選べていますか?自分に合った携帯電話の料金プラン
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今の携帯電話の料金プラン、本当にあなたに合っていますか?2019年の法改正以降、価格の安いプランが、各携帯電話会社から続々と登場しています。番組では、携帯電話会社の競争を活性化し、消費者が魅力的なサービスを選びやすくするための、2つの法改正ポイントを深掘り!さらに、乗り換えをしやすいように改善された手続きについても紹介!料金プランを見直せば、家計の負担を減らせるかもしれません。

- ゲスト
総務省 総合通信基盤局
電気通信事業部 料金サービス課 課長
片桐 義博
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和4年(2022年)12月18日
- 再生時間
- 18分52秒
- 配信終了予定日
- 令和5年(2023年)12月17日
文字で読む
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青木 - 今年は多くの物の値段が上がり、生活費を切り詰めたいと思っている方も少なくないと思います。そんな方に、是非、確認してもらいたいのが「携帯電話の料金プラン」なんです。
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足立 - 安く抑えられる可能性があるということですか?
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青木 - そうなんです。昨年の2月以降、携帯電話会社各社から、これまでのプランよりも価格が安い、いろいろな料金プランが続々と登場しています。新料金プランの契約数は、今年の9月末時点でおよそ4,500万。これは、一般利用者向けの携帯電話契約数のおよそ3割に当たるそうです。
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足立 - 実際に安くなっているんですか?
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青木 - 安くなっているんです!総務省が、今年の9月に実施したアンケート調査によると、新料金プランに乗り換えて、携帯電話料金が安くなったと回答した方の中には、5,000円以上安くなったと回答した方もいて、平均すると、月当たり2,000円ほど安くなっているそうなんです。
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足立 - 月々2,000円安くなるということは、年間2万4,000円。これはかなり、節約できますね。
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青木 - 3人家族で、全員が携帯電話を利用しているとしたら、単純に計算して、3倍で月々6,000円、年間7万2,000円安くなります。もちろん、家族全員が月々2,000円安くなるとは限りませんが、それでも、かなりの額の家計負担を減らすことができるかもしれませんよね。ところが、同じ調査によると、「既に乗り換えている」と答えた人が、およそ50パーセントいた一方で、「今のところ新料金プランに乗り換えるつもりはない」と答えた人がおよそ26パーセントいました。
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足立 - 安くなるのにどうしてなんでしょう?
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青木 - それについては「特に理由はない」や「興味がない」などの回答が多く、「新料金プラン」に積極的な関心を抱いていない人も多いからと言えるんです。また、そもそも「新料金プラン」を知らないと答えた人もおよそ15パーセントいました。そこで、改めて、最近の携帯電話料金についてスペシャリストに伺っていきましょう!総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 料金サービス課長の片桐義博さんです。
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足立 - 片桐さん、昨年の2月頃から、新料金プランが続々と登場していますね。
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片桐 - はい。2019年に電気通信事業法が改正され、その後の取組も進みました。このことにより、携帯電話会社の料金競争が活発化して、各社から価格の安い多様な料金プランが提供されるようになっています。
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青木 - 足立さんも覚えていると思いますが、以前の携帯電話市場では、人気の携帯端末が実質0円で買えたり、高額なキャッシュバックなどのキャンペーンが行われていましたよね。その一方で、月々の携帯電話料金は、端末代金と一緒になってしまっていて、結局、携帯電話料金の内訳が分かりづらいみたいなこと、ありましたよね。
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足立 - 確かに、どこまでが端末の料金で、どこまでが利用料なのかが分かりにくかったり、見たりする機会がなかったかもしれません。
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青木 - そうですよね。あと、途中で解約すると高い違約金が発生する「○年縛り」なんていうのも、聞いたことありますよね。キャンペーン対象の携帯端末を購入したくて携帯電話会社と契約したら、契約期間が何年もあって、途中で他社に乗り換えようとすると、高い違約金を支払わなければならないといったものです。
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足立 - ありましたね。
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青木 - 大手の携帯電話会社による、こうした「過度な端末代金の割引による顧客獲得」や、「過度な囲い込み契約」が行われると、携帯端末のキャンペーンにばかり目が行ってしまいますし、小さい会社などが魅力的な料金プランを出しても乗り換えしづらいので、携帯電話の料金プランそのものの魅力による競争が起こりづらかったんです。そのため、法律が改正されたんですよね。
