なに?なぜ? G7広島サミット
1年に1回、主要7か国の首脳などが世界を取り巻く問題について話し合う国際会議、「G7サミット」。今年の5月19日から5月21日まで広島で開催されます。番組では、他の国際会議と異なる特徴や、過去6回の日本で行われたサミットで、どのような話し合いが行われてきたのかを深掘り。また、今回、広島でG7サミットが開催されることの意義、そして、折り紙がモチーフのロゴマークについても紹介します。

- ゲスト
- 外務省
G7広島サミット事務局長
北川 克郎
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和5年(2023年)1月29日
- 時間
- 16分48秒
- 配信終了予定日
- 令和6年(2024年)1月28日
文字で読む
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青木 - 5月19日から21日まで、広島でG7広島サミットが開催されます。今日で開催まで110日です。今、その成功に向けて、政府をあげて取組を進めているんですが足立さんは、G7サミット、主要国首脳会議とも言いますが、そもそも、どういうものか、ご存知ですか?
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足立 - 各国から偉い人が来て、会議をするんですよね。ごめんなさい。それくらいしか分からないですね。興味があるかと言われると、積極的に興味を持っているわけではないかもしれないですけど。この番組を聴いている方の中にも、そのような人、結構、多いんじゃないかと思います。
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青木 - そうですね。でも、この会議で話し合われることは、国際社会が直面している課題であり、それは私たちの暮らしに密接に関係していることで、とても大切なことなんです。ですから今日は、大人の社会科見学企画として、そもそもG7サミットって何? そんなところから、深掘りしていきます。スペシャリストをお迎えしましょう。外務省 G7広島サミット事務局長 北川克郎さんです。
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青木 - 早速ですが、足立さんに問題です! G7サミットは、主要7か国の大統領や首相たちと、EU(欧州連合)の欧州理事会議長と欧州委員会委員長が参加し、 1年に1回、世界を取り巻く問題について話し合う会議のことです。では、このG7の7か国とは、どこの国でしょうか?
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足立 - 日本とアメリカと、、、、。ちょっと分からないです。
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青木 - 北川さん、正解をお願いします。
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北川 - はい。G7サミットのG7は“Group of Seven”の略で、この7つの国は、議長国順にフランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、そしてカナダになります。
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青木 - 覚え方がありまして、それぞれの国の頭文字を取って、「あ! 深い井戸 日本」。
あ:アメリカ、ふ:フランス、か:カナダ、い:イギリス
い:イタリア、ど:ドイツ、そして日本!
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足立 - なるほど(笑) G7の7か国は、「あ! 深い井戸 日本」で覚えたら良いってことですね! G7の意味は分かったんですけど“サミット”には、どんな意味があるんですか?
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北川 - サミットは英語で「山の頂上」という意味です。各国の首脳、つまり、トップが集まる会議なのでサミットと言われています。それから、先ほど青木さんがおっしゃっていたように、7か国に加えて欧州連合、つまり、EUの首脳もEU加盟国の商取引などの権限を持つことからG7サミットに参加しています。
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足立 - 国際会議は他にもたくさんあるイメージですが。それこそ、この番組では以前TICAD(ティカッド)アフリカ開発会議を深掘りしたことがありますが、このG7サミットはどんな特徴のある国際会議なんですか?
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北川 - 例えば、最近話題になっている気候変動問題については、11月にエジプトでCOP27が開催されました。この会議では、各国の代表が2週間にわたって気候変動をテーマに議論しました。それから、APECという国際会議ではアジア太平洋地域の21の国と地域が参加して経済問題などを中心に話し合っています。つまり、それぞれ専門のテーマがあるわけです。ところが、G7サミットでは専門のテーマを決めず、持たず、幅広い課題について議論が行われます。
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足立 - それはどうしてですか? G7首脳で話し合う理由はあるんですか?
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北川 - 世界には多くの国と地域があり、それぞれが様々な文化や考えを持っていますが、一方で、国際化が進み、国同士の結び付きがどんどん強くなり、共通して抱えている問題も多くあります。G7サミットでは、世界経済、地域情勢、様々な地球規模の課題を始めとする、その時々の国際社会における重要な課題を議題として取り上げます。G7首脳が一つのテーブルを囲んで自由に意見交換して、文書にまとめることで、国際社会の重要な課題に効果的に対応していくことができるんです。
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青木 - 基本的な考え方や価値観を共有するG7の首脳がリーダーシップをとれば、国際社会の重要な課題に効果的に対応していくことができるのではないか、そうした考えのもと行われているんです。
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足立 - そういうことだったんですね。でも、やっぱりそれぞれ異なる歴史や文化がある国々ですから、こだわるポイントが違うんじゃないかと思うんですが、話し合いはスムーズにまとまるものなんですか?
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青木 - そうですよね。話し合いといっても、紛糾することもあるし、いきなり集まって、短期間で結論を出すことは、なかなか難しいじゃないですか。なので、実はG7サミットには、準備の過程にも特徴があるんです。それが、「シェルパ」の存在です。足立さん、シェルパってご存知ですか?
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足立 - エベレストなど、高い山に登るときに案内してくれる人のことをシェルパって言いますよね。
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青木 - 北川さん、G7サミットにも、そのシェルパがいるんですよね。
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北川 - はい、そうなんです。シェルパは山の頂上、つまり、サミットに登頂するには欠かせない存在です。G7サミットの準備も、「シェルパ」と呼ばれる首脳の補佐役が中心となって行われます。したがって、各国のシェルパは、G7サミット本番の随分前からお互いに綿密に連絡を取り合い、首脳に代わって、どんな事を議題にするか、どのような成果を目指すか、そのためにどんな準備をするかを事前に調整します。G7サミット本番で会議場に入れるのは、基本的にG7首脳とシェルパだけです。
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足立 - シェルパの活躍、凄いですね! これまで、どんなことが話し合われてきたんですか?
