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April 2024

沖縄にひと足早く春を告げる琉球カンヒザクラ

  • 沖縄本島北部にある八重岳は琉球カンヒザクラの名所。開花時期は、ピンク色の濃淡のグラデーションの美しい花景色が広がる。 Photo: 本部町観光協会
  • 頂上へ続く4km余りの道沿いに約7千本の花満開の琉球カンヒザクラの並木が続く。
  • 下向きに愛らしく咲く琉球カンヒザクラ
  • 琉球カンヒザクラの鮮やかなピンク色と山の原生林の緑のコントラストの美しい景観に目を奪われる。 Photo: 本部町観光協会
沖縄本島北部にある八重岳は琉球カンヒザクラの名所。開花時期は、ピンク色の濃淡のグラデーションの美しい花景色が広がる。 Photo: 本部町観光協会

温暖な沖縄県(以下「沖縄」)では、サクラは例年1月末頃から2月頃にかけて咲き、その開花時期に合わせて「桜まつり」が県内各所で開かれる。「もとぶ八重岳(やえだけ)桜まつり」が開催される本部町(もとぶちょう)観光協会の担当者に話を聴いた。

日本の南端に位置する沖縄のサクラは、カンヒザクラ(寒緋桜)と呼ばれる種類の一つだ。カンヒザクラは、寒い時期から深みのある赤色の緋色(ひいろ*)の花を咲かせるさまから、この名がつけられた。沖縄では、沖縄の別称「琉球(りゅうきゅう)」を冠して「琉球カンヒザクラ」と呼ぶ。琉球カンヒザクラの名所として名高いのは、沖縄本島**で2番目に高い標高453mの八重岳だ。八重岳の中腹にある桜の森公園では、毎年1月から「もとぶ八重岳桜まつり」が開催されるが、日本一早い桜まつりとして親しまれている。

「沖縄本島の北部に位置する本部町と名護市にかけて連なる八重岳は、頂上へ続く4km余りの沿道に約7千本の琉球カンヒザクラの並木が続きます。ここは沖縄の中でも一番早く開花するエリアです。琉球カンヒザクラは鮮やかな濃いピンク色の花で、下向きに愛らしく咲くのが特徴です」と、本部町観光協会の當山清博(とうやま きよひろ)さんは説明する。

下向きに愛らしく咲く琉球カンヒザクラ

沖縄でひと足早く春を告げる花として親しまれる琉球カンヒザクラ。愛らしく咲く花々を近くから見上げて鑑賞するもよし、また遠くから山全体にサクラが咲き乱れるさま、緑の原生林と咲き誇る鮮やかな緋色とのコントラストを楽しむもよし。桜まつりの時期には、ここ八重岳の4km余りの沿道をドライブで、あるいはゆっくりと歩きながらサクラを楽しむためにたくさんの人々が集う。

琉球カンヒザクラの鮮やかなピンク色と山の原生林の緑のコントラストの美しい景観に目を奪われる。 Photo: 本部町観光協会

「2024年のもとぶ八重岳桜まつり(1月20日~2月4日開催)には、沖縄県内だけでなく全国からおよそ15万人が訪れました。また、海外のお客様は、全体のおよそ1割ほどでしょうか。沖縄本島で2番目に高い八重岳は標高差があることから、気温が低い高い場所では開花が遅く、その分、より長い期間サクラを楽しむことができます。」

日本で花見というと、サクラの下に敷物を敷いて座りながら、花の下で飲食を伴う宴会などをして楽しむのが一般的で、東京の公園などで見られる春の風物詩だ。時には宴会の方が主になったりする。「車社会の沖縄では、ドライブしながら、車内から花そのものを楽しみます。車道沿いに見事なサクラ並木がある場所も多いですよ」と當山さんはいう。一足早く沖縄に春を告げるサクラ。ぜひ、機会があれば訪れてみてほしい。

頂上へ続く4km余りの道沿いに約7千本の花満開の琉球カンヒザクラの並木が続く。

* 日本に古くから伝わる伝統色のひとつ。濃くて明るい赤色のこと。
** 沖縄県には、691の島があるが(国土地理院HP「日本の島の数」(2022年1月時点))その中でも中心都市・那覇(なは)市が所在する最大の島。