メディア別の政府広報

内閣府大臣官房政府広報室が企画・制作した各種広報をメディア別に紹介しています。

音声広報CD「明日への声」

vol.59(平成30年(2018年)1月発行)

音声広報CD「明日への声」のHTML版をトラックナンバーごとにご覧いただけます。こちらから移動できます。
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トラックナンバー6

(タイトル)
小倉百人一首を楽しむ

(イントロダクション)
 このコーナーでは、かるたとして古くから親しまれ、学校の教材としても使われることが多い「小倉百人一首」について、毎回2首ご紹介しています。
 「小倉百人一首」は、鎌倉時代の歌人、藤原定家によってまとめられた歌集で、飛鳥時代後期から鎌倉時代初期、7世紀から13世紀までの100人の有名な歌人の歌が一首ずつ選ばれています。そこには、美しい日本の四季、人の喜びや悲しみ、恋する気持ちなどが歌われています。

(本文)
 今回は、歌の中に動物が出てくる2首を紹介します。まずは、猿丸大夫(さるまるだゆう)の歌です。

おくやまに もみじふみわけ なくしかの
こえきくときぞ あきはかなしき

奥山に 紅葉ふみわけ 鳴く鹿の
声きくときぞ 秋は悲しき

 この歌は、「山の奥で、紅葉を踏みわけて鳴く鹿の声を聞くときこそ、秋が悲しく感じられるものだ」という意味です。鹿の鳴き声は秋の深まりを知らせる声とされ、また雄鹿が雌鹿を探して鳴く声が悲しげに聞こえることから、人恋しさ、寂しさを表す声とされてきました。作者は雄鹿に自分を重ね、遠く離れた妻や恋人を恋しく思ったのかもしれません。
 作者の猿丸大夫は伝説の歌人と言われ、聖徳太子の孫、天武天皇の子であるという説がありますが、はっきりしたことは分かっていません。実は、本人が作ったことが明らかな歌は1首もなく、なぜこの歌が猿丸大夫の作品となったのかは不明ですが、猿丸大夫ゆかりの神社として知られる京都の猿丸神社は、秋になると境内や参道が紅葉に埋め尽くされ、この歌を彷彿とさせる紅葉の名所になっています。
 それでは、もう一度聞いてみましょう。

おくやまに もみじふみわけ なくしかの
こえきくときぞ あきはかなしき

 続いては、中納言家持の歌です。

かささぎの わたせるはしに おくしもの
しろきをみれば よぞふけにける

かささぎの わたせる橋に おく霜の
しろきを見れば 夜ぞふけにける

 この歌は、「七夕の夜には、たくさんのカササギが翼を広げて、天の川に橋を架けるという。地上の橋にも真っ白な霜がおりているのを見ると、冬の夜も更けたようだ」という意味です。 
 中国の天の川伝説で、七夕の夜、カササギが翼を連ねて天の川に橋をかけ、織姫を彦星のもとへ渡らせたと言われています。この歌では、宮中の御殿と御殿を結ぶ橋を、カササギが渡した天の川の橋に見立てて詠まれています。冬の澄んだ空に白く輝く天の川と、霜がおりて真っ白になった宮中の橋。冬の夜更けには、天にも地にも、張り詰めた静寂と身を切るような寒さが訪れているのでしょう。
 作者の中納言家持とは、大伴家持(おおとものやかもち)のことです。10代から40歳過ぎまで歌人として活躍し、『万葉集』に473首も収められています。近年の研究では、大伴家持が『万葉集』の主な選者だったとされています。家持の歌は繊細さと情感があふれているとされ、この歌も冬の透明感と天上の橋というファンタジーが魅力ですね。
 それでは、もう一度聞いてみましょう。

かささぎの わたせるはしに おくしもの
しろきをみれば よぞふけにける

(エンディング)
 いかがでしたか? 百人一首に登場する動物は、人の想像力をかき立てるとともに、ときに感傷的な気持ちにもさせています。百人一首をいろいろな側面で見てみると、これまで知らなかった発見があります。皆さんもどうぞ、楽しんでみてください。

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