VOL.215 MAY 2026
[SPRING SPECIAL ISSUE] ENJOYING JAPAN’S SPRING BY LOCAL TRAINS チューリップと田園風景を楽しむ城端線の旅

チューリップ号のヘッドマークをつけた城端じょうはな線のキハ40系1の車両。
Photo: 砺波市

富山県の高岡たかおか駅から城端じょうはな駅までの約30kmを走る城端線は、1897年に開通した歴史あるローカル線だ。毎年4月下旬、沿線の砺波となみ市では350万本のチューリップが咲き誇るチューリップフェアが開催される。ノスタルジックな田園風景とチューリップを堪能できる春の城端線の魅力を紹介する。

城端線の路線図

城端線は富山県内で長い歴史を持つ鉄路の一つだ。現在は北陸新幹線の新高岡駅とも接続し、沿線には県外からも多くの観光客が訪れている。

城端線の春を象徴するのが、砺波市で開催される「となみチューリップフェア」だ。毎年4月下旬から5月初旬の大型連休にかけて開催され、国内外から約30万人もの観光客が訪れる。砺波市役所企画総務部の西野にしの たかしさんは、「フェアにあわせて、城端線ではチューリップをデザインしたヘッドマークをつけたディーゼル列車が1日数本運行され、沿線全体で春の祭典を盛り上げています」と語る。

城端線の砺波駅から徒歩圏内にある砺波チューリップ公園は「となみチューリップフェア」のメイン会場となっており、期間中は300品種350万本のチューリップが咲き誇る。園内には、21万本のチューリップで地上絵を描く「大花壇」や、富山県を代表する景勝地である立山黒部アルペンルート「雪の大谷おおたに」をイメージした高さ4m、長さ30mのチューリップ回廊「花の大谷」などがあり、その圧倒的なスケールは訪れる人々を魅了してやまない。

「砺波市でチューリップ栽培が始まったのは1918年のことで、当時まだ日本では珍しい花でしたが、以来100年以上にわたり、地域の特産品として発展してきました。現在、砺波市はチューリップの球根栽培面積で日本一を誇ります。これだけの規模のチューリップ畑を見られる場所は、海外でもあまりないでしょう」


チューリップフェアのチューリップタワーとチューリップ広場花壇

また、公園に隣接するチューリップ四季彩しきさいかんでは、最新の栽培技術によって一年中チューリップを観賞できるほか、チューリップの栽培方法や歴史についても学ぶことができる。

フェア開催中は、会場内だけでなく街中でもチューリップを楽しめる。砺波市内にあるチューリップ生産者の圃場ほじょう2を会場とする「チューリップファーム」も人気だ。各圃場を約1時間で巡るバス「チューリップファーム号」が1日4便運行され、地面いっぱいに広がるチューリップ畑を間近で楽しめる。球根の生産地ならではの体験だ。

「街を歩けば、あちこちで色鮮やかなチューリップ畑が目に飛び込んできます。フェアにあわせて住民がボランティアで道沿いにプランターを並べるなど、街を挙げての温かなおもてなしが根付いているのです。訪れる方々からは、「どこを歩いてもチューリップに出会える」と驚かれますね」

城端線のもう一つの魅力は、のどかな田園風景だ。砺波駅を過ぎ、終点の城端駅に向かう車窓からは、広大な平野に伝統的な家屋が点在する「散居村さんきょそん」と呼ばれる扇状地の景観が広がる。


散居村さんきょそんの風景
Photo: となみ散居村ミュージアム

「田園の中に家がぽつぽつと離れて建つ散居村は、まさに日本の農村の原風景です。特に、4月下旬ごろから水を張った田んぼが鏡のように周囲を映し出す田植え前は、その間を走り抜ける列車の姿がいっそう美しく際立ちます」


田園を走る城端線の車両

こうした風景をより贅沢に楽しむなら、週末限定で運行される観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール(愛称:べるもんた)」がおすすめだ。フランス語で「美しい山と海」を意味する名前が付けられたこの列車の車内は「走るギャラリー」をコンセプトにしており、窓枠を額縁に見立てて刻々と変わる散居村の風景を一幅いっぷくの絵画のように鑑賞できる。


ベル・モンターニュ・エ・メールの車両

歴史を感じるディーゼル車両が今も走り、ノスタルジックな風景が残る城端線だが、2028年度を目処に環境負荷の低い新型車両の導入が計画されている。新高岡駅から北に走る氷見ひみ線との直通化に向けた調査も進められており、将来的に旅行者の利便性は大きく向上する見込みだ。

田園風景やチューリップ畑の中を走るレトロな赤い車両を見られるのは、あと数年。今しか出会えない風景を求めて、春の城端線で旅してみてはいかがだろうか。

  • 1. 1977年から1982年にかけて国鉄により製造されたディーゼル列車。
  • 2. 農作物を栽培するための農地のこと。

By MURAKAMI Kayo
Photo: Tonami Sankyoson Museum; Tonami City; PIXTA

You will be redirected to an external website. Would you like to proceed?
If you wish to continue, please click the link below.

Please Note:
  • The linked website is distinct from the website of the Public Relations Office of the Cabinet Office.
  • The URL of the website mentioned in this notice is as of November 21, 2023.
  • The website's URL may be discontinued or changed. Please verify the latest URL on your own.
Top