メディア別の政府広報

内閣府大臣官房政府広報室が企画・制作した各種広報をメディア別に紹介しています。

音声広報CD「明日への声」

vol68(令和元年(2019年)7月発行)

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トラックナンバー6

(タイトル)
小倉百人一首を楽しむ

(イントロダクション)

 このコーナーでは、かるたとして古くから親しまれ、学校の教材としても使われることが多い「小倉百人一首」について、毎回二首ご紹介しています。
「小倉百人一首」は、鎌倉時代の歌人、藤原定家(ふじわらのていか)によってまとめられた歌集で、飛鳥時代後期から鎌倉時代初期、7世紀から13世紀までの100人の有名な歌人の歌が一首ずつ選ばれています。そこには、美しい日本の四季、人の喜びや悲しみ、恋する気持ちなどが歌われています。

(本文)

 まずは、平安時代末期の人、俊恵法師(しゅんえほうし)の一首です。

夜もすがら もの思ふころは 明けやらで
ねやのひまさへ つれなかりけり

よもすがら ものおもふころは あけやらで
ねやのひまさへ つれなかりけり

 この歌は、「一晩中、恋しい人のつれなさを悲しく思って物思いにふけっている最近では、なかなか朝日が差し込んでくれない寝室の戸の隙間さえも薄情に思えてきます」という意味です。作者の俊恵法師は男性ですが、女性の立場から、物思いが続く夜が長いことをつらく思った歌となっています。恋に限らず、悩みで寝付けない経験を持つ人であれば、この歌のつらさを実感できるのではないでしょうか。
 父親である源俊頼(みなもとのとしより)や祖父の源経信(みなもとのつねのぶ)も優秀な歌人として知られ、俊恵法師を含めて三代連続で小倉百人一首に選ばれている一流歌人の家系です。17歳で父親と死別しますが、このころ東大寺の僧侶になったと考えられています。その後、自らが暮らす僧坊(そうぼう)を歌林苑(かりんえん)と称し、数々の歌会や歌合を開催するなど、平安時代末期の和歌の世界で強い影響力を持っていたと言われています。
 それでは、もう一度聞いてみましょう。

よもすがら ものおもふころは あけやらで
ねやのひまさへ つれなかりけり

 続いては、平安時代末期から鎌倉時代初期の人、西行(さいぎょう)法師の歌です。

嘆けとて 月やはものを 思はする
かこち顔なる わが涙かな

なげけとて つきやはものを おもはする
かこちがほなる わがなみだかな

 この歌は、「月が「嘆け」と私に物思いをさせるのでしょうか。いえ、そうではないでしょう。恋に迷い流す涙を、月のせいにして私は泣いているのでしょうね」という意味です。恋の悩みと分かっていながらも、月のせいにせずにはいられないという定まらない気持ちを巧みに表しています。この歌は、「月前(げつぜん)の恋」というお題に対して詠まれたものですが、作者である西行法師は、「月」に関する美しい歌を数多くつくったことでも有名です。
 西行法師は、武士の家柄に生まれ、「北面の武士」として上皇に仕えるなどしていましたが、23歳で出家し、諸国を旅しながら和歌を詠んだと言われています。後世の歌人からも高く評価されており、「奥の細道」で知られる俳人の松尾芭蕉(まつおばしょう)も西行法師の影響を受けていると考えられています。
 それでは、もう一度聞いてみましょう。

なげけとて つきやはものを おもはする
かこちがほなる わがなみだかな

(エンディング)

 いかがでしたか? 今回は二首ともに、恋の悩みを表現した歌をご紹介しました。恋しい人を想っていろいろと悩むということは、今も昔も変わらず誰もが経験していることなのかもしれませんね。

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