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片桐 - はい。2019年の法改正では、携帯電話会社による適切な競争を促進して、消費者がより魅力的なサービスを選びやすくするためにはどうすべきか、という観点から改正が行われました。改正ポイントは二つです。一つは、通信料金と端末代金を完全に分けるというものです。
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青木 - これにより、料金プランそのものを比べやすくなりました。それまでは、携帯端末とのセット割などがあったため、複雑で、料金プランの比較がしにくかったですよね。
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片桐 - そうですね。具体的には、携帯端末の購入を条件とする通信料金の割引を禁止しました。また、通信契約とセット販売される携帯端末の値引きの上限を2万円までとしました。携帯電話会社には、通信は通信、携帯端末は携帯端末と、それぞれの魅力で競争していただきたい、また、消費者には、それぞれ自分に合ったものを自由に選んでいただきたい、という趣旨です。
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足立 - でも、割引の禁止とか値引きの上限とか聞くと、正直、消費者としては、キャッシュバックや、端末代金値引きなどがあると、「安くしてくれたほうが嬉しいのに」って思っちゃいそうですけど。
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青木 - 確かに、改正前のほうが、端末を購入するだけで、キャッシュバックなどの特典があったり、得していたような気がしますよね。でも、こうした端末の割引や、キャッシュバックに必要なお金は、結局のところ、通信料金に上乗せされるなどして、利用者が負担することになりますから、端末をあまり買い換えない人は損をしてしまいますし、通信料金も安くなりづらいので、料金面での競争も進みませんよね。実際に、法律改正前の2018年の東京の携帯電話料金は、ニューヨークやロンドン、ソウルなど主要な都市と比べて、最も高かったそうです。当時、ニュースでもよくやっていたので、僕もよく覚えているんですが、携帯電話料金を他国と比べることはないので、気付かず当たり前だと思っていたんですけど、比べたら高かったと。法律が改正されてからは、最初にお話したように、料金プランの競争が活発になって、様々な携帯電話会社から、価格の安い、いろいろなプランが提供されています。今では、ニューヨークやソウルよりも安くなっているそうです。長い目で見ますと、法律改正後のほうが、消費者にとってお得と言えると思います。
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足立 - なるほど、そういうことなんですね。では、片桐さん、もう一つの法改正のポイントというのは何ですか?
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片桐 - はい。過度な囲い込みの禁止です。契約の解除を不当に妨げる提供条件、つまり、一度契約したら何年もやめられない、途中でやめたら高額な違約金を払わなければならない、といった契約を結ぶことを禁止しました。具体的には、契約の期間拘束は2年まで、違約金の上限は1,000円などとしています。
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青木 - 確かに、せっかくいろいろな会社から、魅力的なサービスが提供されても、契約するためには、何年も待たなければならなかったり、高額な違約金を払わなければならないのでは、消費者にとっても魅力が大きく減ってしまいますし、携帯電話会社の競争も進みませんよね。
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足立 - なるほど、そういうことなんですね。
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青木 - このように、法律が改正されたことによって、その後、魅力的な料金プランがたくさん登場し、携帯電話会社の乗り換えもしやすくなったんですが、実は、それだけではないんです。法律改正後も、様々な取組が進められた結果、携帯電話会社を乗り換えることが、もっと手軽になってきたんです。先ほど、「今のところ新料金プランに乗り換えるつもりはない」、その理由は「特に理由はない」や「興味がない」などの回答が多かったとご紹介しましたが、それ以外の理由も、一定数挙がっているんです。足立さん、何だと思いますか?
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足立 - それはやっぱり、手続きが面倒だからじゃないですか?
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青木 - はい、大正解です!「手続きを行うことが面倒」「申込方法が分からない」といった回答もあったんです。しかし、その障壁を低くする取組も進んでいるんです。例えば、携帯電話のナンバーポータビリティ(MNP)の手続きが改善されているんですよね。
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片桐 - はい。携帯電話のナンバーポータビリティとは、携帯電話会社を変更しても、電話番号を変えずに移転先の携帯電話会社のサービスを利用できる仕組みです。2006年から導入されていますが、乗り換える際に3,000円程度の転出手数料が必要でした。しかし、2021年4月からはWEB上で手続きを行えば、原則無料となっています。また、以前はWEBでの受付時間が限られている携帯電話会社がありましたが、今では、24時間受付が行われるようになりました。
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足立 - デジタルが苦手な人は、WEB上で手続きできない方もいるかもしれないですけど、そういう場合はどうなんですか?
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片桐 - 今までどおり、電話や店舗で申し込みをすることもできます。この場合の手数料は、1,000円以下に抑えられていますので、これまでよりハードルが低くなっていると思います。
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足立 - 1,000円以下になっているなんて、、、他には、どんな点が改善されていますか?
