VOL.212 FEBRUARY 2026
CYCLING JAPAN
[政策お知らせ]米の魅力発信―おにぎりプロジェクト―

日本は稲作の普及により農耕文化を中心として発展してきた。日本人にとって米は単なる主食としてだけではなく、祭祀や経済活動とも結びついている特別な存在だ。
様々な具材のバリエーションを楽しめる「おにぎり」は、日本人が子どもの頃から慣れ親しんでいる米料理の代表とも言える一品。コンビニエンスストアなどでも手軽に購入できるため、近年は訪日外国人観光客にも人気だ。おにぎりを通して米の魅力をアピールすべく農林水産省が展開している「おにぎりプロジェクト」を紹介する。
米の消費拡大は持続可能な社会の実現へと繋がる
古くから日本人の主食として欠かせないものであった米。縄文時代1の後期(紀元前3世紀頃)にはすでに水田稲作が行われていた可能性が高いことが近年の研究から分かっている。春に植えた苗が、秋には実って収穫するという稲作のサイクルは、日本の気候風土に適しており、日本人の生活や文化のベースとなった。春夏秋冬の行事においても餅、団子、寿司などの米を使った料理が食卓を彩ってきた。
しかし、こうした伝統的な食文化は受け継がれつつも、日本国民一人あたりの米の消費量は食生活の欧米化、多様化によって減少傾向にある(図1参照)。米は日本が唯一自給可能な穀物であることに鑑み、国内の生産基盤である水田を維持していくことは、 稲作を含めた農業の持続的な発展のみならず、私達の食文化の礎を次世代に引き継いでいき、さらには田園風景やカエル、トンボなどの多様な生態系を維持していく点でも、重大な課題であると言える。そこで米の魅力を発信するとともに、消費拡大を目指し、農林水産省が展開しているのが「おにぎりプロジェクト」だ。
図1 日本の米消費量の推移(一年一人当たり)

日本国民一人当たりの米の消費量は1962(昭和37)年度をピークに減少し続けており、この10年はピーク時の半分程度と低迷している。
おにぎりの魅力を様々な側面から発信するプロジェクト
炊いた米と具材を一緒に三角や俵型に成形し、海苔で包むおにぎりは、具材によってそれぞれの好みの味にできるだけでなく、冷めた状態でもおいしく食べられるのが大きな魅力だ。海に囲まれ、多くの山を擁する日本で得られる豊富な海の幸、山の幸は、地域色豊かなおにぎりの具材となる。手軽に食べられてエネルギー源にもなることから、世界的アスリートが試合前や休憩時間におにぎりでパワーチャージするなど、健康面、栄養面での注目度も高まっている。さらに、おにぎり専門店の増加やコンビニエンスストアなどでも手軽に購入できることから、近年では訪日外国人観光客にも人気があり、おにぎり市場は拡大傾向にある(図2参照)。「おにぎりプロジェクト」では、おにぎりの魅力を様々な側面から発信し、おにぎりを通して米のおいしさを再発見してもらうことを目指している。企業や学生などとのコラボレーションによる各種SNSでの情報発信や、農林水産省のYouTubeチャンネル「BUZZ MAFF やっぱりごはんでしょ!」の中でのおにぎり関連動画の掲載など、魅力的なコンテンツを準備し、おにぎりと米のおいしさと栄養面の優秀さや手軽さをアピールしている。同省のおにぎりプロジェクト公式サイトでは町のおにぎり屋さん紹介や、「マスコットキャラクター「チームおにぎり」「チームおむすび」が全国各地の学校や企業等を巡ってその地の方と共におにぎりをおすすめする「旅するチームおにぎり」企画なども展開する。このプロジェクトを契機として、国内外のあらゆるおにぎりや米の関係者の繋がりを生み出し、SNSを介しておにぎり関係の情報交換が活発になっていくことで、日本の米とおにぎりの魅力が普及し、日本人の米の消費拡大に繋がることに期待したい。詳細はおにぎりプロジェクト公式サイト(日本語のみ)で見ることができる。
図2 おにぎり等市場の推移



Photo: 北九州市立高等学校

Photo: JETROバンコク

日本食レストランや弁当販売店をチェーン展開するプレナス社が、農政ジャーナリストのたにりり氏(写真)を講師に招き、東京都小平市のガスミュージアムと連携して開催した「親子で学ぶお米のワークショップ」に、マスコットキャラクターが訪問した様子を動画で放映。
Photo: 農林水産省
同チャンネルは下記のQRコードから見ることができる。

- 1. 紀元前14世紀から紀元前3世紀頃。
Photo: Kitakyushu City High School; JETRO Bangkok; PIXTA

