今こそ注目! 進化するお米の世界
私たち日本人に身近な食べ物“お米”。年代によっては、体型を気にして、お米を控えている方もいるかと思いますが、最近のお米はすごいんです。今回は、「今こそ注目! 進化するお米の世界」というテーマで深掘りしました。

- ゲスト
-
農林水産省 農産局 穀物課
米麦流通加工対策室長
葛原 祐介
BUZZ MAFF YouTuber
大島 沙央里
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和4年(2022年)8月28日
- 時間
- 18分14秒
- 配信終了予定日
- 令和5年(2023年)8月27日
文字で読む
-
青木 - 小麦粉を始め様々な食品や日用品の値上げが続いていますが、足立さん、最近、お米を買いましたか?
-
足立 - 一人暮らしということもあって、最近は電子レンジで温めるだけのパックになっているお米を買います。値段が変わっている印象は、特にないですね。
-
青木 - 食料品の価格が全般的に上昇する一方で、実は、お米の価格は安定しているんです。理由は、食生活の変化によりお米の消費量が減ってきているからです。さらに、新型コロナウイルスの影響により外食が少なくなって、飲食店でのお米の消費量が減少した一方で、お米はここ数年生産量が多いため、購入しやすい価格になっているんです。
-
足立 - そうなんですね! 確かに、小麦の値上がりやパンや麺類の価格は、家計にすごく響いていますから、お米はコロナ禍の家計を助ける救世主ということですね。
-
青木 - だから今こそ注目なんですが、注目する理由はそれだけではありません。スペシャリストをご紹介しましょう! 農林水産省 農産局 穀物課 米麦流通加工対策室長 葛原祐介さんです。
-
足立 - 葛原さん、今、お米に注目する理由、ほかにはどんなことがあるんですか?
-
葛原 - はい。日本は食べ物の多くを輸入に頼っている食料自給率が低い国です。日本のカロリーベースの食料自給率は、1965年は73パーセントでしたが、2000年度以降は40パーセント前後を推移しており、2021年度は38パーセントとなっています。この様な状況ですと、輸入先となる海外で異常気象が起こったり、感染症や戦争などで国際情勢が不安定になるなどにより、輸入がストップした場合には、十分な食料を確保できなくなるなど、大きな影響を受ける可能性があります。
-
青木 - 今年、多くの食料品が値上がりしているのも、異常気象による原料の不作や新型コロナウイルス、そして、ウクライナ情勢などが要因になっているんですよね。
-
足立 - 国内でもっと食料を生産できていれば、つまり食料自給率が高ければ、もう少し影響を抑えることもできたわけですよね。
-
葛原 - そうですね。こうした状況にあって、お米は国内で唯一自給可能な穀物です。私たちのこれからの食生活を守るためには、もっとお米を食べて食料自給率の向上を目指すことも重要と考えています。
-
青木 - 例えば、米を中心とした食生活にして、魚料理などの国内産の食材を使ったおかずを組み合わせると、食料自給率の向上につながりますし、和食は何より栄養のバランスが良いことから健康維持にもつながるそうです。さらに、最近はSDGsの観点からも食料自給率を上げることが求められています。
-
葛原 - そうなんです。日本の食料自給率が上がって、食品の輸入量が減れば、その分世界の食料に余裕が生まれ、途上国の人々も食料を買いやすくなる可能性があります。
-
足立 - それから、食料自給率を上げれば、海外から輸送する際に発生するCO2の排出量を抑えることにもつながりますよね。これもSDGsの取組の一つになりますね。
-
青木 - ところで、足立さん。日本人は昔に比べてお米を食べなくなったと言われていますけど、なぜだと思いますか? ちなみに、1965年は一人当たり一日にお茶碗5杯ほど食べていたんですが、2020年はその半分以下に減っています。
-
足立 - やっぱり今はご飯以外にも魅力的な食べ物がたくさんあるからじゃないですか。パンとかパスタとかラーメンを食べる機会が増えているし、ご飯は炭水化物だから体型が気になると控える人も多いので、ご飯を食べない若者が増えているんじゃないですか?
