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  • 3枚の色づいたイチョウの葉の形をした上生和菓子
  • 黄色からオレンジ色へと変わるもみじの葉を表した、鍵善良房の秋を代表する和菓子の一つ「紅葉(もみじ)」
  • 「みのりの秋」と題された、鍵善良房の秋の干菓子の詰め合わせ
  • 和菓子職人が上生菓子を作っている様子

September 2021

京を彩る秋の和菓子

3枚の色づいたイチョウの葉の形をした上生和菓子

京都は日本でも有数の紅葉の名所。その美しい紅葉の彩りや形を愛でる心は、和菓子にも表現されてきた。

黄色からオレンジ色へと変わるもみじの葉を表した、鍵善良房の秋を代表する和菓子の一つ「紅葉(もみじ)」

日本には四季があり、その趣を大切にする文化が育まれてきた。和菓子はその伝統をよく表している。ことに京都の和菓子は、古くから公家や茶人、近代以降も文人や芸術家たちに愛されながら、長い歴史をかけて洗練されてきた。 創業から約300年、京都の祇園で和菓子を作り続ける和菓子店「御菓子司鍵善良房(おんかしつかさ かぎぜんよしふさ)」の15代当主、今西善也 (いまにし ぜんや)さんは、「お菓子には少し季節を先取りした表現を取り入れて、お客様に季節の訪れを知らせます」と言う。

鍵善良房の秋を代表する菓子に「紅葉」がある。モミジの葉のように、毎日少しずつ黄色から赤へと色を変化させ店頭に並べ、徐々に深まって行く秋の風情を街ゆく人々に伝えている。

和菓子職人が上生菓子を作っている様子

こうした、職人が高い技術で一つ一つ手作りする「上生菓子(じょうなまがし)」は、17世紀初頭に京都で生まれ、やがて全国に広がっていったという。

上生菓子は、季節の草花はもちろん、情景なども表現する。そのため、小豆(あずき)を煮て濾(こ)した餡や、白いんげん豆あるいは白小豆の餡に小麦粉などを混ぜて色付けした生地(こなし)や、海藻から作る透明な寒天などの食材が用いられる。秋といえば、季節の食材として栗も欠かせない。そうした材料を、菓子職人は熟練した手技を基本に、へらなどの道具を使って、モミジならモミジの形をつくり、更に色付けして、目でも楽しめ、舌でも味わえる、美しく、かつ、おいしいお菓子を作る。

また、水分の多い生菓子に対し、水分の少ない乾いた菓子を干菓子(ひがし)と言う。京都では、砂糖や、米を原料にした粉などを木型に入れて固めて打出した「押物(おしもの)」あるいは「打物(うちもの)」というお菓子があり、伝統的な製法で砂糖キビから作られる日本産の砂糖「和三盆」を使ったものが高級なものとされる。木型は、四季それぞれの花鳥風月をかたどるように作られており、老舗菓子屋には代々受け継がれ、鍵善良房にも百年、二百年と使い続けているものがあるという。「紅葉」のデザインの干菓子は、秋を代表するものの一つで、色とりどりの落ち葉や木の実が風に吹き寄せられた様子を表した「吹き寄せ」というデザインの主役となって、様々な干菓子が詰め合わされ、さながら宝石箱のように秋の店頭を彩る。干菓子は、最近は、コーヒーにも合うと若者にも好評という。

「みのりの秋」と題された、鍵善良房の秋の干菓子の詰め合わせ

京都の夏は暑いが、9月過ぎから次第に風は秋めいて、紅葉のシーズンへと歩を進めて行くが、和菓子は実際の紅葉より少し早く、その時節の到来を教えてくれる。