VOL.200 FEBRUARY 2025
HISTORIC JAPANESE PUBLIC ARCHITECTURE OF THE MODERN ERA
[日本刀の美]沃懸地螺鈿金装飾剣

重要文化財「沃懸地螺鈿金装飾剣」(寸法:総長110.3㎝)
Photo: ColBase
「天皇から剣を帯びて参内することを許された高位の公家が、盛大な儀式の際にもちいた剣」1を飾剣と称する。特に、「平安時代の飾剣の現存作品は極めて少なく」1、この飾剣は12世紀の制作とされ、平安時代の貴重な作例だ。現在、東京国立博物館が所蔵している。
日本刀は刀剣を握る部分を柄、刀身を覆う外装を鞘と言うが、この飾剣は、「柄は鮫皮黒漆塗で、表裏中央に玉装の飾鋲を打っている。鞘は欠損が多いが、金沃懸地に双鳥文の螺鈿の跡が残る。」1その名称の一部ともなっている沃懸地は、器物の表面に漆を塗り、金粉などを密に蒔きつめて、さらにその上から漆を塗り重ねて磨きあげる日本の伝統的な漆芸の技法の一つ。
- 1. e国宝より引用。
≪引用箇所の用語について≫
- 公家…天皇に仕える貴族、官人を総称して公家という。古くは天皇や朝廷そのものを指し、「おおやけ」「こうけ」「こうか」とも言った。
- 平安時代…794年から12世紀末までを指す。
- 鮫皮黒漆塗…柄を鮫皮(実際はエイの皮)で包んで、黒色の漆を塗ったもの。
- 玉装…玉で装うこと。
- 飾鋲…装飾を兼ねた留め具。
- 双鳥文…二羽の水鳥の模様。
- 螺鈿…蒔絵技法での装飾の一つで、貝の美しい面を装飾面にはめ込んで装着する技法。
Photo: ColBase