-
青木 - 実はご飯離れが進んでいるのは若者じゃないんですよ! お米の消費量が減っていると聞くと若者が食べないからだと思い込みがちですが、実は、20代の若者よりも40代以上の中高年の方々の方が食べていないんです。
-
葛原 - はい。近年の若者は学校給食でご飯を食べる習慣が身に付いていることもあり、20代になってもほぼ毎食ご飯を食べている方がおよそ4割いることがわかっています。一方、40代、50代の場合、ほぼ毎食ご飯を食べている方は2割ほどです。この世代の場合、太りたくないと考える方も少なくないようで、ご飯を控える傾向があると考えております。
-
青木 - 中高年者になると代謝が落ちるので、適度に運動しないとメタボリックシンドロームなど、生活習慣病が気になりますよね。それで太らないように食事制限をしようとすると「ご飯=炭水化物」「炭水化物=太る」と思い込んでご飯を制限するのかもしれません。でも、日本の食生活の変化に目を向けると、1965年から米の消費量は減っている一方で、脂質の摂取量は増えているんです。例えば、植物油の消費量は1965年から一人当たり年に1.5キログラムボトル3本から10本に増えています。
-
葛原 - そうですね。健康面を意識されるのであれば、なおさら、お米を中心とした日本型の食生活がお勧めなんです。
-
青木 - 日本型食生活とは、ご飯を主食としながら、主菜、副菜に加え、適度に乳製品や果物が加わった栄養バランスの取れた食事です。
-
葛原 - ご飯は脂質が少なく、様々なおかずとも相性が良く、バランスの良い献立が作りやすいんです。日本が世界有数の長寿国である理由は、こうした優れた食事内容にあると国際的にも評価されています。
-
足立 - 和食はヘルシーというイメージがありますし、世界中から注目されているのに、日本人がそのことに気付かずお米から遠ざかってしまうのはすごくもったいないですね。
-
青木 - しかも、近年のお米は機能性がうたわれるものも登場し進化しているんです! ここからは同じく農林水産省からBUZZ MAFF YouTuberとしても活動されている大島沙央里さんにも加わっていただきます!
-
足立 - 大島さん、BUZZ MAFF YouTuberって何ですか?
-
大島 - 農林水産省には公式のYouTubeチャンネルBUZZ MAFFがありまして、職員自らが担当業務にとらわれず、それぞれの職員の個性を生かして日本の農林水産物の良さや農林水産業、農山漁村の魅力を発信しているんです。私もお米の魅力などを発信しています。
-
青木 - ここでは、そんなBUZZ MAFF YouTuberの大島さんにお米にまつわる最新の情報を伺っていきます。一口にお米といっても近年は様々な機能を有するお米がたくさんあるんですよね。例えば【ロウ層を取り除いた玄米】です。大島さん、これはどういったお米でしょうか?
-
大島 - はい。玄米というと、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれていることで知られていますが、白米よりも水を吸収しにくいため炊飯に時間が掛ったり、独特の匂いや食感などから食べにくいと感じる方もいます。この食べにくさは、玄米の表面にあるロウと呼ばれる層によるものですが、このロウ層を取り除いた玄米は、玄米の栄養をそのままに、食べやすくした、新しい玄米なんです。
-
足立 - 先ほど、写真を拝見したのですが、見た目は玄米と同じ茶色っぽい色です。味はどんな感じですか?
-
大島 - 見た目は、玄米と同じような感じですが、食感や食べ応えが良く、食べやすいので普段の食事で、様々なものに取り入れやすいと思います。
-
青木 - 続いてご紹介する進化したお米は【巨大胚芽米】! 大島さん、こちらはどんなお米なんでしょうか?
