メディア別の政府広報

内閣府大臣官房政府広報室が企画・制作した各種広報をメディア別に紹介しています。

音声広報CD「明日への声」

vol67(令和元年(2019年)6月発行)

音声広報CD「明日への声」のHTML版をトラックナンバーごとにご覧いただけます。こちらから移動できます。
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トラックナンバー6

(タイトル)
小倉百人一首を楽しむ

(イントロダクション)
 このコーナーでは、かるたとして古くから親しまれ、学校の教材としても使われることが多い「小倉百人一首」について、毎回二首ご紹介しています。
 「小倉百人一首」は、鎌倉時代の歌人、藤原定家(ふじわらのていか)によってまとめられた歌集で、飛鳥時代後期から鎌倉時代初期、7世紀から13世紀までの100人の有名な歌人の歌が一首ずつ選ばれています。そこには、美しい日本の四季、人の喜びや悲しみ、恋する気持ちなどが歌われています。

(本文)
まずは、平安時代前期から中期にかけての歌人、参議等(さんぎひとし)の一首です。

浅茅生の小野の篠原忍ぶれど
あまりてなどか人の恋しき

あさぢふの をののしのはら しのぶれど
あまりてなどか ひとのこひしき

 この歌は、「丈の低い茅が生える野原の細い竹のように、秘めたる想いを忍んできたけれど、もうこれ以上はこらえられない。どうしてこんなにもあなたのことが恋しいのだろうか」という意味です。上の句では、丈の低い茅の生える情景と、じっと恋心を抑えている様子を重ねているようにも感じられ、穏やかな雰囲気を醸し出しています。一方、下の句では、こらえてもこらえきれない恋心を一気に読みだしており、非常に起伏のある歌となっています。
 作者の参議等の「参議」は官位名を表しており、本名は源等(みなもとのひとし)と言います。平安時代初期の書道家の代表を示す「三筆(さんぴつ)」のうちのひとりである嵯峨天皇(さがてんのう)のひ孫としても知られています。
 それでは、もう一度聞いてみましょう。

あさぢふの をののしのはら しのぶれど
あまりてなどか ひとのこひしき

 続いては、平安時代中期の人、赤染衛門(あかぞめえもん)の歌です。

やすらはで 寝なましものを 小夜更けて
かたぶくまでの 月を見しかな

やすらはで ねなましものを さよふけて
かたぶくまでの つきをみしかな

 この歌は、「あなたが来ないとわかっていれば、ためらわずに寝てしまったでしょうに。待っている間に、とうとう夜が更けて、西の空に月が沈んでいくのを見てしまいました」という意味です。赤染衛門の姉妹のもとに来る約束をしていたのにも関わらず、姿を現さなかったその恋人に対して、姉妹の気持ちを本人に代わって読んだ歌と言われています。
 作者の赤染衛門は平安中期に活躍した女流歌人で、紫式部や和泉式部、清少納言らとも交流がありました。紫式部は日記の中で、赤染衛門に対して風格を持った優れた歌人であると評しています。
 それでは、もう一度聞いてみましょう。

やすらはで ねなましものを さよふけて
かたぶくまでの つきをみしかな

(エンディング)
 いかがでしたか? 今回は二首ともに、恋しい人を想う切なさや会えない寂しさを表現した歌を紹介しました。現代のように、さまざまな連絡方法がなかった平安時代。「会いたい」という思いは、今の私たちが思う以上に強いものだったのかも知れませんね。

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