だから食べよう!豊かなさかなの国 日本
皆さんは、魚を食べていますか?魚を食べることは、私たちの体だけでなく、様々なことに、良い効果があるんです! 今回は、「だから食べよう!豊かなさかなの国 日本」 というテーマで深掘りしました。

- ゲスト
- 水産庁
漁政部 加工流通課長
五十嵐 麻衣子
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和4年(2022年)11月6日
- 時間
- 17分47秒
- 配信終了予定日
- 令和5年(2023年)11月5日
文字で読む
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青木 - 足立さん! 世の中には「○○の日」というのがたくさんありますよね。数字の語呂合わせで様々な業界団体が「いい夫婦の日(11月22日)」、「登山の日(10月3日)」などを制定しています。実は、今年の11月から、新たに「○○の日」が加わったんです! 何だと思いますか?
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足立 - 「いい」は付きますよね。何だろう。
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青木 - 実は、今年の11月から、水産庁が毎月3日から7日を「さかなの日」に制定し、特に、11月の3日から7日は「さかなの日」を盛り上げるために、「いいさかなの日」と呼んでいくそうです。
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足立 - 1日だけではなくて、3日から7日の連日なんですね。 しかも「さかなの日」は毎月ある、これは新しい制定のスタイルですね!
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青木 - 足立さんは、最近、魚を食べていますか?
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足立 - 一昨日、サンマを食べました!今日も、サンマを食べます。おすしも大好きですし、魚は好きですね。
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青木 - 足立さんは魚好きで、魚の話をよくしていますよね。僕も魚が好きで食べています。筋トレをしているんですが、魚の脂はそんなに太らないんですよ。日本は海に囲まれた国ですから、魚を食べる文化が根付いていますよね。でも、近年「魚離れ」とも言われていて、実際に、日本人の水産物の年間消費量は、2001年度のおよそ40kgをピークに減り続け、2019年度は、2001年のおよそ6割にまで減ってしまっているんです。一方でインドネシア、中国などでは消費量が伸びていて、主要な国の中では、日本だけが大幅に減少してしまっている状況なんです。
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足立 - やっぱり、こういう状況を考えると、こどもが魚を食べなくなっているということなんですか?
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青木 - それが、そうでもないらしいですよ。近年は回転ずしの市場が活発ですし、のり巻きや手巻きずしなども身近なので、おすしを好きなこどもは少なくないようなんです。
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足立 - 確かにおすしは、こどもが好きなイメージがありますね。あと、宅配やテイクアウトの専門店もありますし、身近なものですよね。
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青木 - 実際に、ある団体の調査によりますと、魚料理が「好き」「やや好き」と答えた人の割合は、なんと9割を超えているんです! こどもだけでなく、ほとんどの人は魚料理が好きなんですよね。それなのに、なぜ日本では、水産物の消費量が減少し続けているのか…。調査によると、「魚の扱いにくさ」や「調理の手間」といった、水産物のマイナスの特性が、家庭での消費にブレーキを掛けているようなんです。
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足立 - 確かに、魚をさばけなかったり、切身で買うと高くなるしといったところなのかな? それは、少し納得できるかも。
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青木 - でも、足立さん覚えていますか?「♪さかな、さかな、さかな、さかなを食べると~。あたま、あたま、あたま、あたまがよくなる~♪」という歌にもあるように、水産物などに含まれるEPAやDHAなどの必須脂肪酸は、健康維持に大切な働きをするというプラスの特性もあるんです。
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足立 - 骨ごと食べられる小魚は、カルシウムがとれるから、骨粗しょう症の予防になるというのは聞いたことがあります。
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青木 - そうですよね。さらに、水産物を摂取すると、脳卒中、心臓病、肝臓がんや膵臓がん、そして、認知症などの予防が期待できるといった研究もあります。それだけ魚を食べることは、私たちの体に良い効果があるんです。
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足立 - それで、「だから食べよう!」なんですね。
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青木 - そうなんです。でも、実はそれだけではないんです。ここからはスペシャリストに伺っていきましょう。水産庁 漁政部 加工流通課長の五十嵐麻衣子さんです。五十嵐さんは、水産庁で、水産物の消費拡大についてご担当されているとのことですが、日本での水産物の消費量の減少になかなか歯止めが掛からないようですね。
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五十嵐 - はい。日本は、恵まれた海洋環境を有しているにも関わらず、水産物の消費量が減少し続けていて、特に2001年頃から顕著です。こうした状況は非常に残念ですし、消費者の皆様にもっと魚に対する理解を 深め、もっと魚を食べていただきたいと思っています。
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足立 - 恵まれた海洋環境というのは、具体的にはどういうことなんですか?
