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メディア別の政府広報
内閣府大臣官房政府広報室が企画・制作した各種広報をメディア別に紹介しています。ラジオ番組
令和2年(2020年)10月11日・10月12日放送
安全に気を付けて楽しもう!ミニボートでの釣り(文字で読む)

- ゲスト
-
- 海上保安庁交通部安全対策課
海難防止対策官
寺口 直樹 - 海上保安庁
海の安全推進アドバイザー(ミニボート専門家)
小野 信昭
- 海上保安庁交通部安全対策課
- 柴田
- 本日のゲストは、海上保安庁安全対策課海難防止対策官の寺口直樹さんとミニボートの専門家の小野信昭さんです。よろしくお願いします。
- 柴田
- まず、寺口さんにミニボートの基本と事故について伺っていきます。釣りをされる方ってどれくらいいるのですか?
- 寺口
- はい。日本の釣り人口は、780万人以上と言われています。
- 柴田
- 多いですね。
- 寺口
- そうですね。釣りは大人から子供まで気軽に楽しめるマリンレジャーの一つです。
- のり
- 確かに釣りは色々な場所で幅広い年齢層の方々が楽しんでいるイメージがありますね! 僕も小さい頃からやっていました。
- 柴田
- 最近の釣りのトレンドは何ですか?
- 寺口
- これまではスタンダードな磯釣り、船釣りをはじめ、岸壁・防波堤釣りも人気でしたが、最近ではミニボートを使った釣りの人気が高まっているようです。
- のり
- そのミニボートというのは、どんなボートなのでしょうか?
- 寺口
- 平成15年(2003年)の規制緩和によって誕生した、長さ3メートル未満で推進機の出力1.5キロワット未満、わかりやすくいうとおよそ2馬力までの小型ボートです。速度は時速6キロメートル程度、人間が歩くのと同じくらいのスピードで進みます。
- のり
- 非常に可愛い感じで小さいですね。
- 柴田
- 小さいですよね。素材も色々なタイプがあるんですね。
- 寺口
- そうですね。空気で膨らませるタイプやリジッド型といって固形タイプのもの、さらには折り畳みタイプのものがあります。
- 柴田
- ちなみに、ミニボートは免許は要りますか?
- 寺口
- いいえ、必要ないんです。船舶の検査や登録も要りません。数万円で購入できるものもあります。近年、保有数が増えていることに伴って事故も年を追うごとに増加しています。去年は全国で90隻のミニボートが事故を起しており、過去最多でした。
- 柴田
- 事故の原因は何ですか?
- 寺口
- 最も多いのは、“気象や海の状況に対する不注意”です。風が強くて波が少し立っていたとしても「せっかく海まで来たんだから」と無理してミニボートに乗った末に転覆するケースが目立ちます。
- のり
- 少し天候が良くない時でも、「たまの休みで次いつ来られるかわからない」と強引に無理してしまう感じですかね?
- 柴田
- よく言いますよね。海だけじゃなく山でも「せっかく来たんだから」と言って強行してしまう気持ちが危険ということですよね。
- 寺口
- はい。そのとおりです。少しでも天候が良くないときや、数時間後に天候が悪化する可能性があるときは、予定を中止する、引き返す決断が必要です。
- のり
- 危険があるかもしれないから、「引き返す勇気」ですよね!
- 寺口
- はい。その勇気をお願いしたいと思います。また、「航走波」(大型船や漁船などが航行した時に発生する波)に気付かず、ミニボートが転覆してしまうケースがあります。さらに、他の船との衝突、空気漏れによる浸水、整備不良によるエンジン停止などの事故も多く発生しています。
- のり
- 釣りの前日は、釣り道具の手入れに気を取られてミニボートのチェックが甘くなったり、実際海に出ると釣りに夢中になってしまうんですかね。
- 寺口
- そうなんです。皆さん、釣りに関しては竿やエサをはじめ、知識を深める方が多いのですが、ご自身の安全について、例えば天候の確認やエンジンの整備といった事前の準備を怠ったり、海の上で釣りに夢中になってしまったりして、周囲の状況を気にしない、ということが多いように思います。釣りの楽しさとともに、安全意識を一層高めていただきたいと考えています。
- 柴田
- では続いて、ミニボート専門家の小野信昭さんに、ミニボートを利用する際の注意事項を伺っていきます。小野さんは、地元でミニボートクラブの会長もなさっているとのことですが、ミニボートの人気の理由を教えてください。
- 小野
- そうですね、店頭やネットでも購入できますし、車で海まで手軽に運搬できるのも人気の理由です。海の近くには、1日5,000円程度でミニボートを借りられるお店もあるため、特に土日・祝日は、大変多くの人がミニボートを楽しんでいます。
- のり
- 確かに車で運搬できたり、海の近くで借りられたりするのは手軽で良いですよね。
- 柴田
- ただ、手軽に楽しめるからこそ、安全面をしっかりとしないといけないですよね?
