メディア別の政府広報

内閣府大臣官房政府広報室が企画・制作した各種広報をメディア別に紹介しています。

音声広報CD「明日への声」

vol65(平成31年(2019年)1月発行)

音声広報CD「明日への声」のHTML版をトラックナンバーごとにご覧いただけます。こちらから移動できます。
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トラックナンバー6

(タイトル)
小倉百人一首を楽しむ

(イントロダクション)

 このコーナーでは、かるたとして古くから親しまれ、学校の教材としても使われることが多い「小倉百人一首」について、毎回2首ご紹介しています。
 「小倉百人一首」は、鎌倉時代の歌人、藤原定家(ふじわらのていか)によってまとめられた歌集で、飛鳥時代後期から鎌倉時代初期、7世紀から13世紀までの100人の有名な歌人の歌が一首ずつ選ばれています。そこには、美しい日本の四季、人の喜びや悲しみ、恋する気持ちなどが歌われています。

(本文)

 まずは、平安時代中期の人、藤原義孝(ふじわらのよしたか)の歌です。

きみがため おしからざりし いのちさへ
ながくもがなと おもひけるかな

君がため 惜しからざりし 命さへ
長くもがなと 思ひけるかな

 この歌は、「あなたに会うためなら命など惜しくはないと思っていたが、お会いできた今となっては長く続く命であって欲しいと思うようになった」という意味です。「例え命が失われようとも会いたい」と願った相手に会えた後には、「命ある限りあなたと一緒にいたい」という心情を歌っています。
 作者の藤原義孝は容姿に優れ、人格も高く評価されていたそうですが、当時流行していた天然痘を患い21歳の若さで命を落としました。作者の短い命が、この歌の「長く続く命であってほしい」という願いをさらに際立たせるのではないでしょうか。

 それでは、もう一度聞いてみましょう。

きみがため おしからざりし いのちさへ
ながくもがなと おもひけるかな

 続いては、平安時代末期の人、式子内親王(しきしないしんのう)の歌です。

たまのをよ たえなばたえね ながらへば
しのぶることの よわりもぞする

玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば
忍ぶることの 弱りもぞする

 この歌は、「私の命よ、絶えるというなら絶えてしまえ。このまま長く生きてしまうと、耐え忍ぶ心が弱くなってしまいそうだから」という意味です。この歌は、「忍ぶる恋」という題が与えられて作られた歌と言われており、忍ぶ恋による女性の心情の激しさと悩ましさを表現しています。
 冒頭の「玉の緒」とは、もともと首飾りの玉をつなぐヒモのことですが、ここでは「魂を体につないでおくヒモ」、つまり「命」を表します。前半では「命など絶えてしまってもよい」と強い言葉を使って心情を表現していますが、後半では「このままだと、自らの恋心を隠して耐え忍ぶことができないから」と、気弱く儚げにその理由を明かしています。

 それでは、もう一度聞いてみましょう。

たまのをよ たえなばたえね ながらへば
しのぶることの よわりもぞする

(エンディング)

 いかがでしたか? 今回は命を捧げてしまうほどの、強い恋心を歌った二首をご紹介しました。人を好きになるということは、いつの時代も心を激しく揺れ動かすものなのかもしれませんね。

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