VOL.209 NOVEMBER 2025
ENJOYING JAPAN’S MARKETS
[私が伝えたい日本(日本人インフルエンサー)]世界へ広がる書道

作品制作の様子。
Photo: アトリエ美扇
書道家でありアーティストでもある青柳 美扇さん。今月号では、青柳さんに書道の世界への広がりについて語ってもらった。
書道は日本が誇る伝統芸術であり、その精神性や美意識は世界でも高く評価されています。近年では、国際交流イベント等を通じて、海外における書道の裾野が広がっています。実際に海外で書道教室やワークショップが開催され、書道は日本文化を体感できる芸術として注目を集めています。
私自身もこれまで世界10か国以上で活動し、大使館や国際交流基金、大学などで書道パフォーマンス、ワークショップ、展覧会などを行ってきました。海外の人々にとって、墨の香りや筆の動きは新鮮で、線が生まれる瞬間の迫力に強い感動を覚える方が多いのが印象的です。特に書道パフォーマンスは「書の静と動」を同時に体感できるため、言葉を超えたコミュニケーションとして受け入れられやすいと感じます。

Photo: アトリエ美扇
また、現代の国際社会においては「書を通じた心の表現」に共感を寄せる人が少なくありません。例えば、漢字文化圏以外の地域でも「文字に精神を込める」という感覚は、瞑想1やマインドフルネス2と通じるものがあり、書道を心身の鍛錬法として学ぶ人も増えています。
海外での活動において私が大切にしているのは、「作品の完成」だけでなく「プロセスの共有」です。筆を運ぶ音や呼吸、墨が紙に吸い込まれる瞬間を一緒に体験することで、書の本質に触れることができるからです。

Photo: Sakura Collection
2025年9月に東京で行われた「東京2025世界陸上3」では、ポスターデザインや会場装飾に私の書が用いられました。世界中から訪れる選手や観客の目に触れる中で、日本の伝統文化である書の力をダイナミックに伝える機会となり、書道が国際的な舞台でも大きな役割を果たせることを実感しました。
これからの展望としては、海外での教育プログラムやオンラインを通じた交流の可能性をさらに広げたいと考えています。あわせて、現代アートとしての書道の魅力を国際的に発信できるよう、伝統と革新をモットーに挑戦を続けてまいります。

Photo: アトリエ美扇

Photo: 国際交流基金ベトナム日本文化交流センター
書道は「瞬間」を刻む芸術です。その普遍的な力は、国境を越えて人々の心に響きます。ぜひ海外の方々にも、日本を訪れた際に本場の書道を体験し、その奥深さに触れていただければ幸いです。

青柳 美扇
書道家・アーティスト。4歳より書を学び始める。世界10か国以上で書道パフォーマンスを披露。2020年国立競技場で行われた「天皇杯JFA第99回全日本サッカー選手権大会」決勝では約5.8万人の観客を前にオープニングアクトを務めた。世界遺産「高野山」での揮毫4をはじめ、CAPCOM「モンスターハンターライズ」、手塚治虫原作TVアニメ「どろろ」、「東京2025世界陸上」、「国立競技場」貴賓室作品など、数多くの作品、題字などを手がける。メディアでは、TBS「情熱大陸」、NHK Eテレ「にほんごであそぼ」などに出演。伝統と革新をモットーに「書の魅力」を世界中に発信し続けている。![]()
- 1. 脳をリラックス状態にして休ませる行為。
- 2. 集中力や自己認識力の向上などの精神的な効果を得るため、今という瞬間や体験に意図的に注意を向け、ありのままに受け入れること。精神的なトレーニングや医療に活用されている。
- 3. 2025年9月13日から9月21日に東京都で開催された世界陸上競技選手権大会。
- 4. 筆で文字を書く、又は、絵を描くこと。多くの人の前で揮毫を行うことを「席上揮毫」とも言う。
By AOYAGI Bisen
Photo: Atelier BISEN; The Japan Foundation Center for Cultural Exchange in Vietnam; Sakura Collection