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五十嵐 - はい。南北に長い島国である日本の周りの水域は、寒流と暖流がぶつかり合っていることから、冷たい水を好む魚と、温かい水を好む魚の両方が回遊や生息をしていて、日本の周りの海には、およそ3,700種もの魚がいるんです。
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青木 - 北はサケから、ホッケ、タラ、サンマ、ホタテ、カツオ、サバ、ヒラメ、ブリ、カレイ、ハタハタ、イワシ、マダイ、マグロ、フグ、サワラ、アジなどなど、日本は本当に豊かな魚の国なんです。
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五十嵐 - 日本は、世界でも有数の水産資源に恵まれた豊かな海がある国と言えます。この豊かな海があることにより、古来より魚を食べる文化が根付き、地域ごとの特色を生み出し、様々な郷土料理や加工品が受け継がれています。
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青木 - 好きな料理はありますか?
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足立 - 私が小学生ぐらいの頃、おばあちゃん家に行くと、「鮭のちゃんちゃん焼き」がよく出てきましたね! こどもながらに、何だこの料理は!と思ったんですけど、食べてみたらとてもおいしかったんです! 大人になってから、食べる機会が減っているので、また食べたくなりましたね。
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青木 - 僕も、小さい頃の思い出で、大分県におじいちゃんとおばあちゃんが住んでいたんですが、「関サバ・関アジ」が捕れるんですよ。豊後水道という流れが急な水道があり、そこで育ったアジやサバは肉質が良く、丸々と太って脂が乗っていておいしいんです!
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足立 - 想像しただけで、おいしそうですね。でも、このまま水産物の消費量が減少すると、こうした郷土料理なども受け継がれず、食べられなくなってしまうのかな?と不安になりました。
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青木 - せっかく、おいしく多種多様な魚料理ですから、途絶えさせたくはないですよね。そういう理由からも「だから食べよう!」なんです! しかも、魚を食べることは、持続可能、いわゆるサステナブルな消費行動でもあるといいます! ここからは、魚とサステナブルの関係や「さかなの日」を深掘りします。
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足立 - 五十嵐さん、魚を食べることがサステナブルって、どういうことなんでしょうか?
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五十嵐 - 魚などの水産資源は、使うと無くなってしまう鉱物資源や、人が育てなければできない農産物、畜産物とは違い、食物連鎖の中で、人が手を加えずとも、自然の力によって再生産される持続可能な資源です。水産資源は自然の再生産システムの中で産卵、成長、世代交代が行われていくので、この循環に影響を与えないように適切な量の漁獲と資源管理などを行うことにより、永続的に利用できる、持続可能な資源と言えます。
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足立 - つまり、むやみに捕らなければ、ずっと、おいしい魚が食べられるんですね。
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五十嵐 - はい。そのため、国においては水産資源の調査や評価を行い、漁獲可能量を設定したり、漁業者においても、自主的に漁の日数の制限などを行うなどして、水産資源の維持管理を適切に行っています。
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青木 - 昔は乱獲などがあり、一気に生態の数が減ってしまうことがありましたが、今は、そういうことがないように、しっかりと管理をしているということですね。
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五十嵐 - はい。また養殖業についても海洋環境への負担を軽減できる沖合養殖など、持続可能な養殖産業を推進しています。
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青木 - 養殖と言えば、足立さん。ウナギも好きですよね? 毎年、土用のうしの日が近づくと、今年のウナギは高いか安いか、ニュースにもなりますし、一喜一憂している方も少なくないと思いますが、絶滅の恐れがあり漁獲量が減っているニホンウナギの養殖が、2050年までには天然の稚魚に頼らず完全養殖できるよう、研究が進められているそうですよ! ウナギは長いこと、その生態が明らかにされてこなかった謎の野生生物と言われていますが、近年は徐々に解明されているんですよ。
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足立 - 最近は養殖の技術が向上していて、養殖のマグロなどもおいしいと聞きますからね。
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青木 - 実は、漁船や養殖活動により排出される温室効果ガスの量は、農業や畜産などと比べて少なく、環境への負荷が小さいんだそうです。
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五十嵐 - これらの点から、魚を選択して食べることは、SDGsの目標である「持続可能な消費のパターンの確保」につながり、SDGsの達成に向けた持続可能な消費行動と言えます。
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足立 - 魚を食べることは健康に良いだけでなく、SDGsを達成するための行動でもあって、未来のこどもたちにおいしい魚をつないでいくために貢献できる行動ということなんですね。魚を食べることとSDGsが、こんなふうに結び付いているのは知らなかったので、今日の気付きになりました。だから、ここでも「だから食べよう!」なんですね!
