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メディア別の政府広報

内閣府大臣官房政府広報室が企画・制作した各種広報をメディア別に紹介しています。

音声広報CD「明日への声」

vol.49(平成28年6月発行)

音声広報CD「明日への声」のHTML版をトラックナンバーごとにご覧いただけます。こちらから移動できます。
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トラックナンバー6

(タイトル)
小倉百人一首を楽しむ

(本文)
このコーナーでは、かるたとして古くから親しまれ、学校の教材としても使われることが多い「小倉百人一首」について、毎回2首ご紹介します。
「小倉百人一首」は、鎌倉時代の歌人、藤原定家によってまとめられた歌集で、飛鳥時代後期から鎌倉時代初期、7世紀から13世紀までの100人の有名な歌人の歌が一首ずつ選ばれています。そこには、美しい日本の四季、人の喜びや悲しみ、恋する気持ちなどが歌われています。

今回は、遣唐使にまつわる歌、2首をご紹介します。東アジアの大帝国であった唐。その都・長安は遥かな国々からさまざまな物や人々を引き寄せ、先端の文化を誇ったといいます。その唐と友好を保ち、すぐれた唐の制度や文化を学ぶとともに、朝鮮など東アジアの情報を得るために、日本は唐に遣唐使を派遣しました。
ともに遣唐使に選ばれたものの、その後、まったく異なる道をたどった安倍仲麿と参議篁(さんぎたかむら)。遣唐使にまつわる、それぞれの境遇を歌っています。

まずは、安倍仲麿の歌です。

安倍仲麿は、698年生まれ。717年の第8回遣唐使に選ばれて唐に渡りました。日本でも優秀だった彼は、唐でも勉強に励み、科挙というとても難しい官僚登用試験に合格し、当時の皇帝に仕えました。唐で暮らして35年ほど経ったころ、ようやく日本に帰ることになりました。しかし、安倍仲麿を乗せた船は悪天候のために難破。帰国を断念した一行は唐に戻り、安倍仲麿は72歳で亡くなるまで、唐の高級官僚として出世したそうです。
安倍仲麿がいよいよ日本へ帰国できるというとき、送別会の席で詠んだ歌です。

あまのはらふりさけみればかすがなる
みかさのやまにいでしつきかも

天の原ふりさけ見れば春日なる
三笠の山に出でし月かも

この歌は、「唐の大空をはるかに仰げば、月が出ている。あの月は、かつて故郷の春日にある、三笠山の上に出ていたものと同じなのだなあ」という意味です。「天の原」は広々とした大空のこと。単に空の広さを示しているだけでなく、時間的な広がりも表しています。唐の大空をはるかに仰げば見える月を、故郷の春日にある三笠山の上に出ていた月と重ね併せて、ようやく日本に帰ることができる万感の想いを詠っているのです。この後、船が遭難して結局、日本へ帰れずに中国で亡くなったことを思い合わせると、なんとも切ない気持ちになる和歌です。帰国はかないませんでしたが、彼の歌は、日本に伝えられ、今も読み継がれています。
それではもう一度聞いてみましょう。

あまのはらふりさけみればかすがなる
みかさのやまにいでしつきかも

続いては、参議篁の歌です。

参議篁は、802年生まれ。当時、小野篁と呼ばれていました。参議とは、当時の役職名で、大納言、中納言の次に偉い地位のことです。第17回遣唐使の二番目に偉い副使に選ばれましたが、実際には唐に渡ることはありませんでした。なぜなら、渡航の直前に、遣唐使団の大使、藤原常嗣と意見の相違から、篁本人が唐へ向かうことを拒否したからだといわれています。横暴な藤原常嗣を許せなかった篁は、遣唐使の制度を風刺するような詩まで作ってしまいます。これらが原因で、現在の島根県隠岐の島への島流しの処刑にあいます。
島流しの処刑にあい、隠岐の島へ向かう船の上で詠んだ歌です。

わたのはらやそしまかけてこぎいでぬと
ひとにはつげよあまのつりぶね

わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと
人には告げよ海人の釣船

この歌は、「果てしなく広がる大海原、多くの島々を目指して私は船をこぎ出していったと、都に残した人に伝えておくれ、漁師の釣り船よ」という意味です。天皇の怒りを買い、貴族の称号も役職もすべて取り上げられ、遠い島へ行かなければならなかった篁の孤独な気持ちが、ひしひしと伝わってきます。しかし、「人には告げよ」と力強く呼びかけています。そこには、処罰されたことを恨んだり、我が身の不遇を嘆いたりするような女々しさはありません。納得がいかないことには従わず、そのために罰せられてもいとわない反骨精神を感じます。
数年後には罪を許され、晴れて都に戻ります。島流しの処刑をバネにして、のちに作者名の「参議」の位まで出世しました。
それではもう一度聞いてみましょう。

わたのはらやそしまかけてこぎいでぬと
ひとにはつげよあまのつりぶね

いかがでしたか。遣唐使に選ばれた2人にまつわる、それぞれの境遇をつづった歌を紹介しました。遣唐使の歴史には、こんな物語があったのですね。皆さんも、和歌を通じて、歴史を楽しんでみませんか。

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