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青木 - 良い質問です! これまでどんなことが話し合われてきたのか、また、5月に開催されるG7広島サミットについて触れていきましょう。でも、その前に、足立さんに問題です! 第1回のサミットは1975年フランスで開催されました。きっかけは、1970年代に入りオイルショックを始めとする世界経済問題に対し、首脳レベルで総合的に議論する場が必要だったからです。では、それから47年の間に、日本が議長国、つまり、開催地となったのは、何回でしょうか?
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足立 - 伊勢志摩サミットは覚えています。1年に1回開催されているということは、議長国は持ち回りとして47÷7だから、、、6回か7回のどちらかですね?
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青木 - 答えは、北川さん、お願いします!
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北川 - はい。日本が議長国となったのは、過去6回です。最初が1979年東京サミット、その後1986年、1993年も東京で行われ、2000年に九州・沖縄サミット、2008年が北海道洞爺湖サミット、2016年が伊勢志摩サミットです。
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青木 - 特に、2000年の九州・沖縄サミット以降は、割と地域振興につながっている感じもありますよね。開催地は盛り上がりますもんね。
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足立 - それは、良いことですよね。日本で開催されたサミットでは、主にどんなことが話し合われたんですか?
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北川 - はい、1979年の東京サミットでは「石油の消費を減少させ、石油以外のエネルギー源の開発を促進する」という内容が、東京サミット宣言の中に含まれました。この年は、第二次オイルショックの影響で、トイレットペーパーの買い占め騒動が起こった年です。この頃から省エネという考え方が普及したと言われています。
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青木 - そして、九州・沖縄サミット、2000年でしたが、20世紀を締めくくるサミットとして、21世紀の繁栄の鍵となる情報通信技術、ITに焦点が当てられたんですよね。
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北川 - はい。九州・沖縄サミットでは「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章」いわゆるIT憲章が採択されました。
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足立 - この時ですよね? 首里城の守礼門が描かれた2,000円札が発行されたの。この頃から世界的に、どんどんIT化が進んでいったんですね。
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青木 - そうですね。このIT憲章の中で、「ITは、世界経済にとって極めて重要な成長の原動力に急速になりつつある」と言及されているのですが、正に現在、IT技術が不可欠な世の中になりましたよね。
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足立 - 話を聞いていると、サミットで話し合われることは、こんな風に私たちの暮らしとつながっているということが分かりました。だとすると、次回のG7広島サミットではどんなことが話し合われるのか? そもそも、なぜ広島で開催されることになったのか? 気になります。
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北川 - はい。今、世界はロシアによるウクライナ侵略や、大量破壊兵器の使用リスクの高まりという未曾有の危機に直面しています。こうした情勢の中で岸田総理は、日本が議長国を務めるG7サミットでは、武力侵略もロシアによる核兵器の脅しも、国際秩序の転覆の試みも断固として拒否するというG7の意志を歴史に残る重みを持って示したいと述べています。政府では、こうした考えの下、原子爆弾による壊滅的な被害を受けながらも復興を遂げた広島は、G7として平和へのコミットメントを示す上で最もふさわしい場所と判断し、広島で開催することを決めました。
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青木 - 広島にG7の首脳が集い、そして対話することは、ものすごい大きな意味を持ちますよね。
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北川 - はい。このG7広島サミットを機に、各国の首脳が被爆の実相に触れ、平和への思いを共有することで「核兵器のない世界」の実現に向けた歩みが確固たるものとなることが期待できます。また、被爆から復興を遂げた広島の姿を世界に向けて発信することで、平和の素晴らしさを改めて強調していきたいと考えています。さらに、同時期に、農業、財務、教育など、G7のそれぞれの担当大臣などが参加する関係閣僚会合も日本各地で開催されますので、そちらも是非、注目いただければと思います。
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足立 - 開催まで110日ですから、これから、地元でも様々な準備が具体的に進んでいくことになるんですよね。
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北川 - はい。昨年12月21日に、公募によりG7サミットのロゴマークも決定しました。折り紙のモチーフで日本らしさが表現され、世界の平和に向けたG7の結束や一体感といったメッセージが込められています。
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青木 - 日本伝統の折り紙をモチーフに、G7を意味した7色で構成。Gの形のクリップで束ねたデザインです。今、私たちの目の前にありますが、足立さんどうですか?
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足立 - 本当にGがクリップに見えてくる! 日本人が見ると、折り紙だなと一目見て分かるデザインで、日本らしさが出ていて良いですよね。
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青木 - 重なり合いが表現されていて素敵ですよね。これから、様々な場面で目にすることになりそうです。
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北川 - 今年の5月19日から21日まで、G7広島サミットが開催されます。私たちの暮らしに関わる大切なことが話し合われます。ホームページやSNSでも関連情報を発信していますので、是非、興味を持って注目してください。
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足立 - 今日の話の中で、一番印象に残ったのは、「あ! 深い井戸 日本」!
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青木 - G7サミット、7か国の覚え方ですね!
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足立 - こればかりは、頭から離れませんでした。今後、テストにも出ると思うので、大人の社会科見学と言ったものの、こどもたちにも覚えてもらいたいと思いました。
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青木 - 次回のG7広島サミットでは、G7として、平和へのコミットメントをしっかり示すということですね。そういった意味でも、広島に集うということには本当に大きな意味がありますから、平和へのメッセージがG7として広島から出されるということに期待しています。
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