-
大島 - はい。こちらは通常のお米と比べて胚芽、いわゆるお米の芽になる部分が2倍から3倍も大きいお米です。胚芽部分が大きいということは、それだけビタミンEなどが豊富ということです。
-
足立 - 健康なお米と聞くと、発芽玄米もよく聞きますよね。
-
大島 - 【発芽玄米】や【発芽米】と呼ばれるお米は玄米を発芽させたものです。発芽させた玄米は硬い外皮が柔らかくなるため食べやすく、GABAなどの成分も含まれていることから、こちらも、健康の観点から関心の持たれているお米です。
-
足立 - このようなお米の味はどうですか?
-
大島 - 絶妙なもちもち感で、お米の香ばしい香りがします。白米に近い食感で、おにぎりなどにもお勧めです。玄米に食べにくさを感じている方は、これらの新しい玄米を是非、試してみて欲しいです。
-
青木 - そして、もうひとつ、気になるお米があります。【プリンセスサリー】です! こちらは、どんなお米なんですか?
-
大島 - 【プリンセスサリー】は南アジアの最高級米といわれるバスマティ米を日本で栽培できるように改良した品種です。カレーなどに合う細長い形の長粒種と呼ばれるお米で、炊くと茹でた枝豆やポップコーンのような香りがします。日本のお米は短い粒、短粒種でモチモチとした食感が特徴ですが、このプリンセスサリーは、短粒種と長粒種の両方の特徴を併せ持った品種なんです。
-
足立 - パラパラしたお米ということですか?
-
大島 - そうですね。パラパラの中にも、日本米のモチモチとした食べやすさも残っていてこのお米は本当に枝豆の匂いがします。
-
足立 - チャーハンやカレーに合いそうですね。日本人の舌に合うように改良されているから、私たち日本人も好んで食べやすいんですね。
-
青木 - しかも、国内産ですから、食料自給率の観点からもいいですよね。まだまだ、知らないお米がいっぱいあるんですね。
-
葛原 - 今日はお米にまつわる食料自給率やSDGs、日本型の食生活、そして進化しているお米のお話をしてまいりました。お米を作っている水田は、洪水や土砂崩れを防いだり、多様な生き物を育むなど様々な役割を果たしています。また、水田風景は美しく私たちの心を和ませてくれる日本が誇る財産でもあります。これからお米は収穫の時期を本格化してまいりますが、身近なお米を新たな視点も加えて味わってみると、更に美味しく楽しめるのではないでしょうか。
-
足立 - 私、白米が大好きなんですが、お米にもこんなに種類があるのを初めて知りました。今日の話を聞いて、自分に合うお米を探してほしいなと思いました。
-
青木 - 私が印象に残ったのは、食料自給率向上のためにお米を食べようということです。2021年度は38パーセント。やはり、一国民としては、この数字をもう少し上げてほしいと思いますので、お米をもっともっと、食べようと思いました。
関連リンク
政府からのお知らせ
- 「みんなですすめよう! 災害に強い国づくり」
- 令和5年(2023年)4月2日(日)
- 「目指せ日本復権! 半導体の世界」
- 令和5年(2023年)4月9日(日)
バックナンバー
コントロールが肝心! スマホ時代の子育て
令和5年(2023年)3月26日放送
食から日本を考える。ニッポンフードシフト
令和5年(2023年)3月19日放送
あゆみ続ける福島の今と、その先の未来
令和5年(2023年)3月12日放送
「Jアラート」 その瞬間、その行動が命を守る!
令和5年(2023年)3月5日放送
事業の新たな展開を応援! リスキリング支援
令和5年(2023年)2月26日放送
食の恵みを育む! BISTRO下水道
令和5年(2023年)2月19日放送
ホンモノに出会おう! GI産品
令和5年(2023年)2月12日放送
困った時のはじめの一歩! いやや188(いちはちはち)番
令和5年(2023年)2月5日放送
なに?なぜ? G7広島サミット
令和5年(2023年)1月29日放送
「いじめ」させない! 見逃さない!
