VOL.199 JANUARY 2025
[NEW YEAR'S ISSUE 2025] CELEBRATING A BRIGHT NEW YEAR IN JAPAN [私が伝えたい日本(日本人インフルエンサー)]心をつなぐ日本の家庭料理


醤油の一例。醤油は大豆(写真右上より)を主成分として作られている。
Photo: ISHIZAWA Yoji

日本食の出し汁の例。昆布、鰹節かつおぶしなどのうまみを抽出した出汁だしを料理に使用することで、日本食らしい味わいになる。
Photo: ISHIZAWA Yoji

日本の家庭料理を世界に広めるインフルエンサー「Kimono Mom」として活動しているMOEさん。今月号では、MOEさんに日本の家庭料理について語ってもらった。

私は、日本の家庭料理を世界に広める活動をしています。それは、人々が家庭料理を通じて自分のルーツを思い出し、現代を強く生きてほしいという思いと、私が食べて育ってきた日本の食文化を次世代につなぎたいという思いからです。

世界のどこに住んでいても、家庭料理は心を癒し、家族や文化を繋げる力を持っています。私自身がその力を最も強く感じたのは、幼い頃、母が作ってくれた手料理を通してでした。もちろん日本食が中心です。母は、私がうれしい時も悲しい時も、手料理で私を励まし、支えてくれました。学校へのテスト前日に母がトンカツを作って応援してくれたり、舞妓まいこ*時代に辛かった時には、私の好物であるカレーをこっそり届けてくれたり。涙をこぼしながら食べたことを今でも忘れません。母の料理には、言葉では伝えきれない愛情がいつも詰まっていました。私にとって、家庭料理は家族とのきずなや、自分自身のアイデンティティを再確認させてくれる重要な要素です。だからこそ、この大切な文化を次世代に伝えていきたいと考えています。

日本食を作る際、「日本食らしさ」を保つために重要なのは、醤油**と、うまみ***が詰まった出汁だしの組み合わせだと考えています。この二つがあれば、たとえ使う食材が異なっていても、世界中どこにいても日本の料理らしい風味を感じられます。醤油や出汁を使用した典型的な日本の家庭料理として、「おでん」と「茶碗蒸し」がありますから、次にご紹介します。

おでん

おでんは、醤油と出汁で煮込んだ多様な食材を楽しむ料理です。大根、こんにゃく、卵、ちくわなどを、出汁がたっぷりと染み込むまで煮込むのが特徴です。おでんは寒い季節によく食べられ、家庭でも屋台でも親しまれています。調理は簡単で、具材を一緒に煮るだけなので、海外でも手軽に作ることができます。醤油の風味がしっかりと引き立ち、食材から出るうまみが溶け込んだスープが特徴です。特に、昆布や鰹節かつおぶしで取った出汁を使うことで、深い味わいが得られます。


日本で寒い時期に好まれるおでんの一例
Photo: ISHIZAWA Yoji

茶碗蒸し

茶碗蒸しは、出汁と卵をベースに作る、なめらかな蒸し料理です。卵に出汁と醤油を混ぜ、具材を加えて蒸し器で蒸します。具材には鶏肉や海老、ぎんなん、しいたけなどが使われ、家庭によってアレンジが可能です。茶碗蒸しは、その柔らかい食感と優しい風味が特徴で、出汁の繊細なうまみと、具材の食感が楽しめます。特別な道具がなくても、蒸し器や鍋を使って作れるため、海外でも手軽に挑戦できる一品です。


茶碗蒸しの一例。海老、しいたけが具材となっており、みつばがのっている。
Photo: ISHIZAWA Yoji

将来、もし世界的な食糧危機が訪れ、使える食材が限られたとしても、醤油と出汁さえあれば、日本食文化を守り続けることができると信じています。これらは、日本食の本質を支え続け、食文化の継承に欠かせない役割を果たすのです。

これからも私は、日本の家庭料理の魅力を世界に発信し続け、家庭料理が持つ力で世界中の人々を繋げ、日本の食文化を、次世代へと繋げていきたいと思います。

MOE(Kimono Mom)
日本の家庭料理を世界に広めるインフルエンサー。舞妓まいこ芸妓げいことして京の花街かがいの世界*に身を置き、引退後は2020年2月にYouTubeチャンネル「Kimono Mom」を開設し、英語を交えて着物姿で日本の家庭料理などを紹介している
* 「HIGHLIGHTING Japan」2024年11月号「舞妓まいこからインフルエンサーへ:京都五花街ごかがいの魅力」参照
検索:Kimono Mom

* MOEさんはかつて京都で舞妓まいこ芸妓げいことして身を置いていた。
** 大豆、小麦といった穀物を主原料とし、こうじや食塩を加えて発酵させた液体調味料。
*** 甘味・酸味・塩味・苦味とともに基本味の一つとされる。主にグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などが挙げられる。


By MOE
Photo: ISHIZAWA Yoji

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