VOL.197 OCTOBER 2024
JAPAN’S HEALING FORESTS (PART 2)
Autumn Forests with Colorful Leaves
彩り豊かな紅葉が楽しめる湿原・大沼公園

紅葉する大沼公園からのぞむ新湯富士。例年、10月下旬になると、このような景色が楽しめる。
Photo: 那須塩原市観光局
首都圏北部の栃木県の北よりに位置する那須塩原市。なかでも、日光国立公園*の一角をなし、多種多様な紅葉が楽しめる大沼公園を紹介する。
今回紹介する大沼公園とその周辺の森は、東京から北へ約200キロメートルの距離にあり、「森林浴の森 日本100選」**でも「大沼の森」として選ばれた地域だ。那須塩原市観光局の猪瀬 隆弘さんによれば、「大沼公園は標高980メートルに位置する湿原です。新湯富士(標高1,184メートル)の南側から東側にかけて広がり、四季を通じてさまざまな森林景観と生態系を見ることができます。大沼公園には、「ヨシ沼」と「大沼」があり、ミズナラなどの広葉樹がその周辺を囲んでいます。また、栃木県の森全体に言えるのですが、紅葉するカエデの種類が大変多いのが特徴で、大沼公園周辺では約23種類のカエデが観察できます」

公園には整備された遊歩道が通っていて、大沼、ヨシ沼とも、それぞれ一周することができる。
「ヨシ沼周辺の遊歩道は、ユニバーサルデザイン***による木道歩道として整備されていますので、車いすのかたも通行が可能です。秋は、トチノキやミズナラなど木々が紅葉する中、多くの方々が散策され、森林浴を楽しんでいただいています。そして、大沼も水辺を周回しながら紅葉が楽しめる1.8キロメートルの遊歩道があり、風情があって楽しめると思います。黄色や赤などさまざまな色の落ち葉がまるで絨毯のように敷き詰められ、秋色に染まった遊歩道を歩めばとても心地よく、癒されます」

Photo: 那須塩原市観光局
「さまざまな紅葉がグラデーションを描くように周囲の森を染め上げ、足元に視線を移せば水辺のヨシ群の草紅葉も楽しめる。まさに大沼公園でしか楽しめない秋の景観があると思います。また天気の良い日は新湯富士が水面に映る「鏡富士」と称する姿を楽しむこともできます」
また、大沼公園から北へ車で20分ほど向かったところにある「塩原温泉ビジターセンター」では、4月から11月にかけて「ネイチャーウォーク」****を定期的に開催。森の案内人である「パークコンダクター」と一緒に、その時期にしか味わえない景観や、自然の営みをじっくり観察できる散策プログラムとなっているそうだ。
「大沼公園は、高木から低木に至るまで紅葉が徐々に進み、その期間が長いのが特徴です。10月にはパッチワークのようにところどころに紅葉が始まり、また11月には低木も紅葉し、一面、彩り豊かな織物のように美しい紅葉の光景が楽しめると思います」
なお、紅葉の時期には、周囲の有名な吊橋もぜひ足を伸ばしてみてほしいという猪瀬さん。

Photo: 那須塩原市観光局

Photo: 那須塩原市観光局
「最近、海外のかたがよく訪れる秋の人気スポットに「紅の吊橋」(全長約53メートル)や「もみじ谷の大吊橋」(全長約320メートル)があります。みなさん、吊橋からの眺めを楽しんでいらっしゃいます。また、大沼公園の「紅葉狩り」に訪れた際には、彩り豊かな紅葉を楽しまれたあと、ぜひ塩原温泉郷にもお立ちよりいただき、温泉でリフレッシュして頂けたらと思います」
* 日光国立公園…栃木県、群馬県、福島県の3県にまたがる国立公園。総面積は約11万5千ヘクタールで、公園区域の大半は那須火山帯に属する山岳地。
** 林野庁が関係団体と共同で、1986年(昭和61年)に制定した日本の森林の選。
*** バリアフリーが、障害によりもたらされるバリア(障壁)に対処するという考え方であるのに対して、ユニバーサルデザインは障害の有無、年齢、性別等にかかわらず、多様な人々が利用しやすいよう、あらかじめ都市や生活環境をデザインするという考え方。そのユニバーサルデザインに基づいて設計されていることを指す。
**** 2024年秋期は10月25日からの3日間と11月16日、17日の2日間にわたって開催。
By MOROHASHI Kumiko
Photo: the tourism bureau of Nasushiobara city; PIXTA


