メディア別の政府広報

内閣府大臣官房政府広報室が企画・制作した各種広報をメディア別に紹介しています。

音声広報CD「明日への声」

vol.38(平成26年(2014年)7月発行)

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トラックナンバー6

(タイトル)小倉百人一首を楽しむ

(本文)

このコーナーでは、かるたとして古くから親しまれ、学校の教材としても使われることが多い「小倉百人一首」について、毎回2首ご紹介します。
「小倉百人一首」は、鎌倉時代の歌人、藤原定家によってまとめられた歌集で、飛鳥時代後期から鎌倉時代初期、7世紀から13世紀までの100人の有名な歌人の歌が一首ずつ選ばれています。そこには、美しい日本の四季、人の喜びや悲しみ、恋する気持ちなどが歌われています。

まずは、夏の風情を詠んだ歌を一首。

かぜそよぐ ならのおがわの ゆうぐれは
みそぎぞなつの しるしなりける

風そよぐ 楢の小川の 夕暮れは 御禊ぞ夏の しるしなりける

詠み人 従二位家隆(じゅにいいえたか)

この歌は、「上加茂神社を流れる御手洗川では、楢の葉をそよがせる風が吹いて、秋のような涼しさだ。夏の禊が行われているので、そのことだけがまだ夏であることを思い出させてくれる。」という意味です。
「楢の小川」とは京都府にある上加茂神社の境内を流れる御手洗川のことで、当時は旧暦6月末、現在の7月末に夏越の祓が行われました。夏越の祓とは、その年の上半期の罪や災いを払い落とすために、河原に出て水で身を清める行事のことです。楢の葉が風にそよぐ音、小川のせせらぎ、祓いの儀式後の清々しさなど、涼しさが感じられる夏の歌となっています。
作者の従二位家隆は藤原家隆で、藤原定家と並び称される歌の名手で、『新古今集』の撰者の一人です。素直で気品あふれる和歌を多く残しました。
夏越の祓は、現在も全国各地で行われており、この歌の舞台となった上加茂神社では、毎年6月30日に「夏越大祓」が行われています。罪や災いを人形に託して、境内を流れる「楢の小川」に流します。

では、もう一度、お聞きください。

かぜそよぐ ならのおがわの ゆうぐれは みそぎぞなつの しるしなりける

続いて、募る恋心を詠んだ歌を一首。

つくばねの みねよりおつる みなのかわ 
こいぞつもりて ふちとなりぬる

筑波嶺の 峰より落つる みなの川
恋ぞ積もりて 淵となりぬる

詠み人 陽成院(ようぜいいん)

この歌は、「筑波山の峰からしたたり落ちた滴が集まって水無川の淵となるように、あなたへの恋心が積もり積もって、こんなにも深いものになりました」という意味です。筑波嶺とは、茨城県にある筑波山のことで、男体山と女体山の2つの嶺を持ち、古くから信仰の山として知られてきました。水無川は、筑波山から流れ、桜川となり、霞ヶ浦に注ぐ川です。淵とは川が深く水がよどんだところで、恋心の深まりを、しずくが渓流に、そして川へと変化して行く様で、巧みに表現しています。
作者の陽成院は、第57代の天皇で10歳の若さで即位しました。しかし、乱暴なふるまいなどにより、政局を混乱させたとして、叔父である藤原基経によって、その座を追われ、光孝天皇に譲位しました。実はこの歌を送った相手の女性とは、この光孝天皇の娘の綏子なのです。
政治的には不幸な境遇にあった陽成院でしたが、この恋は実り、後に綏子を妃に迎えました。一説にはこの歌の力が、綏子に結婚を決意させたとも言われています。

では、もう一度、お聞きください。

つくばねの みねよりおつる みなのかわ こいぞつもりて ふちとなりぬる

いかがでしたか。今回は、夏にふさわしい「水」にまつわる、趣きの異なる2首をご紹介しました。自然の持つ清涼感や躍動感が伝わってきますね。
夏のひととき、古の人の詠んだ歌に触れ、季節の風景や自然の変化から描き出される情感を味わってみませんか。

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