VOL.198 NOVEMBER 2024
JAPANESE RAMEN AND ITS GLOBAL EXPANSION [政策お知らせ]ALPS処理水の海洋放出に伴う安全性と水産物の消費拡大について

「魅力発見!三陸・常磐ものネットワーク」のイベントの一つとして2024年10月から11月4日に行われた、「三陸・常磐ウィークス(第4弾)」では石破いしば しげる内閣総理大臣や武藤むとう 容治ようじ経済産業大臣も三陸常磐地域産の水産物を使用したお弁当を食べて応援。
Photo: 経済産業省

ALPS処理水*とは、東京電力福島第一原子力発電所の建屋内にある放射性物質を含む水について、浄化設備「ALPS」を用いて様々な放射性物質を取り除いて浄化した水である。東京電力では2023年8月からこれまでALPS処理水の海洋放出を10回実施(2024年11月末現在)しており、モニタリング結果やIAEA**による評価から安全であることが確認されている。ALPS処理水海洋放出開始から1年が経過した現在、その安全性と水産物の消費拡大への政府の取組を紹介する。

ALPS処理水について

ALPSとはAdvanced Liquid Processing Systemの略で、様々な放射性物質を取り除いて浄化する「多核種除去設備」だ。ALPS処理水はALPSを用いてトリチウム***以外の放射性物質について安全基準を満たすまで浄化した水のこと。トリチウムについては安全基準を十分に満たすように海水で大幅に薄めてから、海洋に放出されている。

ALPS処理水とは、東京電力福島第一原子力発電所の建屋内にある放射性物質を含む水について、多核種除去設備「ALPS」を用いてトリチウム以外の放射性物質を、安全基準を満たすまで浄化した水のことです。トリチウムについても安全基準を十分に満たすように海水で大幅に薄めてから、海洋に放出されています。

ALPS処理のプロセス


海水で薄められた後のトリチウム濃度は、国が定めた安全基準の40分の1(WHOが定める飲料水基準の約7分の1)未満となる上、海洋放出する年間総量も事故前の東京電力福島第一原子力発電所の放出管理値(年間22兆ベクレル)を下回る水準に管理されており、環境や人体に影響を及ぼすことはない。

IAEAによる安全性の評価について

国際原子力機関(IAEA)は、東京電力福島第一原子力発電所構内にIAEA現地事務所を設置し、IAEA職員を常駐させてALPS処理水放出の立会いや独立したモニタリングを実施している。また、IAEAは、ALPS処理水の海洋放出開始以降も、レビューを継続して実施しており、2024年7月に公表された報告書では、関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかったことが明記された。

2024年9月に実施された第68回IAEA総会のサイドイベントにおいて、廃炉作業と福島復興に焦点を当て、東京電力福島第一原子力発電所における廃炉の現状とともに、IAEAからALPS処理水の海洋放出に関連するIAEAの取組の紹介がなされ、ALPS処理水の海洋放出の安全性について国際社会に対して発信した。

モニタリング結果について

ALPS処理水の海洋放出の前後で、福島県及び近隣県における海や魚類の放射性物質濃度に大きな変化が発生していないかの確認のため、東京電力や、日本政府の原子力規制庁、環境省、水産庁などがモニタリングを継続して実施している。これらのモニタリング機関の試料採取やモニタリングの手法、分析能力はIAEAにより、「適切であり高い正確性と能力を有する」との評価を得ている。これまでのモニタリング結果から、安全であることが確認されている。モニタリング結果については、「包括的海域モニタリング閲覧システム(ORBS)」のページで随時確認することができる。

日本産水産物の消費拡大へ向けた取組

日本国内で一部の国・地域による輸入規制措置による影響を除き、魚価の大幅な低下などの風評影響が生じているという声は聞かれていないが、国内外に向けて前述のモニタリング結果などの科学的根拠に基づいた水産物の安全・安心をアピールし、消費拡大を図っている。特に、日本産水産物の輸出販路多角化のため、海外メディアやプロモーションイベントを通じた海外市場への訴求やバイヤー招へい、展示会や商談会実施、越境Eコマース活用等の取組により支援している。国内向けには「ごひいき!三陸常磐キャンペーン****」や「魅力発見!三陸・常磐ものネットワーク*****」を通じて三陸常磐地域産の水産物の魅力発信・消費拡大を図っている。


2024年8月8日に実施された三陸常磐地域の水産物の魅力をアピールする「ごひいき!三陸常磐キャンペーン」試食イベントには齋藤さいとう けん経済産業大臣(当時)が出席。
Photo: 経済産業省

アジア最大級の水産専門見本市 Seafood Expo Asia 2024 (シンガポール)会場で現地著名シェフによる日本産水産物の試食プロモーションを実施。(左:試食デモ風景、右:シンガポールシェフ協会会長Eric Neo氏の調理実演)
Photo: 独立行政法人日本貿易振興機構

今後の方針について

海洋放出によるALPS処理水の処分には長い年月が必要である。2024年8月に行われた関係閣僚等会議******では、日本政府として①安全確保、説明・情報発信、②風評影響対応、なりわい継続支援、③将来技術の検討等を引き続き実施することを、今後の方針として確認した。


* HIGHLIGHTINGJapan2022年10月号「ALPS処理水の海洋放出の安全性」、および2023年9月号「東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出について」参照。
** 国際連合(国連)の後援のもと、原子力に関する国を超えた協力を進めている国際機関。
*** トリチウム(三重水素)は水素の仲間であり、水道水や雨水、人体の中などにもあり自然界に広く存在する放射性物質。
**** 小売・流通事業者と連携した、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県産の水産物の販売促進キャンペーン。
***** 産業界、全国の自治体、政府関係機関から広く参加を募り、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県産の水産物等の“売り手”と“買い手”を繋げることで、消費拡大を推進するプロジェクト。
****** 廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議(第7回)、ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議(第7回)参照。 


本記事は経済産業省の了解の上、同省の公開資料に基づき作成している。

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