令和5年(2023年)1月22日放送
まずは相談! クリエイターの権利を守ろう
令和5年(2023年)1月15日放送
110番通報の新たなシステムと、使い分けよう#9110番
令和5年(2023年)1月8日放送
力を合わせて実現しよう! 30by30(サーティバイサーティ)
令和5年(2023年)1月1日放送
地球を救う! スマート農業
令和4年(2022年)12月25日放送
選べていますか?自分に合った携帯電話の料金プラン
令和4年(2022年)12月18日放送
開業150周年 鉄道の魅力再発見!
令和4年(2022年)12月11日放送
あなたの口座でもマネー・ローンダリング対策
令和4年(2022年)12月4日放送
「減らす ずらす 切替える」 冬の省エネ・節電対策
令和4年(2022年)11月27日放送
こどもまんなか社会を実現しよう! こども家庭庁創設
令和4年(2022年)11月20日放送
資産づくりの第一歩 はじめよう!つみたてNISA
令和4年(2022年)11月13日放送
だから食べよう!豊かなさかなの国 日本
令和4年(2022年)11月6日放送
安心スマホ・ライフ! サイバー犯罪からお金や個人情報を守る方法
令和4年(2022年)10月30日放送
輝け!学びの未来 あなたのまちのコミュニティ・スクール
令和4年(2022年)10月23日放送
今こそウッド・チェンジ! 木のある暮らし
令和4年(2022年)10月16日放送
あなたはひとりじゃない! 声をあげよう! 声をかけよう!
令和4年(2022年)10月9日放送
福島の復興へ向けて 正しく知ろう 廃炉とALPS処理水
令和4年(2022年)10月2日放送
#(ハッシュタグ)で語ろう! 2025年大阪・関西万博
令和4年(2022年)9月25日放送
日本遺産 ~ストーリーに魅せられて~
令和4年(2022年)9月18日放送
申請は今がチャンス! デジタル社会のパスポート マイナンバーカード
令和4年(2022年)9月11日放送
命を守るために 家具類の転倒防止対策
令和4年(2022年)9月4日放送
今こそ注目! 進化するお米の世界
令和4年(2022年)8月28日放送
日本のパートナー 成長大陸アフリカ
令和4年(2022年)8月21日放送
ワクワクがいっぱい! 魅力あふれる日本の国立公園
令和4年(2022年)8月14日放送
投票しよう! Digi田甲子園
令和4年(2022年)8月7日放送
考えよう! 日本の食品価格事情
令和4年(2022年)7月31日放送
油断大敵 子どもの事故に御用心
令和4年(2022年)7月24日放送
ヤングケアラー 子どもが子どもでいられるように
令和4年(2022年)7月17日放送
ひとりひとりができること ゼロカーボンアクション30
令和4年(2022年)7月10日放送
今こそ考えよう! 暮らしを支える税の世界
令和4年(2022年)7月3日放送
土砂災害 その備えが命を救う
令和4年(2022年)6月26日放送
進化する学校給食の世界
令和4年(2022年)6月19日放送
本物の旅をしよう! 第2のふるさとづくり
令和4年(2022年)6月12日放送
おしゃれの新常識! サステナブルファッション
令和4年(2022年)6月5日放送
世界にコミット! 魅力あふれる日本の農林水産物と食品
令和4年(2022年)5月29日放送
魅力再発見! 暮らしを支えるダムの世界
令和4年(2022年)5月22日放送
相談してみませんか ギャンブル等依存症
令和4年(2022年)5月15日放送
パパ・ママを笑顔にする新しい育児休業制度
令和4年(2022年)5月8日放送
海の安全を守る! 海上保安官の世界
令和4年(2022年)5月1日放送
デジタル・スキルを身につけよう! マナビDX
令和4年(2022年)4月24日放送
転職なき移住! 地方創生テレワーク
令和4年(2022年)4月17日放送
沖縄復帰50周年 その歩みと魅力
令和4年(2022年)4月10日放送
思いやりとゆずり合いで交通事故のない社会を目指して! 春の全国交通安全運動
令和4年(2022年)4月3日放送