VOL.197 OCTOBER 2024
JAPAN’S HEALING FORESTS (PART 2)
Autumn Forests with Colorful Leaves [日本刀の美]梨地螺鈿金装飾剣なしじらでんきんそうのかざりたち

国宝「梨地なしじ螺鈿らでん金装飾きんそうのかざりたち」(寸法:総長約103㎝)
Photo: ColBase

国宝「梨地なしじ螺鈿らでん金装飾きんそうのかざりたち」は、「朝廷の儀式のときに正装した高位の公家が帯びた剣」*で、12世紀の制作とされる。「飾剣は天皇から特別な許可を得なければ用いることができなかった。」*

唐鐔からつばさやつかに(中略)金物を付けるのが、飾剣の特徴」*だ。この飾剣では、「鍍銀とぎんの地板の上に、鍍金ときんで繊細な枝菊文えだぎくもん高彫たかぼり透彫すかしぼりで表しており、(中略)鞘の金物の間は梨地に尾長鳥を螺鈿で表す。全体にほっそりとして、わずかに反った優美な姿で、和様への嗜好がうかがえる」*仕上がりとなっている。

公家くげ広橋家ひろはしけに伝わり、現在は東京国立博物館が所蔵している。


梨地なしじ螺鈿らでん金装飾きんそうのかざりたち」のつかの部分。華やかな装飾が見てとれる。
Photo: ColBase

* e国宝より引用。

≪引用箇所の用語について≫

  • 公家くげ…天皇に仕える貴族、官人を総称して公家という。古くは天皇や朝廷そのものを指し、「おおやけ」「こうけ」「こうか」とも言った。
  • 唐鐔からつば…鐔の一種。すかし彫りを施し、菊などの模様がある豪華なつくりの鐔。
  • つばさやつか…「柄」は刀剣を握る部分を指し、柄と刀身との間に挟んで柄を握る手を防護する部具を「鐔」、刀身を覆う外装を「鞘」と言う。
  • 鍍金ときん鍍銀とぎん…銅または銅合金の表面に、金や銀などを付着させる金工加飾技法の一つ。
  • 高彫たかぼり…模様を高く浮き上がらせるように彫ること。またその様式で彫ったもの。
  • 透彫すかしぼり…金属などをくりぬいて彫り、模様をあらわすこと。またその様式で彫ったもの。
  • 梨地、螺鈿…「梨地」は蒔絵まきえ技法での装飾の一つ。「蒔絵」とは、漆で絵や文様を描き、漆が固まらないうちに金や銀などの粉をいて表面に付着させてさまざまなものを装飾する技法。「梨地」は金粉を用いた金梨地が典型で、仕上げがナシの皮の表面のようにざらざらしていることからその名がついた。「螺鈿」は、貝の美しい面を装飾面にはめ込んで装着する技法。
  • 尾長鳥…尾羽の長い鳥を指す。
  • 広橋家ひろはしけ…元来は「廣橋」と表記。広橋ひろはし頼資よりすけ(1182年生、1236年没とされる)を祖とする公家の一族。

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