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  • 2020年8月、有人飛行試験をするSD-03
  • SkyDrive創業者の福澤知浩さんとSD-03
  • SD-XX SkyDriveコンセプトモデル
  • 2019年、SD-03の前のモデルであるSD-02による有人試験飛行

March 2021

空を飛ぶクルマ

2020年8月、有人飛行試験をするSD-03

空飛ぶクルマに乗って移動する―、そんなSFのような日常が近づいている。

SkyDrive創業者の福澤知浩さんとSD-03

2020年8月、いわゆる「空飛ぶクルマ」の初の公開有人飛行試験が成功した。「SD-03」と名付けられた試験機を開発したのは、トヨタ自動車のエンジニアだった福澤知浩さんが独立して起業した株式会社SkyDriveである。

2010年にトヨタ自動車に入社した福澤さんが、空飛ぶクルマと関わりを持つようになったのは2014年にCARTIVATOR(2021年1月に有志団体Dream Onと改称)というグループに加わってからのことだった。個性的なエンジニアが多く集まるCARTIVATORは、「次世代に夢を提供する」ことを目的に設立された有志団体である。

「地下に潜れるクルマ、人が住める二階建てのクルマ、着せ替えのできるクルマなど、さまざまなアイデアがありましたが、そのなかで一番魅力的に思えたのが空飛ぶクルマだったのです」と福澤さんは当時を振り返る。

CARTIVATORのメンバーはまず6分の1サイズの小型試験機製作を開始し、2018年には実物大の無人試験機を飛ばすことに成功する。これを機に福澤さんはクラウドファンディングや大企業からの支援によって資金を調達し、事業として空飛ぶクルマを開発する会社を設立することを決めた。

SD-XX SkyDriveコンセプトモデル

昨年公開された一人乗り有人機SD-03は、長さと幅は約4メートル、高さは約2メートル、重量は400キログラムで、その大きさはクルマ2台分の駐車スペースにほぼ収まる。F1マシンを連想させるスリムなボディの四隅からアームが伸び、そこに二重反転する合計8基の電動プロペラが搭載されている。昨年の公開試験会場では、高さ約2メートルまで浮上し、人が歩く程度のゆっくりとしたスピードでの飛行に成功した。実際の性能としては、この実験機でも、200メートルから300メートルの高さまで上昇し、時速20~30キロメートルで飛行するポテンシャルを有するという。

現在、空の交通として使用されている小型のヘリコプターなどと比べると、空飛ぶクルマには数多くのメリットがあると福澤さんは語る。

「まず電動ですので低空を飛んでも騒音は気になりません。また、非常にコンパクトなため、駐機や離着陸のための場所も小さくて済みます。運転に関しては誰にも簡単にできるようになっていますし、将来的には自動運転も可能です。そして何より、量産が進めば販売価格はかなり安く設定できるでしょう」

2019年、SD-03の前のモデルであるSD-02による有人試験飛行

現在、スカイドライブでは2023年の事業化に向け、2人乗りの空飛ぶクルマの開発を急ピッチで進めている。パイロットと乗客1名が搭乗し、時速50~60キロメートルのスピードで5~10キロメートルの距離を移動できるスペックで、大阪府のバックアップを得て、まずはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)などの観光施設が点在する大阪の湾岸エリアで、実際の運用を計画している。その後は東京などでも実装実験を本格化しながら、最短で2026年には空飛ぶクルマの量産をスタートし、さらに2028年には自動運転機を量産し商品化して、最終的には誰もが自由に空を移動できる乗り物となることを目指している。

空飛ぶクルマの運用に不可欠な法整備などの環境整備に向け、日本では2018年に「空の移動革命に向けた官民協議会」がスタートしている。それだけに世界中の空飛ぶクルマの開発競争で世界の先端を走るSkyDriveには、大きな期待と注目が集まっている。