- 小野
- そうですね。まずご注意いただきたいのが、ライフジャケットの着用です。釣具店やマリンショップなどで購入できますので、必ず着用するようにしていただきたいです。
- 柴田
- リスナーの皆さんも是非、お願いします。
- 小野
- ライフジャケットを着用していると、もしもの時の生存率が大きく違います。必ず着用してください。最近では、薄型で水に浸かると膨らむタイプのものもあります。
- のり
- それは便利ですね。かさばらないので釣りの邪魔にもならない、ということですね。
- 柴田
- ライフジャケットの着用を前提として、ミニボートでの転覆や浸水を防ぐためには、何が必要ですか?
- 小野
- 常に見張りを行うことです。
- のり
- 見張り?
- 小野
- はい、周りに注意するということです。海の上では、釣りに夢中になってしまい注意が散漫になりがちです。釣りをしていても、例えば他の船が自分に近づいてこないかとか、航走波が自分のボートに押し寄せて来ないか、など常に気を配る必要があります。
- 柴田
- 海では自分の存在を周囲に知らせることも必要かなと思ったのですが、いかがですか?
- 小野
- そのとおりです。ミニボートは長さ3メートル未満と小さいということもあり、大きな船、あるいは漁船などから死角に入ってしまって、発見されづらいです。存在を気付いてもらうために「認識旗」というものを立てて、目立つようにする必要があります。長さが3メートルほどの棒の上に旗を立てるようにしましょう。それから、黄色や赤といった目立つ色の服装でボートに乗ることも大切です。
- のり
- 認識旗というのがあるんですね、自分の存在を認識させる旗ということですね。
- 柴田
- 目立つ色の服装は大事ですね。あと、ミニボートは小さくて軽いのが良い反面、波の影響を受けやすいですよね。乗っているときの注意点についてはいかがですか?
- 小野
- そうですね。ミニボートは基本的に1名か2名で乗ります。揺れやすく不安定なので、決してボートの上で立ち上がらないようにしなければなりません。重心を低く動く必要があります。
- 柴田
- ミニボートはどこまで遠くに行けるのですか?
- 小野
- ミニボートが安全に航行できる範囲の目安は、岸からだいたい1キロメートル以内です。また、岸から沖方向に向けてではなく、横方向への航行距離としては、出発地点から2キロメートル以内、かつ、万が一の時に自力でオールを使って漕いで戻れる範囲にしましょう。エンジンがかからなくなることもあるので、注意する必要があります。
- のり
- 釣りに夢中になってしまうかもしれませんが、安全のためには、最悪のことを想定しておかないといけませんね。
- 小野
- そのとおりです。岸から1キロメートル以内にいるといっても、海には潮の流れなどがあります。どんどん沖に行ってしまうかもしれないので、気を付けながら釣りを楽しんで頂きたいと思います。
- 柴田
- もし、自分が危険な状況になったり、ボートが転覆したりしている現場を目撃したら、どうすれば良いですか?
- 小野
- はい。海上保安庁に緊急連絡用電話、局番なしの「118番」に電話すると、救助の船が来てくれます。海での事件とか事故の場合は、118番へいち早く電話するということを覚えておいていただきたいと思います。
- のり
- 118番!皆さんしっかり覚えましょう!
- 小野
- また、聴覚などの障害のある方には、スマートフォンなどからの入力操作で海上保安庁への緊急時の通報が可能となっています。それは「NET118」というもので、1年ほど前からサービスが始まっています。こちらもあわせて覚えておいてください。
- 柴田
- 最後に、ミニボートでの事故防止についてさらに詳しく知りたい方は、どのサイトを見ればいいですか?
- 小野
- 海上保安庁のサイトの中に「ウォーターセーフティガイド」があります。「ミニボートの安全情報」というコンテンツがありますので、そちらをご覧いただきたいと思います。
- 柴田
- ウォーターセーフティガイドですね。釣りやボートで出かける皆さん、今後出かける予定の皆さん!こちらも是非確認してくださいね。