VOL.212 FEBRUARY 2026
CYCLING JAPAN [私が伝えたい日本(日本人インフルエンサー)]発酵が持つ力

塩麹に漬けた肉や魚は、発酵の力により柔らかく、栄養が吸収されやすくなるため医療や介護の現場で提供されることがある。

料理家であり発酵食エキスパートでもあるあやかさん。今月号では、あやかさんに発酵が持つ力について語ってもらった。

日本で長い時間をかけて発展してきた発酵食。2025年に開催された大阪・関西万博(参照:2025年大阪・関西万博 | July 2025 | HIGHLIGHTING Japan)のパビリオンに発酵食をテーマとしたレストランが設置されるなど、サステナブルな食文化として注目を集め、日本を代表する食文化として世界に発信されています。

発酵の魅力は「おいしい食」にとどまらず、例えば医療、環境、そして食料問題を支える技術としての力も持っています。

① 医療分野を支える発酵の力
抗生物質、抗がん剤、抗ウイルス剤などは、発酵の力を利用して作られています。ビタミン剤や整腸薬なども同様で、発酵技術は健康を支える縁の下の力持ち。今後は再生医療や、個別化医療1への応用も期待されています。

② 医療・介護に広がる発酵の可能性
発酵によって食材はやわらかく、消化吸収しやすくなります。このような発酵の特性は、咀嚼そしゃく嚥下えんげ、消化機能が低下した人々の食事を支える技術として、今後ますます重要な役割を果たしていくと考えられます。

③ 環境を守る発酵技術
食品からエネルギーを生み出す再生可能エネルギーとしても注目されています。例えば、トウモロコシやサトウキビを発酵させて作る「バイオエタノール」や、家畜の糞尿や食品廃棄物を発酵させて作る「バイオガス」が代表的です。これは、限られた資源を循環させながら使うという、これからの社会に求められる考え方とも重なります。


持続可能な燃料として注目されているバイオエタノールは、トウモロコシやサトウキビなどを発酵して製造される。

④ 食料の安定供給への貢献
人口増加や異常気象などが食料供給に影響を与える中、発酵の力で肉の代わりになる「代替タンパク質2」の開発や枯れ葉などの繊維を微生物の酵素で分解し、人間のエネルギーとなるブドウ糖に変える技術など、発酵は未来の食を形作る存在になりつつあります。


大豆によって作られる代替タンパク質「大豆ミート」の一例。

このように発酵は、日本の伝統文化であると同時に、医療・環境・産業をつなぐ技術としても活用されています。社会や地球環境が大きく変わる時代において、発酵は新しい分野へも活用の幅を広げ、人と地球の持続可能な未来を支えていくでしょう。

ぜひ発酵が作り出す未来に注目してみてください。

あやか
料理家・発酵食エキスパート。岡山県で生まれ、大学進学後に上京。5年間ほど会社で勤めながら、料理について学ぶ。現在はNadiaなど有名レシピサイトで発酵食と旬野菜を使った美肌・腸活レシピを公開しているほか、料理教室の主宰やレシピ開発を行う。著書に「からだがよろこぶ、でも簡単! 麹でミニマルレシピ」(KADOKAWA)がある。
検索:あやか | 発酵×旬野菜

  • 1. 同じ病気の患者に対し、個人の特性に基づいて予防や治療を行うこと。
  • 2. 肉や魚などの従来のタンパク質に代わるタンパク質で、植物や発酵、動物細胞などにより生産される。

発酵食レシピ:「きのこたっぷりこうじスープ」


Photo: あやか

きのこをたっぷりと入れた温かいスープで、朝食にもおすすめです。

◇材料(2人分)
・お好みのきのこ:合わせて150g
A 水:500ml
A 出汁パック:1袋
A しおこうじ:小さじ2
A 醤油:大さじ1/2
A 生姜すりおろし:大さじ1/2
B 片栗粉:大さじ1/2
B 水:大さじ1
・卵:1個
・ブラックペッパー:適量
・ラー油:適量

◇下準備
・きのこは石づきがあれば切り落とす。しめじ、舞茸は食べやすい大きさに手で割く。えのきは、長さを約3cm幅に切る。
・【B】を混ぜ合わせる。
・卵を溶きほぐす。

◇作り方
1. 鍋に、きのこ、【A】を入れて火にかけ、ふつふつしてきたら、弱めの中火にして5分ほど煮る。出汁パックを取り出す。
2. 一旦火を止めて、水溶き片栗粉を加えて混ぜ合わせ、中火にかけて1分ほど煮る。
3. 卵をまわし入れて、固まってきたら、優しくひと混ぜする。
4. 器に注ぎ入れ、ブラックペッパーをふり、お好みでラー油をまわしかける。

By Ayaka
Photo: Ayaka; PIXTA

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