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April 2023

広島の魅力を世界に発信

  • かつてポールさんとGetHiroshimaチームが発行していた英文フリーマガジンの「GetHiroshima」の冊子
  • 広島市内の川沿いを自転車で走るポールさん
  • ポール・ウォルシュさん
  • ポールさんとGetHiroshimaチームが作成した広島の情報が詰まった地図
  • Jizo Hatの本部にいるポールさん
ポール・ウォルシュさん

英国出身のポール・ウォルシュさんは、広島の魅力を海外向けに発信する活動に取り組み、今では広島で日本全国各地のインバウンド観光のコンサルティング会社を運営している。

広島市内の川沿いを自転車で走るポールさん

英国出身のポール・ウォルシュさんは、広島市を拠点に、日本全国各地のインバウンド観光のコンサルティング会社を運営している。会社の名称は「Jizo Hat」。「日本の田舎を旅すると、道端に石の小さな『お地蔵さん』があり、地元の人々による手作りの帽子を被っていることが多く、その姿が愛らしい。地蔵は困っている人を救うと言います。私たちもそんな存在でありたい」とポールさんは語る。

ポールさんは、大学在学中、日本の証券会社が募集していた作文コンテストに応募して入賞し、副賞で3週間の日本研修の機会を得た。この時に語学指導等を行う、日本政府による外国青年招致事業「JETプログラム」を知り、1991年、大学卒業後にプログラムに参加、大分県の中学、高校で英語指導助手として充実した3年間を過ごした。

かつてポールさんとGetHiroshimaチームが発行していた英文フリーマガジンの「GetHiroshima」の冊子

その後、大分で知り合い、後に結婚することとなるアメリカ人女性とともにアジア各国を旅して回った。いったん日本にもどり、広島市で英会話教師の職に就いたのが1996年のこと。実は、当初、二人にとって広島での生活は楽しいものではなかったと言う。

「今にして思えば、情報が足りなかったのですね」とポールさん。

当時、広島市内において英語による情報は観光地などに限られ、日常生活を豊かにし安定させることに有益なものは少なかった。二人は広島を離れることも考えたが、その前に、自分たちの足で広島の魅力を探してみようと、広島の街、様々なコミュニティを訪ね歩いた。1999年のことだった。

ポールさんとGetHiroshimaチームが作成した広島の情報が詰まった地図

「ちょうどその頃、若い人たちを中心に、広島の新しい店や音楽の情報を発信しようという動きがあり、そういう人たちと次々に繋(つな)がりができていきました」

そうして人々との繋がりを得、自分たちの居場所を確認したポールさんたちは行動を起こす。自ら直接集め、かつ自分たち自身が「面白い!」と感じた情報を、「GetHiroshima.com」と銘打って、2000年からWeb配信を始めた。この配信活動で集積された情報が、2014年、英文フリーマガジンの「GetHiroshima」の創刊へと繋がっていった。

GetHiroshimaのコンセプトは「Be more than a tourist, become a virtual insider」。ポールさんには、宮島や平和記念公園などの主要な観光地を見ると去っていくほとんどの外国人観光客に、もっと日常の生き生きとした広島を知ってほしいという思いがあった。ポールさんと奥さん厳選の市内情報が詰まったGetHiroshimaは、観光客だけでなく、広島在住の外国人にも好評を博した。

Jizo Hatの本部にいるポールさん

そして、ポールさんは、インバウンド観光に情熱を注ごうと、2018年にJizo Hat を創業し、5年継続していたGetHiroshimaはその翌年に休刊とした。

短期滞在のつもりだった広島に住み、広島の魅力を探し続けて26年、今ではポールさんにとって広島は愛着のある街だ。いつかまたGetHiroshimaも再開し、広島名物のお好み焼き屋などの外食店を紹介したいと考えている。

「広島は過去に戦争の悲惨な経験をしましたが、今は平和を世界に伝える街。ぜひ広島の人と話してみてください。それにはおいしいものを一緒に食べ飲むのが一番。まずは隣の席の人と乾杯しましょう!」とポールさんは語る。