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メディア別の政府広報

内閣府大臣官房政府広報室が企画・制作した各種広報をメディア別に紹介しています。

音声広報CD「明日への声」

vol.54(平成29年(2017年)3月発行)

音声広報CD「明日への声」のHTML版をトラックナンバーごとにご覧いただけます。こちらから移動できます。
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トラックナンバー6

(タイトル)
小倉百人一首を楽しむ

(イントロダクション)
 このコーナーでは、かるたとして古くから親しまれ、学校の教材としても使われることが多い「小倉百人一首」について、毎回2首ご紹介します。
 「小倉百人一首」は、鎌倉時代の歌人、藤原定家によってまとめられた歌集で、飛鳥時代後期から鎌倉時代初期、7世紀から13世紀までの100人の有名な歌人の歌が一首ずつ選ばれています。そこには、美しい日本の四季、人の喜びや悲しみ、恋する気持ちなどが歌われています。

(本文)
百人一首の選者である藤原定家は、藤原鎌足を祖先とする藤原氏の一族の一人。百人一首の作者にも一族の中から30人以上が選ばれています。
この藤原氏は、奈良時代から平安時代に、皇室と婚姻関係を結び、摂政や関白を務めるなど、権力を握り栄華を極めていました。しかし、その一族の中でも様々な出世争いがあったようです。今回は、藤原氏の同時代を生きた、権力を持つ者と持たない者の歌を紹介します。

はじめに紹介するのは、あまり権力を持てなかった藤原基俊の歌です。

ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて
あはれことしの あきもいぬめり

契りおきし させもが露を 命にて
あはれ今年の 秋もいぬめり

この歌は、「お約束くださった、『させも草』の露のようなありがたいお言葉を、いのちのように大切にしていましたのに、その望みもかなわず、ああ、今年も秋は過ぎ去っていくようです」という意味です。

この歌が詠まれた状況を少し説明しましょう。
藤原基俊はさほど出世はしなかったため、興福寺の僧侶となっていた息子の光覚に期待をしていました。興福寺で毎年秋に開かれる「維磨会」という重要な仏教行事で経を読む講師という役を務めることは、大変名誉なことで将来を約束されます。そこで、一族の最高権力者である藤原忠通に息子を講師にしてほしいとお願いしたところ「なほ頼め しめぢが原の さしも草 われ世の中に あらむ限りは」と古い歌を引用して、「私がこの世にいるうちは頼ってもいいぞ」と答えてくれたのです。
しかし、その願いがかなえられることはありませんでした。基俊の歌は、一日一日と深まっていく秋を実感しながら、「ああ、もう講師が決まるはずの季節が過ぎ去っていくのか」と落胆する心情を表しているのですね。
それではもう一度聞いてみましょう。

ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて
あはれことしの あきもいぬめり

続いて紹介するのは、前の歌でも登場した最高権力者の藤原忠通の歌です。百人一首では、法性寺入道前関白太政大臣という名で掲載されています。

わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの
くもいにまがふ おきつしらなみ

わたの原 漕ぎ出でて見れば ひさかたの
雲ゐにまがふ 沖つ白波

 法性寺入道前関白太政大臣という名から分かるように、忠通は関白太政大臣まで上りつめました。出家して法性寺入道を名乗るまでは、摂政や関白を何度も務めたエリートです。
この歌は、「ひろびろとした大海原に舟を漕ぎ出して、あたりを見渡すと、はるかかなたには、海と空がひとつに溶け合って、雲と見間違えてしまうような沖の白波だ」という意味です。この歌は、後に保元の乱で政権を争うこととなる崇徳院から、海の遠い景色を詠む「海上遠望」というお題をもらって詠んだもの。王朝の歌としてはめずらしく、目の前に雄大な海の景色が浮かんできそうな、スケールの大きな歌ですね。最高権力者としての誇りと自信が歌にも表れているのかもしれません。

 それではもう一度聞いてみましょう。

わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの
くもいにまがふ おきつしらなみ

(エンディング)
いかがでしたか。同時代を生きた藤原氏でも、権力を持つ者と持たない者、その立場や境遇によって、詠まれた歌の内容も心情もまるで違うものですね。その歌が詠まれた背景や歴史を知ってみると、その歌に対する印象も随分と変わってくるのではないでしょうか。皆さんも、和歌を通じて、当時の権力争いや人間関係に思いをはせ、そこにある喜怒哀楽を感じてみませんか。

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