メディア別の政府広報

内閣府大臣官房政府広報室が企画・制作した各種広報をメディア別に紹介しています。

音声広報CD「明日への声」

vol66(平成31年(2019年)3月発行)

音声広報CD「明日への声」のHTML版をトラックナンバーごとにご覧いただけます。こちらから移動できます。
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トラックナンバー5

(タイトル)
小倉百人一首を楽しむ

(イントロダクション)

 このコーナーでは、かるたとして古くから親しまれ、学校の教材としても使われることが多い「小倉百人一首」について、毎回二首ご紹介しています。
 「小倉百人一首」は、鎌倉時代の歌人、藤原定家(ふじわらのていか)によってまとめられた歌集で、飛鳥時代後期から鎌倉時代初期、7世紀から13世紀までの100人の有名な歌人の歌が一首ずつ選ばれています。そこには、美しい日本の四季、人の喜びや悲しみ、恋する気持ちなどが歌われています。

(本文)

 まずは、平安時代中期の人、儀同三司母(ぎどうさんしのはは)の歌です。

わすれじの ゆくすゑまでは かたければ
けふをかぎりの いのちともがな

忘れじの ゆく末までは かたければ
今日を限りの 命ともがな

 この歌は、「いつまでも私のことを忘れることはないとあなたは言ってくれましたが、それがずっと続くことは難しいでしょう。それならばこの命、いっそ今日を限りに尽きてしまえばいいのに」という意味です。この歌が読まれたのは、後に関白となる藤原道隆(ふじわらのみちたか)が作者の家に通い始めたころで、幸せをかみしめていながらも、その幸せがこの先もずっと続くかどうか不安に感じる気持ちを歌に込めたのかもしれません。
 作者の儀同三司母は和歌の才能に恵まれ、後に女房三十六歌仙(にょうぼうさんじゅうろっかせん)の1人にも選ばれています。
 それでは、もう一度聞いてみましょう。

わすれじの ゆくすゑまでは かたければ
けふをかぎりの いのちともがな

 続いては、平安時代中期の人、大弐三位(だいにのさんみ)の歌です。

ありまやま いなのささはら かぜふけば
いでそよひとを わすれやはする

有馬山 猪名の笹原 風吹けば
いでそよ人を 忘れやはする

 この歌は、「有馬山からの風が、猪名の笹原に茂る笹の葉をそよそよとゆらす。まさにそうよ。どうしてあなたのことを忘れたりするものでしょうか」という意味です。この歌は、作者のもとに通っていた男がしばらく足遠くなった際に送ってきた、「あなたが心変わりしたか心配です」という手紙に対しての返歌(へんか)と言われています。なお、歌にある「そよ」とは、笹の葉がゆれる音である「そよ」と、「そうですよ」という二重の意味を持たせた掛詞(かけことば)になっています。
 作者の大弐三位は紫式部の娘としても知られ、生没年は不明ですが80歳を超える長寿であったと考えられています。また、儀同三司母と同様に、女房三十六歌仙の1人でもあります。
 それでは、もう一度聞いてみましょう。

ありまやま いなのささはら かぜふけば
いでそよひとを わすれやはする

(エンディング)

いかがでしたか? 今回は、人の心の移ろいを題材にした二首をご紹介しました。例えその時はお互いに心を寄せ合っていたとしても、いつまでも続くかわからないことに不安を覚える様子がそれぞれの歌で表現されていますね。

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