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  • 赤い、いちご風味のシロップをかけたかき氷
  • 生のいちごを使ったパフェのようなかき氷
  • アボガドを使ったかき氷
  • チョコレートクリームと生のラズベリーを使ったパフェのようなかき氷
  • 栗とクリームを使ったかき氷
  • かき氷の販売を知らせる、「氷」の文字がデザインされた旗

August 2021

かき氷:夏のスイーツ

赤い、いちご風味のシロップをかけたかき氷

千年以上の歴史を持つ「かき氷」は、時代の変化とともに進化し続ける、日本の夏のスイーツの定番である。

生のいちごを使ったパフェのようなかき氷

甘いシロップをかけて食べる「かき氷」は、日本で人気の高い夏のスイーツの一つである。最近は、ふわふわした口どけのよい氷に、果物やクリームがトッピングされたパフェのようなものなど、華やかなかき氷を提供する店が増え、さらに人気が高まっている。

「ここ10年くらいで、全国にかき氷の専門店が増えています。健康志向の高まりから糖分を抑えたものや、農家直送の季節の果物を添えたり、お米を発酵させて作る『甘酒』などを取り入れたかき氷も人気です。1杯1000円以上するものも珍しくありません」と、一般社団法人日本かき氷協会の代表・小池隆介さんは言う。2011年3月に発生した東日本大震災後の電力供給不足をきっかけとし、日本の人々の間では「節電しながら、涼をとる工夫をしよう」という省エネルギー意識がそれまで以上に高まった。その際、人気が高まったものの一つが、かき氷だったという。

アボガドを使ったかき氷

日本のかき氷の歴史は古く、平安時代(8世紀末〜12世紀末)中期にさかのぼる。宮廷女官、作家として活躍した清少納言*が記した随筆『枕草子』に登場する「けずりひ(削り氷)」が、現存する資料で確認できる最古のかき氷とされる。清少納言は、新しい金属製の器に削り氷を入れ、つる草の一種からつくる甘味料である甘葛(あまづら)**をかけたものを、上品なものの一つとした。当時、夏の氷も、甘葛も大変貴重なものであり、特権階級しか口にできないものだった。

「当時は、冬にできた天然の氷を溶けないように保管する貯蔵設備『氷室』(ひむろ)が、現在の奈良県、石川県など各地にありました。洞窟や地面に掘った穴を利用し、稲わらなどで断熱するというシンプルなものでしたから、夏までにはだいぶ溶けていたでしょう。さらにそこから都(京都)に運ぶと、更に溶けて小さくなっていたと思います。それでも、当時の貴族にとっては、夏の楽しみでした」と小池さんは説明する。

チョコレートクリームと生のラズベリーを使ったパフェのようなかき氷

さて、かき氷が一般庶民に広まったのは、機械製氷や氷削機が普及し始めた明治時代(1868年~1912年)以降。街角には、夏になると「氷」の旗やのれんを下げるお店が表れ、風物詩となった。氷の字をデザインした旗は、現代の日本人にもなじみ深いものである。そして、1960年代から1970年代の高度経済成長期になると冷蔵庫の普及によって、各家庭でも、簡単に氷削り器を使ってかき氷が作れるようになった。また、夏祭りでは、赤(いちご風味など)、黄色(レモン風味など)などカラフルなシロップをかけたかき氷が子どもたちの人気を呼んだ。

栗とクリームを使ったかき氷

「高度経済成長期に飲食店に普及した製氷機が小さなブロック状の氷を使用したため、氷削機の刃の当たり方が一定ではなく、氷が粒状に砕けてじゃりじゃりとした食感になりました。一方、大きなかたまりの氷を使うと、カンナで木を削るように均一な薄さで削れるため、今流行しているふわふわした食感のかき氷になります」と小池さんは説明する。

最近では、従来なかった、見た目が洋菓子のようなかき氷や、ふわふわの薄い氷を新鮮な果物とともに味わうかき氷を提供する店が増えている。

かき氷の販売を知らせる、「氷」の文字がデザインされた旗

日本では、各自が好みのかき氷で、暑い季節の涼を楽しんでいる。

* 10世紀後半に生まれ、11世紀前半半ばに没
** 甘葛は、山に生えるつる草からとる汁を煮詰めたものとされ、品種は特定されていないが、蔦が有力。