VOL.211 JANUARY 2026
JAPAN AND UME
[私が伝えたい日本(日本人インフルエンサー)]発酵食の歴史と日本人との関わり

大豆の一例。味噌や醤油、納豆などの発酵食は大豆から作られる。
Photo: ISHIZAWA Yoji
料理家であり発酵食エキスパートでもあるあやかさん。今月号では、あやかさんに発酵食の歴史や日本人との関わりについて語ってもらった。
私たち日本人に親しまれている納豆、ぬか漬け1、味噌、醤油、みりんなどの発酵食は、実は偶然の発見から生まれたものです。日本の発酵食の歴史は、古代から現代まで続き、長い時間をかけて日本の食文化に大きな影響を与えてきました。

Photo: ISHIZAWA Yoji

日本における発酵食の歴史は、縄文時代(紀元前14世紀から紀元前3世紀)まで遡ると言われています。縄文時代の終わり頃から、日本に水田稲作が定着し始めました。収穫した米はただ食べるだけでなく、口で噛んで自然発酵させる「口噛み酒」という原始的な発酵方法で酒を作っていたとされ、これが日本酒の元祖と考えられています。
奈良時代(8世紀頃)には、書物の中に、味噌や醤油の原型と言われている「未醤」が登場し、平安時代(8世紀末から12世紀末)には、味噌は貴族や寺院の高僧の保存食や贈答品として重宝され、「高級保存食」としての地位を確立しました。そして戦国時代(15世紀後半から16世紀後半)になると、味噌は「戦を支える必需品」として武士の食を支えるようになりました。江戸時代(17世紀初頭から19世紀後半半ば)には、農業と商業が大きく発展し、味噌、醤油、漬物などの発酵食が、庶民の食卓に広く浸透したと言われています。

では、なぜ日本には発酵食がこれほど欠かせない存在として根付いたのでしょうか。それには、様々な要因が絡み合っています。
①日本の気候
日本の温暖湿潤な気候は、発酵に関わる微生物が活発に働きやすい環境です。一方で、食材が傷みやすく、保存が難しいという環境でもあります。そこで、食材の保存性を高める「発酵」という技術が、日本人の食卓には欠かせない存在になりました。
②米や大豆の生産が盛んであったこと
日本では「米」や「大豆」が多く食されており、これらは発酵食には欠かせない原料でもあります。米からは日本酒、米酢、甘酒2が作られ、大豆からは味噌、醤油、納豆などが生まれました。
③仏教の影響
仏教と深く関わりがある精進料理は、肉を使わない代わりに、タンパク源として味噌や納豆などの発酵食が活用されてきました。
このように、発酵食は昔から日本人の食生活を支え続け、現代においても私たちの食文化に欠かせない存在となっているのです。

あやか
料理家・発酵食エキスパート。岡山県で生まれ、大学進学後に上京。5年間ほど会社で務めながら、料理について学ぶ。現在はNadiaなど有名レシピサイトで発酵食と旬野菜を使った美肌・腸活レシピを公開しているほか、料理教室の主宰やレシピ開発を行う。著書に「からだがよろこぶ、でも簡単! 麹でミニマルレシピ」(KADOKAWA)がある。![]()
- 1. 米糠と呼ばれる米の外皮に塩や水などを混ぜて野菜を漬けた、日本の伝統的な漬物。
- 2. 米麹または酒粕を原料として作られる、日本で古くから飲まれている飲料の一種。
発酵食レシピ:「トマト豚汁」

発酵食の代表でもある「味噌」を使った、簡単に作れる一品です。
◇材料(2杯分)
・豚バラ肉:100g
・ミニトマト:6から8個
・水:300ml
・味噌:大さじ1と1/2
・ごま油:小さじ1
◇作り方
①鍋にごま油を入れて中火にかけ、豚肉を炒める。
②水、トマトを加えて、さっと煮る。
③味噌を溶かし入れる。
◇ポイント
・お使いの味噌によって塩分濃度が異なるので、味噌の量はお好みで調整してください。
By Ayaka
Photo: ISHIZAWA Yoji; Ayaka; PIXTA

