VOL.197 OCTOBER 2024
JAPAN’S HEALING FORESTS (PART 2)
Autumn Forests with Colorful Leaves
ブナの紅葉を堪能できる安比高原

10月上旬から、ブナの葉が黄色みを帯び紅葉が始まる
Photo: 八幡平市観光協会
日本列島の北東部に位置する岩手県。その北西部の八幡平市を中心として、標高800メートルから900メートルの高地に約2,000ヘクタールと広大な面積を誇る自然豊かな安比高原が広がっている。この高原にはブナの森が広範囲に分布し、秋になると見事な紅葉を見せてくれる。八幡平市観光協会職員の高橋 美里さんに、このブナの森と紅葉の時期の楽しみかたについて話を聴いた。
「安比高原では馬の放牧が「中のまきば」と呼ばれる天然の芝草原が広がるエリアで行われ、その地域を囲むようにブナの二次林が育成されてきました」と高橋さんは説明する。
二次林とは、その土地に本来あった森林が、自然災害や伐採によって失われ、その後自然に再生した森林を指す。この安比高原のブナの二次林は80年ほどかけて再生されたものだという。


「その昔、安比高原のブナは、地元の人達が木炭や漆器等の資材にするため、ほとんど伐採されてしまいました。ただ、そのなかで伐採できないような大きな木が親木として残り、種子(写真参照)が落下し、一斉に発芽して成長しました。そのために背丈が揃った美しいブナ林が再生しました。また、今でも残った樹齢200年から300年ともいわれる親木のブナの巨木を観察することができます」

ブナの森には、休憩施設「ブナの駅」から、2.3キロメートルほどの遊歩道が整備されており、下草のない道をたどりながら散策が楽しめる。
森の中を巡るルートがいくつかあり、なかには「ハートの小路」などの名称が付いている道も。遊歩道は森全体を50分ほどかけて一周できるそう。

Photo: 八幡平市観光協会
「ブナ林の特徴は緑のダムと呼ばれるほどの保水力です。一歩足を踏み入れると、しっとりと肌が潤うような空気に包み込まれると思います。散策するだけでも、リフレッシュ効果が抜群です」
遊歩道には20メートルおきに案内標識があり、森の中でも迷うことなく安心して森林浴が楽しめる。八幡平市観光協会では、依頼があればガイドの紹介も行うそうだ。
「ブナ二次林の紅葉は10月上旬からはじまり、遊歩道では黄色く色づいたブナの木々を間近に見ながら歩くことができます。秋が深まるころには、散策路は落ち葉が重なってじゅうたんのようになります。その、ふかふかした感触をぜひ体験していただきたいです」

Photo: 八幡平市観光協会
実は、安比高原は現在おしゃれな宿泊施設が建ち並ぶリゾート地となっていて、快適にゆっくりと滞在することも可能だ。
「安比高原のホテルでは、この地域の自然や文化の今と昔、そして、このブナ林のお話をしながらガイドするプランを用意しているところもあるので、そういったプランを利用すれば、より充実した散策を安心して楽しめます」
安比高原の美しいブナ林で、心ゆくまで散策や森林浴を楽しんでみてはいかがだろうか。
By MOROHASHI Kumiko
Photo: Hachimantai City Tourism Association; PIXTA


