加している。こうした日本食の普及と共に、日本食の中心と言える米の輸出も増加している。農林水産省によれば、2015年の輸出数量は7,640トンであったが、2019年には17,381トンに達した。2020年1月から9月までの輸出数量も13,556トンと、前年同期と比較して、15%の伸びとなっている。

世界で主に流通している米はジャポニカ種とインディカ種に分かれるが、日本で栽培されている米はジャポニカ種である。ジャポニカ種は粒の長いインディカ種と比べて、粒が短く、丸みを帯びている。ジャポニカ種を精米した白米を炊くと、柔らかさと粘り、ほのかな甘さを持った米となる。日本の米は、炊いた直後の熱々でふっくらした「ご飯」も美味しいが、冷めても美味しさが長く保たれるので、寿司やおにぎりといった、冷めてから食べるメニューにも適している。

日本の米は海外においても、食味の良さや品質の高さが評価されている。それは、長年にわたる品種改良、栽培技術や精米技術の絶え間ない改善の結果と言える。収穫後の品質管理が厳しく行われていることも、品質の維持に大きく貢献している。例えば、日本の精米工場では、収穫した米をゆっくりと乾燥させ、殻を取り除き、ふるいにかけ大きさを選別する。混入している石、虫食いで損傷を受けた形や色の悪い米などを光学技術で判別して、取り除く。精米後も、米粒の形、水分含有量、味など様々な項目がチェックされる。こうして、様々な過程を経て精選された安全で高品質の米が、市場に流通しているのである。

日本の米を世界へ

日本の米を使用したフィンランドのお寿司販売店

より多くの消費者に、日本の米を味わってもらえるように、現在、政府、輸出事業者、生産者が連携しながら、米のプロモーション活動など、様々な取組が行われている。例えば、消費者や飲食店関係者に日本の米を直接味わってもらうための試食会も各国で実施されている。ロシアの小売店では、甘く煮込んだ油揚げに酢飯を詰めた「いなりずし」の試食会と商談会が開催された。試食会では、美味しいご飯を炊くための方法やいなりずしの作り方を指導、また、米の生産者も自らが作った米の美味しさをアピールした。また、中国では春節、中秋節に、家族や知人にギフトを贈る習慣があることから、日本の米もギフトの選択肢の一つになるように、見本市やバイヤー向けの品評会を開催している。

日本の米を使用したフランスのおにぎり販売店

日本の米や米を使った食品を海外で提供するレストランや小売店が増加している。農林水産省が米の輸出推進のために特定している「戦略的輸出事業者」の一つである株式会社イワイは、アメリカのニューヨークとニュージャージー、フランスのパリで、おむすび店を展開している。同社は高品質を保つため、日本国内の契約農家から仕入れた玄米を、現地店舗で精米・炊飯しておむすびの調理・販売をしている。また、戦略的輸出事業者の一つであり、2017年に「輸出に取り組む優良事業者表彰」で農林水産大臣賞を受賞している米の輸出事業者の株式会社 Wakka Japan は、シンガポール、ベトナムのホーチミン、アメリカのハワイとニューヨークなどで日本産米を専門に販売する米屋を展開している。同社は日本から玄米を輸出し、現地で客のオーダーに応じて精米することで、鮮度の高い米を提供している。さらに、同社は自然志向の人向けに長野県の農場でオーガニック米の生産も行い、輸出している。

日本の米に関するイベントやレシピなどの情報は、日本語、英語、中国語、フランス語といった9言語対応の以下のウェブサイトで見ることができる (https://zenbeiyu.com/jp/(全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会HP))。