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  • 山高神代桜
  • 神秘的な6枚の花弁の宇宙桜
  • 山梨県北杜市山高の實相寺

April 2021

「神代」の桜

山高神代桜

樹齢千年を超えると推定される桜が、日本には4本あるという。そのうち、山梨県の仏教寺院にある桜の木が一番古く、2000年以上も花を咲かして、人々を魅了していると伝わっている。

神秘的な6枚の花弁の宇宙桜

日本で最古、最大級の巨樹といわれているのが山梨県北杜市山高(ほくとしやまたか)の實相寺(じっそうじ)にある山高神代桜(やまたかじんだいざくら)だ。「神代」とは神話の時代くらい古い、という意味で、樹齢はおよそ2000年とも推定される。その桜は高さ約10メートル、幹の周囲は約12メートルに及ぶ。

山高神代桜は、エドヒガンという野生の品種の桜である。この桜は、日本で多く植えられているソメイヨシノのような薄いピンクではなく、濃いピンクから白色に近いピンク色まで、同じ木でも、色合いが異なる花が咲くことに特徴がある。

樹齢2000年と言われる山高神代桜には心配なことがある。

「幹の3分の2は枯れており、生き残る3分の1の部分がかろうじて花を咲かせている状態です。2003年に樹木医や研究者などが集まって樹勢を回復させる処置が行われました。根を保護し、栄養のある土を入れたりした結果、新しい枝や根が確認されました。見た目にも少し元気になったように思います」と實相寺の松永直樹(まつなが じきじゅ)住職は話す。

山梨県北杜市山高の實相寺

予断は許さないが、それ以降、毎年美しい花を咲かせる野生の桜に、強い生命力を感じる人も多い。

さらに境内には“宇宙桜”も咲く。山高神代桜の種が、日本人宇宙飛行士の手で国際宇宙ステーションに運ばれ宇宙で約8か月を過ごした。その一つが5メートルほどに成長し花を咲かせている。

「不思議なことに宇宙桜の花は親の花の向きと異なり、地面に向かって咲きます。桜の花弁は5枚なのに、6枚のものも出現するなど、何か、宇宙の神秘を感じます」

毎年、春には、生命のロマンを見せてくれる、山高神代桜。

松永さんは「山高神代桜の咲く頃は、遠くに甲斐駒ヶ岳の山頂の残雪が見え、その手前には黄色い水仙の花が咲き誇ります。神代桜を楽しみながら、一幅の絵を見るような景色全体も楽しんでほしいですね」と話を結んだ。