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  • ジャン=ミシェル・オトニエル作「Kin no Kokoro」を設置している「毛利庭園」
  • ライトアップされた「毛利庭園」
  • 「六本木ヒルズ」の中にある「毛利庭園」
  • 春の「毛利庭園」

May 2021

大都会・東京の日本庭園「毛利庭園」

ジャン=ミシェル・オトニエル作「Kin no Kokoro」を設置している「毛利庭園」

毛利庭園は、東京・六本木を代表する複合施設の中にある。約350年前に作庭された長い歴史を持つ日本庭園であるが、今世紀初頭に再整備され、日本の伝統的な庭園美とともに、モダンさも楽しめる庭園となっている。

「六本木ヒルズ」の中にある「毛利庭園」

東京都港区の六本木地域に2003年にオープンした複合施設「六本木ヒルズ」。オフィス、美術館、展望台、レストラン、店舗などが入る54階建ての高層ビルを中心としている。この現代的な環境に囲まれて、17世紀半ばに建造された大名屋敷の庭園の名残りを伝える伝統的な日本庭園「毛利庭園」がある。その敷地は、現在の山口県を所領とする長州藩の支藩であった長府藩の上屋敷であり、庭園の名は、その藩主「毛利家」に由来する。創建当初の庭園は、時代の変遷に伴って徐々に失われていったが、その地にあった古い樹木や、石材を再利用して、六本木ヒルズの建設時に、伝統を踏まえた新たな日本庭園として生まれ変わった。

その特徴は、小さな滝や渓流からの穏やかな水の流れが、大きな池に注ぐ、ビルの谷間の地形を生かした階段状の構造にある。サクラや大きなイチョウ、クスノキも植えられ、春には桜の花、秋には紅葉のグラデーションが楽しめる。

ライトアップされた「毛利庭園」

このように、日本庭園の伝統を踏まえて作られた毛利庭園だが、都会の庭ならではの見所を持つ。一見して、庭の周りを囲むモダンなビルのガラス質の外観と共存した空間を見せている。また、時に池に映り込む超高層ビルや周りのビルなど都会の景色を見るのも面白い。特に、ビルに明かりが灯り始める夕方の時間帯が印象的である。桜の花の開花時期や冬になると、新型コロナウイルス感染症の発生前は、庭園全体がライトアップされ、モダンな空間が生み出されていた。2013年には、大池のほとりに「Kin no Kokoro」と題するフランスを代表する現代アーティストのジャン=ミシェル・オトニエルのハート型の金属製彫刻が設置され、現代アートと日本庭園の融合を見せている。さらに、池に泳ぐ「宇宙メダカ」も最新の科学技術の一端を物語る。それらは、1994年7月にスペースシャトル「コロンビア号」内で脊椎動物として初めて宇宙でつがいとなって卵ができ、誕生したメダカの子孫である。

春の「毛利庭園」

日本国内には数々の日本庭園があるが、大都会の真っただ中にあって、伝統を踏襲しながらもモダンさを合わせ持つ毛利庭園は、21世紀の日本庭園の典型を示しているかもしれない。