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青木 - そうなんです。そこで今年から制定された「さかなの日」のコンセプトは「さかな×サステナ」。毎月3日から7日は「さかなの日」として「さかなの日」のコンセプトに賛同した様々な企業や団体が独自のPR活動やキャンペーンを行なっているんですよね。
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五十嵐 - はい。「さかなの日」は多くの企業や団体などにご賛同いただいており、水産庁では、ホームページの中で賛同メンバーの活動内容などを紹介しているほか、旬の魚や、そのさばき方や食べ方、市場まつりなどのイベント情報や、新商品情報などを消費者の皆様へ発信するため、「さかなの日」公式サイトも 立ち上げています。
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足立 - 賛同メンバーの活動って、どんな活動があるんですか?
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五十嵐 - 例えば、スーパーなどでは旬の魚フェアや、水産エコラベル認証を取得した水産物フェアを開催しています。また、キッチンスタジオでは魚のさばき方教室を行ったり、ある飲食店では、小学校を対象に、サイズが規格外や調理が面倒などの理由で、市場に出ることが少ない未利用魚に関する教室を開催しています。
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青木 - 水産エコラベルは、資源などの持続性に配慮した方法で、漁獲・生産された水産物であることを示すものだそうですね。
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五十嵐 - はい。また製造メーカーさんでも、様々な取組を行なっていまして、簡単に調理できるように野菜と魚などに掛けるだけでおいしい一品ができるような調味料の開発を始め、魚介類に特化したお弁当販売や、キッチンカーの運営、規格外の魚を使用したミールキットなどの開発といった取組も行われています。
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足立 - 魚がおいしくなる調味料って、どんな調味料なんだろう。ちょっと気になりますね。
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青木 - 先ほども、魚離れの原因の一つとして、調理に手間が掛かったり、片付けが面倒といった声がありますから、そういった意味でも良いですよね。そして、「さかなの日」のキックオフイベントを、今月11月27日に開催される「Fish-1グランプリ」の中で実施する予定なんですよね。
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五十嵐 - はい。「Fish-1グランプリ」とは、全国の漁協などが選定した漁師が選んだ、本当においしい旬の魚「プライドフィッシュ」を使った料理コンテストなど、国産水産物のおいしさを伝えることや、水産物の消費拡大などの水産に関わる取組の情報発信を行うため、2013年から開催されてきた全国規模のイベントです。
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青木 - 過去2年は新型コロナウィルスの影響もあり、全国漁業協同組合連合会が運営する産直通販サイト「JFおさかなマルシェ ギョギョいち」を活用して「おうちでFish-1グランプリ-ONLINE-」を開催したということですが、今年はどうなんでしょうか?
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五十嵐 - はい。今回は3年ぶりに、日比谷公園でのリアル開催を計画しています。このイベントの中で、「さかなクン」と一緒に、水産庁が制定する「さかなの日」のキックオフを行うと共に、賛同メンバーの皆様による「さかなの日」にちなんだ魚食普及の取組・活動内容などのPRや商品の紹介をする予定です。また、この場では、「さかなクン」によるイベントや、賛同メンバーの皆様による「魚に関する出前授業」など、こどもたちや子育て世代をはじめ、多くの消費者の皆様に魚や魚食への理解を深めていただくための様々なメニューをご用意しています。
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青木 - これは楽しみですね。開催は今月11月27日 日曜日です。詳しくは「Fish-1グランプリ」の公式サイトをご覧ください。
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足立 - もう、考えるだけでお腹が空いてきました。
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五十嵐 - 今年の11月から、水産庁では毎月3日から7日を『さかなの日』と制定しました。魚を選択し、食べることによって、おいしい魚を次の世代へつないでいっていただきたいと思います。
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足立 - 今日の話の中で印象に残ったのは、魚を食べることがサステナブルになるというのが、すごく意外でした。「さかな×サステナ」これがもっと広まって、皆が魚を食べてくれたら嬉しいなと思いました。
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青木 - 私は、改めてなんですが、日本の恵まれた海洋環境ですね。日本の周りの海にはおよそ3,700種もの魚がいる。そういった環境の国に私たちは生きているということを改めて感じました。
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