VOL.213 MARCH 2026
EXPLORING JAPANESE POTTERY [私が伝えたい日本(日本人インフルエンサー)]進化した華道といけばな「現代華道」


大薗おおぞの 彩芳さいほう「GREEN in my daily life」。空き箱や工具などの日用品を活用した作品の一例。
Photo: 大薗 彩芳

現代華道家である大薗おおぞの 彩芳さいほうさん。今月号では、大薗さんに華道といけばなの基礎知識や、モダンに進化を遂げる現代華道について語ってもらった。

日本の室町時代(14世紀後半から16世紀後半)から続く伝統文化「華道」「いけばな」をご存知でしょうか。ご存知の方はどんな印象をお持ちでしょうか。着物を着て畳の上で決められた型のお花を生ける古くからのイメージを持つ方が多いかもしれませんが、現代の華道、いけばなは大きく進化しています。

華道、いけばなは、植物をメインにその他様々な素材を組み合わせて構成し鑑賞する、日本が誇る芸術表現の一つです。「華道」と「いけばな」はほぼ同義ですが、「華道」という言葉の方が精神性や哲学を含むニュアンスが強いです。最近では海外でも浸透してきている「いけばな」は発祥も発展も日本で、約550年から600年の歴史があります。発祥は仏教伝来に際し花を献じる供花に由来すると言われており、室町時代には僧侶が仏像に対してお花を生け、祈りを捧げていました。

現代では、華道、いけばなには300を超える流派があると言われており、思考や技法は各流派によって若干異なります。その中でも、私が所属している「いけばな草月そうげつりゅう」は三大流派1の一つで、他の流派と比べ自由度が高く、芸術的な要素をより強く持っています。

私は「草月流師範」という肩書に加え、「現代華道家」という肩書で活動をしており、例えば日用品を使った作品や、人物を器とした作品など、斬新な作品を数多く発表しています。


大薗 彩芳「衣化花/ikebana」。人を器とした作品の一例。
Photo: 一色 卓丸

現代華道の定義は曖昧ですが、私は①日本の伝統文化を理解した上で、華道、いけばなの要素を分解しモダンに再構築ができること、②現代アートの土壌でも勝負ができる作品を作ること、③あらゆる文化に敬意を表し、日本文化を主な軸としつつ西洋文化等の要素も取り入れること、という三つの基本軸があると考えています。


大薗 彩芳「嗅覚」。中国北京で制作。コーヒーの紙コップを使用し、漂う香りを表現している。
Photo: 大薗 彩芳

現代華道の作品を作るには、まず前提として、基礎となる日本文化への深い理解が必要です。華道、いけばなの作品としてどういった要素が最低限必要かを完全に理解した上で、伝統的な要素を取り除く、もしくはあえて残すなどの選択を繰り返します。誰も見たことがないような斬新でモダンな作品を目指しますが、しっかりと華道、いけばなの作品として説明ができるものを作ることが重要です。

次に、芸術表現が多様化している現代において、絵画や彫刻、インテリアなどあらゆる表現方法が現代華道のライバルであり同志となります。アートの土壌でも目を引く作品作りには「メッセージ性」が欠かせません。強いメッセージを含ませたタイトルの付く現代華道作品は他の芸術分野に引けを取りません。


大薗 彩芳「須崎の山、地球の山々」。すべての素材を高知県須崎市で入手し、広大な須崎の山を園児達が駆け上って遊んでいるイメージで制作。
Photo: 大薗 彩芳

また、私は日本文化の枠にとらわれ過ぎることは、華道やいけばな文化の衰退に繋がると考えます。日本文化以外の欧米の文化にも敬意を払い、西洋のエッセンスも加えながら作品を作ることが、現代華道の生存戦略として有効だと考えます。

大薗おおぞの 彩芳さいほう
いけばな三大流派の一つである草月流の一級師範、現代華道家。1987年東京都生まれ。「現代華道家」として独創性に溢れたモダンないけばな作品をデザイン、制作している。作品の特徴は、「現代的」であること。花以外の異素材も活用し、モダンでおしゃれな表現の中にメッセージ性を込めた作品作りを心がけている。
第103回「草月新人賞」(2022年)、第1回「草月優秀賞」(2024年)、いけばな大賞2019審査員特別賞受賞など、様々な賞を受賞。中国やイタリア等海外での実績も多く、メディアへの出演も多数。
検索:大薗 彩芳

  • 1. 「草月流」「池坊いけのぼう」「小原おはらりゅう」がいけばなの三大流派とされている。

By OZONO Saihou
Photo: ISSIKI Takumaru; OZONO Saihou

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