VOL.212 FEBRUARY 2026
CYCLING JAPAN
日本発祥の自転車スポーツ「競輪」

自転車レースの順位を予想する公営競技1「競輪」
Photo: 公益財団法人JKA/Cotaro Ishii
競輪は、競馬に次ぐ公営競技1として誕生した日本発祥の自転車スポーツである。「ケイリン」としてオリンピックの正式種目にもなっているこの競技の特徴について、「競輪」を主催する公益財団法人JKAの広報宣伝課・佐藤 有一さんに話を聴いた。
日本発祥の自転車スポーツ「競輪」は、スピードと戦略性を併せ持つ独自の競技として発展してきた。

Photo: 公益財団法人JKA/Shutaro Mochizuki
「競輪は1948年、第二次世界大戦後の国民士気の高揚と復興資金の調達を目的に、北九州市の小倉競輪場で初めてレースが開催されました。現在では日本国内43か所の競輪場で競技が開催されています。主な競技スタイルは7人から9人の選手が、傾斜のついたバンク(競走路)をブレーキのない自転車で決められた周回数走り、誰が最初にゴールするかを競うものです。単純にスピードを競うだけでなく、相手との駆け引きの要素が強いところが競輪の奥深さであり魅力です」と佐藤さんは話す。
レース中は時速約70kmを上回る速度で走るため、空気抵抗を受けやすく、スピード低下や体力の消耗が起こりやすい。そこで選手は勝利を目指し、他の選手と連携して「ライン」と呼ばれる隊列を組み、協力し合うという。
「複数の選手が先行や追い込みなどそれぞれの役割を決めてレースに挑むのです。選手の思惑が複雑に絡み合い、ドラマチックなレース展開になることもあります。選手の心理を考え、勝利する選手を予想することが競輪の醍醐味です」

Photo: 公益財団法人JKA/Shutaro Mochizuki
こうした「競輪」競技の特徴をベースに生まれた「ケイリン」は、オリンピック種目に採用されるなど、国際的なスポーツへと発展してきた。
「当時現役競輪選手であった中野 浩一さん2が、国際自転車競技連合(UCI)が主催する世界最高峰のトラック自転車競技大会で、1977年以降、連覇を続け世界的に競輪の知名度が高まりました。1980年から「ケイリン」として男子UCI世界選手権種目となり、オリンピックでは2000年シドニー大会から男子、2012年ロンドン大会からは女子も合わせて正式種目となっています」
JKAはスポーツとしての競輪の魅力を発信すると共に、ライフスタイルや時代の変化に合わせ、新たな試みにも取り組んでいる。
「最近では女性選手も多く活躍し「ガールズケイリン(女子競輪)」も人気です。また2026年は自転車競技で世界的に有名な海外選手を日本国内の競輪へ招く「競輪ワールドシリーズ」の開催を予定しています」

Photo: 公益財団法人JKA/Shutaro Mochizuki
売上金の一部は、ものづくりやスポーツ、社会福祉の増進など、社会に役立つ様々な活動を支援する取組に活用されている。
「これらの活動を通じて地域の活性化と社会課題の解決に寄与していくことが競輪の社会的役割だと考えています。今後も社会やお客様からの信頼をもとに、広く親しまれるスポーツとしての地位確立を目指していきたいと考えています」
佐藤さんによると、競輪場は都市圏だけでなく、温泉地や観光地の近くにもあり、全国各地で朝から深夜までレースが行われているという。海外から日本を訪れる人々にとっても、人の力だけで極限のスピードを競う「人力最速」のスポーツとされる競輪を、身近に感じられる機会が広がっている。
- 1. 国や地方自治体などの公的主体が開催し、法律に基づいて勝敗予想の投票券が販売される競技。日本では競輪、競馬、ボートレース、オートレースの四つが実施されている。
- 2. 1955年生まれ。日本の元競輪選手。国際競技でも活躍し、1977年の世界選手権自転車競技大会で、日本人として初めて優勝後、1986年のアメリカ大会まで世界選手権10連覇を達成した。
By MOROHASHI Kumiko
Photo: Japan Keirin Autorace (JKA) Foundation/ISHII Cotaro; JKA/MOCHIZUKI Shutaro