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片桐 - はい。キャリアメールのアドレスの持ち運びができるようになりました。これまでは、携帯電話会社を変えた場合、以前の携帯電話会社のメールを利用することはできませんでした。この点についても見直され、月に300円程度の料金が発生しますが、電話番号同様に、キャリアメールのアドレスも持ち運んで、乗り換え先の携帯電話会社で利用できるようになったんです。
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青木 - これは画期的ですよね。携帯料金プランを、A社からB社に乗り換えた後も、A社のメールアドレスを使い続ける、ということが可能になりました。最近は、SNSなどで連絡を取る場合が多いので、キャリアメールを利用する頻度が減っている方も多いと思いますが、やはり、色んな事情で使い慣れたメールアドレスを持ち続けたいという方もいると思うので、こうした点も改善されたということですね。
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足立 - 素朴な疑問なんですけど、携帯電話会社を乗り換えたいけれど、端末は今のものを使い続けたい場合もありますよね。
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青木 - ありますよね!端末代金も高いし、まだ使えるなら、このまま使いたいと思いますよね。
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足立 - 端末を変えずに乗り換えることはできますか?
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片桐 - はい。端末が対応していれば、携帯電話会社を変える際に、携帯電話やスマホなどの端末を新しく買い直す必要はありません。今、お使いの端末のまま、契約の携帯電話会社だけを変えることもできます。
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青木 - ただ、使用中の端末に、SIMロックという制限が掛かっている場合があるので、注意が必要です。SIMロックとは、端末代金の不払いなどを防止するために、大手携帯電話会社3社が、自社で販売した端末を、他の携帯電話会社では使えないようにロックを掛けているもので、このSIMロックを解除すると、今使っている端末を、他の携帯電話会社でも利用できるようになります。この、SIMロックを解除するための手数料は、ウェブでは無料ですが、電話や店頭では3,000円程度掛かる場合もあります。
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足立 - 大手携帯電話会社を利用されている方は、手続きが必要なんですね。
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片桐 - はい。そこで、乗り換えを手軽にするために、SIMロックを原則禁止にしました。そのため、2021年10月以降に発売された端末には、原則SIMロックが掛かっていませんので、解除の手続きも不要です。
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足立 - でも、それ以前に発売された端末を持っている人も多いと思いますが、そういう方たちは、SIMロック解除の手続きなど、デジタルが苦手な方は戸惑いそうですね。
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片桐 - そこで、総務省では、携帯電話の料金プランの見直しや、携帯電話会社を乗り換える際に知っておきたいことを、分かりやすくまとめた情報サイト「携帯電話ポータルサイト」を公開しています。
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青木 - SIMロックを解除する方法なども動画で紹介しているんですよね。そもそも、足立さんは自分の毎月の通話時間やデータ通信の量を把握していますか?
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足立 - 通話時間は、、、ちょっと分からないですね。
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青木 - 毎月、数ギガしか使わないのに大容量プランに入っていたり、逆に通話が多いのに「通話かけ放題プラン」に入っていなかったりという方もいるそうですよ。
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足立 - ん~。正直、私は今、何のプランに入っているか分かりません!(笑)
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青木 - まず、チェックしましょう!こうした点を見直すだけでも携帯電話料金を安く抑えられます。かく言う私も、これからチェックします(笑)
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片桐 - 携帯電話料金を安く抑えるポイントは、まず、自分の携帯電話の使い方を把握して、自分にあった料金プランを選択し、契約することなんです。自分の使い方を確認するには、契約している携帯電話会社のマイページにアクセスしてください。法改正により、安く、多様な携帯電話の料金プランが新たに提供されています。また、乗り換えも、以前に比べてかなり簡単にできるようになりました。是非この機会に、今の契約がご自身に合っているか確認して、新しい料金プランへの乗り換えも検討してみてはいかがでしょうか?その際は是非、総務省の「携帯電話ポータルサイト」も参考にしていただけたらと思います。
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足立 - 今日の話を聞いて、やっぱり見直すべきものは、沢山あるんだなと学びました。私は今日、お話いただいた説明で理解できたんですが、聴いている方の中に、デジタルが苦手とか、お年寄りの方でそういうのが分からないという方もいらっしゃると思うんです。だから、携帯電話の料金プランの見直しだったり、携帯電話会社を乗り換える際に知っておきたいことを、詳しく教えてくれる「携帯電話ポータルサイト」があるんだよ!ということを皆さんに知ってほしいなと思いました。それでも分からない場合は、お孫さんや娘、息子さんが一緒に見てあげてほしいですね。
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青木 - 私は、今日の話を聞いて、自分の毎月の通話時間やデータ通信の量を把握すること、これが印象に残りました。携帯電話料金って、何となく毎月引き落とされている、クレジット決済されている、とかだと思いますが、改めて自分の使い方と合っているかというのをチェックしたいなと思いました。